全力を出し切る
2月15日、受験最終日。宮本大学北中高等学院の試験である。
今日も中野と一緒に会場まで足を運ぶ
「今日は最後だからお兄さんも一緒についてくるぞ!!」
「私から頼んだんでしょ。にいちゃん」
「そうなんかい。」
「いやーそうだけど今日のために必死に自称進の教師陣に頭下げてきたんだよ?まじで受かったんだからいいじゃんねほんとに」
「それは自称進に進学したにいちゃんが悪い」
「なんてこと言うんだ美咲!……」
「………ごめん」
「な〜んて、もうあの自称進とはおさらばだから何言われても聞かないぜ⭐︎」
「やっぱさっきの謝罪、取り消しで」
「ひど〜い」
「アキラ、さっきからなんも言ってないけど緊張してる?」
「……………まぁ。」
「じゃあ、これあげる」
「何これ?」
「キーホルダー。私のとくっつけると、ほら」
そう言って中野が2つのキーホルダーをくっつけると合格の文字が見えてくる。
「勘合札風合格祈願キーホルダー」
「何持ってきてんの?え?」
「とりあえずこれつけときな。」
そう言ってカバンに入れられた。
「これで二人合わせて合格!ってね。」
「あーはいはい。わかった。」
「返事適当だな!」
「いや、だってもうすぐ駅着くもん」
「まじで?降りなきゃ」
そうして北中駅に降りる。
「じゃあ、中野の兄さん。ありがとうございます」
「前みたいに駅周辺で祈ってるわ。頑張れよ!」
そうして北中高等学院の中に入る。
「中野、席どこだった?」
「中央棟の5階1番教室」
「一緒だわ」
そうして5階1番教室に移動すると、中野はまさかの俺と同じ列だった。
「カンニングするなよ?」
「なんで教え子の答案見るねん」
「教え子て……まあそうか」
そうしてそれぞれの席に座った。
「受験生の皆さん、席についてください。これから宮本大学北中高等学院、入学試験を始めます」
最初はこの放送に緊張していたが、もう緊張しなくなった。俺の中にあるのは中野の安心感。それだけだ。
国語の試験が始まる。
しかし、解き始めた俺の頭の中には焦燥があった。
(どうしてこんなにとけないんだ?)
(そもそも知らない漢字なことほとんどなかったのに。)
感触は最悪だった。だけど、あのキーホルダーがかろうじて俺の活力となってくれて、全部穴を埋めることはできた。
「中野、この問題、相当やばくない?」
「やばい」
そんな会話をした。
数学の時間
数学も解けない問題が過半数を超えた。しかし、俺はこの時間でとある決意のした。
「どうせ無理だと思っても、最後まで諦めないでいこう。」
自信を持て。そう言われたらこそ。諦めないことにした。
英語も感触は最悪だったが、試験自体は終わった。
「どうだった?」
「二つの意味で終わった。」
「………そう。」
中野は北中高等学院の受験に関してはそれしかいわなかった。
外に出る。そうすると駅の方に身長で頭ひとつ抜けている長身痩せ型の人がいた。
「どうだった?美咲。夏山」
どっちも何も反応しなかった。と言うか反応したくなかった。
「そうか。でも、美咲は3年間、夏山くんは2年間、やってきたことは消えない。だから、今じゃなくてもいいから。過ぎたことは忘れて前を向こう。」
帰りの電車では、二人とも、中野の兄に肩を寄せて寝ていた。




