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雪解け

今日は3月5日。公立高校の合格発表である。

8時に合格発表がある。月曜日だが、ほとんどの人が公立高校を受験しているため、公立高校合格者と不合格者で分け、合格者は早めに手続きを済ませるため、8時半にホームルームをしてすぐ下校、不合格者は16時に登校してホームルームですぐ下校。公立非受験者は任意登校という対応となった。

そして、俺と中野は任意登校だが、8時05分、もう学校にきていた。教室には俺と中野以外、誰もいない。

俺は何かを言おうとしたが、すぐに口を閉じた。

「鷹宮と三浦。くるかな。」

そう弱音を吐く中野に対し

「美咲。大丈夫、あいつらは絶対に来る。」

そう言葉を投げかけた。

「じゃあ、今のうちに喜ぶ準b…」

「おらぁ!!一番乗り〜!!って夏山と中野!?」

「え?……もしかして」

「春日山高校、合格だぁぁぁ!!」

そう三浦が叫んだ

「おぉぉぉぉぉ!!」

「おめでとう!!」

それに呼応するように二人で祝福する」

「一番乗りでこようと思って走ってきたのに先着がいたからびっくりしたわ」

「だって俺たち8時に家いる必要ないもん」

「なんだそれ!ずる〜」

「何がずるいんだよ…」

そうして3月の教室は一気に騒がしくなった。

一人、また一人と教室に来る度に教室は100dbを超えていた。

8時25分。

「鷹宮、まだ来ないね。学校まで15分なはずなのに」

中野が急に不安がる。

「なんか色々あるんじゃね?それにまだ8時半になってない。」

そう返すが少し雑な反論になってしまった。

「まあ大丈夫だろあいつなら」

すかさず、中野がフォローに入ってくれた。

8時29分。

「流石に遅くない?」

そう中野がつぶやいた瞬間

「遅刻ではないですよ?」

そう言って鷹宮が入ってきた。

「遅いよ………心配したんだから。」

「すみませんね。学校からそのまま手続きに向かうために書類準備していたらこんなになってしまって。」

「そんなこと前日に準備しときなよ……もう」

そう言いながら中野は涙を流していた。

「鷹宮。合格、おめでとう」

俺は鷹宮にそう言ってやった

「ありがとうございます。」

そう言って鷹宮は笑顔を見せた。

ホームルームが始まる

4人とも、元気よく返事をした。


ホームルームが終わり、ほとんどが入学手続きのために学校を出て、9時に教室に残っているのは俺と中野だけだった。

「大事な話がある。」

そう言って中野を呼び止める。

「何?」

そう言ってこっちを見る中野を見つめ返す。

深く、深呼吸をする。

ここですると、高校で気まずくなってしまうかもしれない。疎遠になるかもしれない。

だけど……

今引いたら。一生後悔する。

そう自分に言い聞かせて勇気を奮い立たせる。

「美咲。おれ、2年の4月、偏差値57だったよね。そこから74の高校に美咲の力もあってなんとか合格した」

「………そうだね」

中野の顔が赤くなっている。

「もう気づいてるかもしれなけど、なんでそんなに頑張れたかって、中野と同じ高校に行きたかったからなんだ。」

「………わかってたよ。とっくに…」

そう言いながら、中野の目には涙が浮かんでいる。

「だから、おれ、美咲のためにならなんでもできる。幸せにしてみせる。だから、……俺と付き合ってくれ」

中野の涙はもう頬をたたっていた。

「やっと……言う気になったの?もう。あんたはほんとに……」

「……………」

ゴクリと喉が鳴る。緊張で胸が張り裂けそうだった。

「いいに決まってんでしょ。もう。」

「本当か!?俺、料理とかできないけど」

「いいって言ってんでしょ!あんたのことなんて全部知ってる。いいところも、悪いところも、好きなものも、嫌いなものも、ちょっと抜けてるところも、頼んだら絶対に断らないとこも、一度決めたらやり通すところも。その上でいいって言ってんの!!」

「…………ありがとう。これから………よろしく」

柄にもなく涙を流してしまった。

「ほんとに、あんたは。ティッシュ。これで拭きなさい」

そう言って差し出されたティッシュで、数分間涙を流し続けていた。

「ほら、一緒に帰るよ。」

そう言われて、俺は中野に急かされるように帰った。

「ふふっ。じゃあ今日から恋人だね?」

中野にそう言われすかさず

「そうだよ。よろしく」

そう返答した。

その瞬間、右の方の手から強い感触があった。

右側の中野の左手が俺の手を強く握っていた。

「こっちからもよろしく」

そう中野がいう

「わかった」

そう返した。

「………あと、」

「何?」

「今日から、美咲って呼んでいい?」

「………ふふっ、逆になんでダメなのよ。前から言ってるじゃん。」

「………確かに。」

3月にもなってしまうと、さすがの新潟でも都市部では雪は溶けて無くなっていた。

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