第14話
10月14日ぶん
だめだ、完結まで遠回りしすぎてしまったせいで文がまとまらない。
あれ? それはもとからだった?
新しい作品の題材も考えていかないと。
荷車の上。山積みになった荷物に紛れて、お尻の下に綿がふんだんに詰められた敷物を敷いて、体には温かな毛布を巻いた状態で私は運ばれる。
街道ではあるものの、田舎町に通じる道は小動物達の手によって荒らされ小石や木の枝が散乱していた。生まれ育った街を出て2週間は経過しただろうか。点々と存在する小さな町を経由しながら私達は目的の場所を目指す。
本来であればこの道のりを省略して騎士さんこと、リアンさんは背負子に荷物を載せて山道を使い目的地へ行こうとしていたというのだから驚きだ。
道程と滞在を足し合わせて一月という猶予期間は過ぎている。それでもこんなにのんびりと旅を続けられるのは一足先に遅れる主の手紙を主さんの元へ送っただけではないだろう。
きっと、リアンさんとその主さんは短い手紙一つで通じ合える仲なのだ。
ちょっとだけ羨ましいと思ってしまう。
ガラガラと、リアンさんが引く荷車が音を立てて進む。
途中までリアンさんの隣を歩いていた姉は、度重なる旅路の疲労で疲れ果ててしまったのか、今は私の隣に座っている。というか、寝ている。
姉に肩を貸すなんて、いつぶりだろう。耳元でたてる寝息がくすぐったくも心地いい。
手紙に従ってリアンさんの元へ嫁ぎ、その代わりとして私をより腕のきく医者に診てもらう。それがあの日私が聞かされた姉の決断だった。
私のために姉がまた犠牲になろうとしている。そんなことを思ったけど、実際考えてみればそこまで悪い話じゃなかった。
男の誰もが羨望の眼差しを向ける程の屈強な体。オドオドしているけれど、芯をもった心優しい人柄。特別思いを寄せる相手が姉にいないのなら、それもいいと思った。
「本当に貰ってくれればよかったのに」
「……。そういうわけにはいかない。あの申し出を受け入れたらきっと自分は護衛の任から外される」
とはいえ、姉が決意したからといっても相手が受け入れるとは限らないのだが。
親の顔前にありったけの金を叩きつけて家の外へ出た後、すぐにリアンさんが泊まっている宿屋に向かった私達。先に親に告げたのは決意の表れだった。
で、リアンさんにそのことを話したのだが、渋られるのなんの。お姉ちゃんが欲しいと言ってきたのはそっちなのに。主さんの独りよがりという話だったけれど、実際のところはどうなんだろう。何も思っていないのだろうか。
「恋人さんとか、今までいなかったんですか?」
「ああ」
「作ろうとは?」
「……。しなかった」
ほんの少しの躊躇を挟んでリアンさんはそう答えた。
あと僅かな日数で目的の場所に到着する。そうしたら、私と姉はリアンさんのお母さんやお父さん達が暮らす家で一時的に過ごすことになる。リアンさんは帰る気はないようで、そこで私達はお別れだ。
寂しさと共に、モヤモヤとした何かが胸の中で燻ぶる。
これは、嫌な予感だった。
今日の筋トレ日記
腕立て伏せ30回
腹筋30回
背筋30回
これを2セット




