答え合わせ
5月の改選で副会長となってからはや2ヶ月が経過した。
「先輩も2ヶ月経って仕事内容覚えてきましたね。」
「そう?それならよかった。」
生徒会室で仕事をするのも10は超えるほどになっていた。
今日の放課後に生徒会室に残っているのは俺と村上だけらしい。
「先輩。」「なに?」
二人で書類を相手にしながら会話する。
「先輩って偏差値高いですけどなんか、どこか抜けてますよね」
「ブハッ。初手でそれ聞くか?普通」
驚きのあまり飲んでいた水を吹きかけた。
「どうしても気になって」
「そもそも、俺は元から賢くないからね。」
「そうなんですか?」
「そう、元々57くらいで、宮創付属行くって決めてから中野に勉強教えてもらって偏差値上げたの。だから元々普通なんだよ。背伸びしてるだけで。」
そう。地頭がいいわけじゃない。偏差値という仮面をかぶって頭がいいようにみせているだけだ。
「………それは、背伸びじゃないと思いますよ。」
「え?」
「目標立ててそれに向かって努力できる人って少ないんですから。」
「そうかな。」
今まであんまり、そんなこと言われなかったかもな。
「そうですよ。」
「そういえば、なんで宮創付属目指すんですか?」
「え〜っとそれは、また今度で。」
「なんでですか!」
「いいでしょ別に」
この2年生、的確に急所を狙ってくる
「それよりほら、なんか学校生活で困ってることとかない?大丈夫?」
「話題変更があからさま過ぎますよ。」
「いや、まあ、ね?」
「うーん。最近、自主学習があんなできてないなって感じてて。」
「そうなんだ。」
「モチベーションを上げる方法とかってありますか?」
ペンを置いて村上にまっすぐに向き合った。
「まず、なんで村上さんは勉強するの?」
「………いい高校入って、いい大学に入るため?」
「村上さんは、まだ勉強ばっかしなくてもいいと思う」
「……?どういうことですか?」
「村上さんって多分将来の夢とか、明確な目標ってないでしょ?」
「そうかもしれないです。」
「だから、今は、勉強じゃなくて、自分の未来について考えた方が将来的にはよくなると思う。」
「勉強……じゃない?」
「そう。だって、強い目標があるから、俺は偏差値が上がったし、今は自分の夢を探してた方がいいと思う。答え合わせの人生なんてつまんないから」
「………そうですね。」
「少しは役に立てたかな。」
「はい……すごく」
「それならよかった。」
俺はまたペンを取って書類と向き合う。十数分で終わったが、なぜか俺よりも仕事が少ないはずの村上は一向に進んでいなかった。
「先に上がるけど、村上さん、詰まってるそこ?」
「先輩!?私の方見てたんですか!?」
「いや、先輩だし、進んでるか確認した方がいいと思ってね。で、手伝う?」
「いや!!大丈夫です!!」
そう言われたら手伝うのもなんだし、帰ることにした。




