いつものように
放課後、受験生の時のように、また美咲の家の前まできている。
「ほら、上がりな。」
そう言われて、いつものように靴を脱ぐ。
「結局3月まで美咲の世話になると思ってなかったわ」
「アキラがお願いしますって言ったんでしょ。」
「じゃあ練習始めるよ。まず発声練習からね」
「だいぶ本格的にやるじゃん」
「2時間はするからね」
「思ったよりも多い」
「伴奏者にはならなかったけどピアノとかやってたから音楽はできるんだよ?」
「お手柔らかにお願いします」
「やだ(断定)」
「やめときゃよかった……」
そうは言いつつも口角が上がってるのは何かのバグだろう。
それから、2時間、本当に合唱練習をした。
「今日はこんな感じかな。終わり」
「え?今日は?もしかして明日も?」
「流石にこの曲についてやってるわけでもないから今日だけ。お疲れ様、アキラ」
「よかった……(安堵)もう裏声出ないもん」
「2時間でそれは流石に貧弱。」
「ずっと勉強しててほとんどカラオケに行く時間なかったんだから仕方ないだろ」
「…私と同じ高校行くために。」
「そうだよ!!(投げやり)」
ふと部屋に目を向けると、今まで置いてなかった、小学生の頃の美咲と俺のツーショットが置かれていた。
「じゃあ、ゲームする?」
「げーむ?」
「え?ゲームに触れなさすぎて概念ごと忘れてる!?」
「なわけ。でなんのゲームするの?」
「スカイタワーズ2」
「知らないな」
「都市開発系ゲーム」
「都市開発系ゲーム!?は?」
思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。まさか中野がそんな渋いジャンルのゲームをしていると思っていなかった。
「よく考えたら誕プレで業務用ラムネ送るようなやつだったわ」
「どういう意味それ〜!」
「ってかそれ一人でやるようなやつじゃない?」
「ところが!!なんとねーこれ二人で、別の都市作ることになるんだけどできるんだよ!」
「……別々の都市作ってたら二人でやる意味なくね?」
「いやいや、お互いの都市の状況見れたり、道路とか鉄道を繋げられたり、お互いの予算をあげることができるんだよね」
「なぜにそんな機能追加したんだ……」
「そのおかげで互いに支え合えて面白いのよ」
「………その機能ってどれくらい使われてる?」
「動画でも10本に一本くらい」
「全然じゃねーか!!」
結局俺が折れてやることになった。
「町名……どうしよっかな」
「なんでもいいよー。」
「じゃあ美崎町、っと」
そうしてゲームが始まった
「さて、目標は人口5万かな。それまで帰らんわ」
「思ったよりも高いよー?いける?」
「知らん」
「はいはい。」
まず住宅地や基本インフラなどの街の基盤を作っていく。
「結構消防とか高いでしょ?追加予算いる?」
「要らん。だって美咲も新しくしたら予算まだカツカツでしょ」
「そうだけど、結構これくらいならどうにかなる」
「いや、いいよ申し訳ない」
基盤の整備が終わり、商業や工業などの整備、交通アクセス改善などを行う。
「イギリスの田園都市の考え方を基準に職住近接の都市を作るか」
「アキラなんでそんなこと知ってんのよ」
「いや、なんか見たのよ」
「あと、鉄道作る?うちの都市との」
「うん。」
「じゃあ費用が私が持つね。」
「ありがと。」
鉄道が開業し、その列車の行き先を見てみると明良町と書いてあった
そして、ゲーム内時間で5年が経過した。
人口
明良町 5万1975人(年度末で市制施行)
美崎町 2万3964人
「ねぇなんで美咲そんなに早く人口は増えんの?」
「最初に税金下げて移住者を増やしたからね。そこから再び税金を上げるとそのままの時よりも収入増えるんだよね」
「しらねぇ!」
「そろそろ帰る?ちょうどいい時間だし」
「いや、5万人いくまで帰らないね!決めたから」
自分でも頑固なのはわかっている。だけど、やりたくなってしまうのだ。
「ふふっ、アキラらし。じゃあ付き合ってあげる」
結局夜の8時くらいまでやってやっと5万人を突破した。その頃には中野は15万人を超えていた。
「じゃあ、帰る?」
「5万人いったし、もう夜の8時だから帰るよ。」
「気をつけて帰りなさいよ。」
美咲はそう言って手を振ってくれた。
その手は触ってもいないのに誰のよりも暖かく感じた




