【メーナの勉強ノート14】
11/22 くもりながらもくもり
せんせい:ルニーア
荒野に抜けたリステル達は壁にぶちあたる。
「これは‥‥流石に無理なのでわぁ?」
マナミが、横線の目になってリステルを振り向いた。
そうしながらも母船を動かし、式を6機操って、人型兵器を6機動かしている。
リステルも最近4機だけなら、動かしながらも会話できるまでの技量に成っていた。
「そうだね‥‥一旦森まで戻ろう‥‥てったい!!」
「了解!」
『りょうかい!』
キャプテンリステルの号令で、各機体と小隊長になっているリーベとマナミも返答し、撤退戦を始める。
敵は1kmを超えるサイズで、もう30分以上戦っていた。
そろそろ色々とエネルギー切れになりそうで、少しづつ補給に戻していたのだ。
敵機はまだエネルギーシールドも削り切れていないので、ところどころ煙を出しているが、まだまだ元気で、撃ち返してくる。
もともと母艦はアウトレンジに置いて、すぐに森に引き返せる位置取りだったので、すんなりと戻せた。
式達も順次後退し戦闘をこなしながら前線を下げ、最後は森に逃げ帰る。
完全な負け戦となってしまった。
負け戦で落ち込んでいるのは大人たちだけで、メーナとアイ達はおやつを嗜んでいた。
「おいちぃー!!」
メーナが立ち上がってほほに両手をあて、ふるふると目を細めふるえる。
今日はリーベお手製のフルーツタルトだった。
スパイラルアークⅡの冷凍庫にまだ沢山ある果物を、砂糖漬けにしてタルト生地に乗せ焼いたもの。
生地にも甘みを入れているので、とてつもなく甘い仕上がりになってしまい、リーベは失敗しちゃったと言っていたが、メーナ達は大喜びだ。
粉砂糖が振りかけられて、見た目も可愛らしい。
「ふふ、メーナは甘いの好きだね!」
アイ03も自分の分を食べながら、にこにことそう言った。
とても甘くて顔がふにゃんとなっている。
アイ達のアンドロイド体には、人間と同じ物を味わう機能がついている。
舌には人口味蕾が備えられ、鼻腔にはちゃんと人間以上に敏感な嗅覚が与えられている。
犬ほどではないが、人間よりも高性能なくらいだ。
食べたものはナノマシンストレージ経由で、原動力の一つになっているジェネレーターの燃料にしてしまう。
水分は別途回収し、冷却・洗浄に使い、下の方から人間と同じように排水される。
大きい方は出ない。
このアンドロイド義体にも、実はコアユニットが装備されていて、部品駆動力を使い各関節を駆動している。
そうすることで、アークⅡから離れても動かすことが可能な義体になっているのだ。
「ちょっとわたしには甘すぎるな」
すんっとお姉さんぶるのはアイ01。
ほっぺが落ちそうなのは隠せていない。
紅茶を嗜んでいるのは、アイカのマネなのだが、今日はしぶさを砂糖の甘味で消してくれて飲みやすい。
にこにこと見つめ合い、もぐもぐしているのはアイ02と04。
笑顔に美味しいが溢れていた。
「おいしいね!」
「うん!」
二人はメーナと一緒でヤギミルクを一緒に飲んでいた。
素直な02はにこにこと嬉しそうだし、普段おとなしい04まで笑顔でうふふと笑いを漏らしていた。
リーベはアイカに会えなくて淋しがる4人をなんとか慰めたくて、この機能を盛り込んでいる。
あとは自分が美味しいものを作ればいいだけと、腕によりをかけて毎度美味しいおやつや食事を準備する。
メーナはアイ達のお陰で美味しいおやつにありついていると知っていて、密かにそこでもアイ達に感謝をするのだった。
(アイちゃん達がさみしいのは可愛そうだけど‥‥淋しくなくなったらおやつもなくなっちゃうのかな?)
そんな事まで密かに考えているのだった。
それでもアイ達はメーナを妹としてかわいがってくれて、アイ01はちょっとだけだが、多いから上げるよとおやつをいつも分けてくれる。
「アイちゃんだぁ~いすき!!」
そういって現金に抱きつくメーナは、とても愛らしいなとアイ01も満足。
その腹黒さは幸いにも伝わらないのだった。
都合が悪いことは伝えない分別を、メーナのアストラル・プロジェクションは備えていた。
夜になると大人たちがメーナを囲んでアストラル・プロジェクション。
最近の恒例だが、ルニーアの定時連絡にメーナが必要なのだ。
マナミとリーベではルニーアと直接リンクが取れなかった。
ルニーアがメーナしか見つけられないのだった。
マナミの特殊能力だと今では解っている手繋ぎで、メーナと繋いでいるとルニーアを呼び出せた。
(‥‥そうゆうわけで、こちらは足踏みじょうたいだわ‥‥そっちはどうなの?)
何度か打ち合わせするうちにマナミ達とルニーアは気安くなっていた。
(あいかわらずよ。ヴィェラとクララは隙がなくて‥‥この時間だけ二人が出かけるのよ。義体はラッチで固定されてしまって動けないし。先に島のショップを目指すといいわ。たしか武装も売っているはず)
こうしてルニーアはルクールのように色々と情報をくれる。
その情報で早く助けに来てと言うのだ。
マナミ達にとっても助かる情報が多く、大人たちはこの会合を歓迎している。
どうやらルニーアは特定の機能を果たすために必要とされていて、逃げ出さないように監禁されているのだという。
(記憶領域も一度セーフモードに落とされて、MDアンインストーラーをかけられたから、もうすっかり安心したと思ったのに‥‥)
ルニーアは話してみるとわりと気さくで、マナミと相性が良かった。
(ルニーアの記憶は大丈夫なの?メモリードライバをアンインストールまでされて‥‥普通なら新品になっちゃうよ)
ルニーアはふふふと笑い、ないしょよといった。
実はルニーアも理由が分からず、クララ達の手違いだと思っている。
それをいったらマナミなど一度義体もコードもずべて焼失しているのだが、こちらも本人に自覚はない。
ルニーアもまたマナミと同じように、アイカによってコードではない自分を持ってしまっているのだった。
自覚はないのだが、今の自分はGMではないのだなと、うっすらルニーアも感じている。
(私のことをルクールだと思いこんでいるのよ‥‥そこに隙がないかと窺っているんだけどね)
ルニーアはこの時間を使い、マナミ達に星の現状を伝えていた。
ヴィェラ達ヴィエダイスは、打ち上げるための燃料がもう作り出せず、少しづつ星を削って宇宙船を故郷に送っている。
それはどんどん星の寿命を減らす事となっているのだと、助けを求めた。
幸いメーナが居れば、マナミ達に連絡が付く。
(アイカ達にも伝えておくわ‥‥あっちにいるルクールがルニーアの探している人だといいね。ちょっと聞いた感じだとあまり似ていないけど‥‥かわいらしい女の子らしいよ?)
マナミはアイカとも連絡を取っているので、互いに情報をやり取りしていた。
その中でルニーアはルクールを探していると伝えていた。
ルニーアのいうルクール像は、あのソリッドボディに収まっていたクールなイメージなのだった。
連邦のAI達と同じで、GM達も入れ物が変わると性格も引きずられることを、マナミもルニーアも知らなかった。
(ねぇぇ‥‥もうねむいよぉ)
リーベにあまえるようにごろごろとするメーナは目をこすっていて、本当に寝てしまいそうだ。
ホストになっているメーナが意識を失うと、この会合も終わってしまうので慌てるルニーア達。
(も、もうちょっと頑張ってメーナ、あとでおやつあげるから)
マナミはそういって延長をねだるが、残念なことに本日のメーナはおやつに満たされていた。
(いらない)
(あ、ちょっとお!)
(くぅ、ルニーアごめんまたね!)
ぷつん
メーナは速やかに眠ってしまう。
子供なので眠いから寝ると。
そこにこの星の運命は考慮されないのだった。




