赤と緑のカラオケ
「今日は何の日だ?」
「今日は〜12月24日だから、クリスマスイブ?」
「11月市内模試の返却日」
「…………はぁ(ため息)」
「いや、私だって怖いよ。結局9月の模試も69.9で70ギリ乗らなかったんだから」
「70乗るのが当たり前みたいに話進めるのやめてね?美咲さん?」
「……はい。」
スマホの画面はどちらも市内模試の成績画面の前で止まっていた。
「アキラ。せーので開けるぞ。」
「はいはい。」
「「せーの」」
結果を見るボタンをクリックする。
11月市内模試結果
五教科偏差値72.1
三教科偏差値71.7
だけど、自分の結果より先に、隣の中野の顔を見ていた。
その顔は、平静を装っていたが、明らかに口角が上がっていた。
「中野〜何点だった?」
「聞きたい?」
この時点で確信した。こいつ多分めっちゃいい結果だったんだな。
「聞きたい」
「五教科74.1、三教科75.2」
「は?(思考停止)スゥゥゥゥ(アンガーマネジメント)純粋に、(成功?)何が怖いだボケェ!!(失敗)」
「いや!ほんとに!見るまで67とかまで下がってたらどうしようとか考えてたの!今日夜眠れなかったよ?」
「結果が楽しみすぎて?」
「違う!怖くて!!」
「もうお前受験まで"二度と"怖いとかいうなよ。一生前向いてろよ。その方がお似合いだよお前。」
「それは……励ましてくれてる?」
「怒ってんの!!」
「すみません」
「だから堂々としてろよ!!」
「どうすればいいの?!!」
「それでいいんだよそれで!!」
「言ってることめちゃくちゃだよアキラ!!」
キレてる。キレてるはずなのに
なぜか自然と口角が上がっていた。
ある程度キレ散らかした後
「で、模試の返却日でもあるが、今日はクリスマスイブでもあるだろ」
「まあ、それはそう。」
「旅行にでもいくか?」
「え?旅行?私たち受験生でしょ?」
「偏差値75.2は勉強しなくてもいけるだろ」
「なわけ。対策まだやらないと」
「そうですか。でも、あんた言ってただろ。『たまには勉強から離れる方が近道』って」
「言った気がする」
「言ってただろ。だから、それにちょっと近所行くだけだしだし。」
「どこ?」
「富山」「遠い!!」「嘘」「じゃあどこ?」
「近所のカラオケ屋」
「………はいはい。行っても3時間までね」
「わかった。じゃあ、レッツゴー!!」
そう言って近所のカラオケに3時間で入った。
「どーする?何の曲歌う?」
「あんたから先入れたら。」
「じゃあ遠慮なく」
そう言って入れた。夏の、激しくて、それでいて切ない曲。『君』との永遠を守ろうとする、『僕』の歌。
「アキラほんとそれ好きだよね。中学に入ってからカラオケ行く時絶対歌ってるじゃん。」
「いや、好きなんだからいいじゃん!」
次に、中野が入れたのは、和風で、これまた切ない曲。10年待ち焦がれた『君』に、やっと『好き』を伝える曲。
「中野もそれ毎回歌ってんじゃん。」
「メロディが好きなの!!」
そこからも、好きな曲をずっと入れていった。
俺は激しい夏の曲。中野は穏やかな、高音が綺麗な歌。
そうして、楽しい時間はあっという間に過ぎる。、
「プルルルルルプルルルルルル」
「退室10分前です。」
「もう10分前か。最後なんか歌う?」
「そういや今日クリスマスイブだし、クリスマスの曲入れるか。」
しかし、クリスマスの曲とはほとんどラブソングである。しかも二人とも知ってるとなると
「………これ、だいぶなラブソングだけど」
「こんくらいしか二人で歌えるクリスマスの曲ってないだろ」
「そうかも」
そうして、二人で歌いきった。
カラオケ屋を出た時には、帰りの道には雪が降り、周りの景色が白くなっていた。
「そういえば、もう雪が降る時期だったね」
「そうだわ。すっかり忘れてた。」
そう言いながら、雪の降る道を歩く
「今日はどうでしたか」
「………楽しかった」
「そりゃあよかった」
「アキラ…」
「何だ?中野。」
「受かったら、来年も行こうね。」
「………逆に落ちたら行かないのかよ」
「フフッ」
「何だそれ!!」




