隣にいない
2月11日、2日目の受験。
受験する高校は創英大学附属高校。男子校なので、中野はいない。
「一人で受験か。寂しいような。」
そう言いながら、駅まで歩く。
そうすると、その途中で中野とその兄に出会った。
「は?中野?なんでここに?」
「私は今日創英女子の受験に」
「………あ!そうか」
当たり前だけど中野が男子校を受けられないように、俺は女子校を受けられない。創英大附属の受験をしてる間に創英女子の受験もしているのだ。
駅の改札をくぐる。長岡駅までは中野と経路が一緒だった。
「創英女子、頑張れよ」
「あんたこそ、創英附属。ちゃんと全力出してきなよ。緊張して…‥とかなしね。」
「はいはい。わかってますよ。」
長岡駅に着く。そうして別々のホームに分かれる
「行ってらー」
「あんたも行ったらー」
そう言って別れた。
結論から言うと、創英大附属はうまく行った。
英語の問題は昨日ので身構えたよりも簡単だったし、数学は焦らずにちゃんと捨てる問題、取る問題を取捨選択してとる問題はしっかり解いた。国語も可能と同じくらいできた。
だけど、
「ここに受かっても中野とは一緒になれない。」
そこが頭に引っかかったままだった。
帰ってきて中野と通話をする
「どうだった、創英大附属」
「できた。多分受かる」
「良かったじゃん。」
「…………そうなんだけどさ。……なんか大学附属の割に汚かった」
本当のことなんて言えないから、適当なことを言って不満なことだけ言う
「じゃあ次だよ。まだあと4校もある。しっかり全部で全力だして、どれか合格すればそこじゃなくてもいいじゃん?」
「………確かに」
「だから、ちゃんと最後まで頑張ろ。一緒に。」
「……うん。」
2月12日、3日目は創英三条高校。ここも昨日と同じく、男子校である。
今日は中野は時間はなく、家で後半3つに向けて最後の自習をしているそうだ。
「正直、行かなくてもいいんだよな。」
なんて、親に言ったら[なんのために受験料払ったと思ってるの!!]とブチギレられそうなことを言う。
昨日とは反対方向の電車に乗る。
ホームには冷たくて乾いた風が吹き、俺の肌を刺す。
今日は行きも、帰りにも、もちろん受験教室にも中野はいない。
それがどこか寂しくて、紛らわせるために音楽を聴いた。
結果的に言えば、創英三条もうまく行った。
昨日の創英大附属ほどできているわけではない。だが、国語で落としたのをカバーできるほど、英数ができた。
「はぁ。創英大附属も、創英三条も男子校なんだか。」
そうため息をついた。しかし、その声に反応する少女はいま、ここにはいなかった。
帰ってからすぐ、今度は自分から中野に連絡をした
「創英三条高校。できた。」
「良かったね。ってか昨日とおんなじくらいテンション低いじゃん。何?今度は何が不満だった」
「いや、不満があるわけじゃないけどなんかさ。」
「あんたさ、次もそんな感じなわけ?」
「いやそんなことないよ共学だし。」
「共学なのがどうした………?……ってもしかして?」
「あっ」
口を滑らせてしまった。受験一週間前。俺が言った発言が中野の頭の中で鮮明に再生されていることだろう。
「まったく………だったらちゃんと次は全力で行きなさい!!共学なんだから」
「………………はい。」




