異世界パパ、爆発する異世界料理を食す
「せーのがさんはい、いただきます。」
「パパ、それ何?」
きょとんとした表情で、オレを見つめるソル。
「ご飯を食べる前には、こうやっていただきます。をするんだ。」
(……現実世界では、いただきますをする前に餅食って窒息したけど……)
「……はーい!いただきます!」
ソルがオレの真似をする。
オレは震える手で、光る野菜炒めを一口すくった。
黄色。
青。
緑。
紫。
そして光。
(……これ、食べ物の色じゃない……
完全に“魔法の材料”の色だ……)
ソルがワクワクした目で見つめてくる。
「パパ、はやく〜!」
「……い、いくぞ……」
オレは覚悟を決めて、口に運んだ。
──その瞬間。
「……ん?」
さらに一瞬後。
「……え?」
そして。
「……うまっ!?!?!?!?」
ソルが拍手する。
「パパ、すごーい!!」
「いやいやいやいやいや!!
なんで!?
なんで光ってるのに美味しいんだよ!?
見た目は完全に“危険物”だっただろ!?
なんで味だけ絶品なんだよ!!?」
オレは慌ててもう一口食べる。
「……うまっ……!!
え、なにこれ!?
甘いのに辛くてしょっぱくて爽やかで……
なんか……味が……忙しい!!」
ソルはケラケラ笑う。
「パパ、いつも“味がいそがしい〜!”って言ってたよ!」
「オレ、名言残しすぎだろ!!
てか本当に忙しいんだよ味が!!
甘い→辛い→しょっぱい→ミント→海藻→甘い
みたいなジェットコースターなんだよ!!」
ポフッ。
「ほら!!また爆発した!!
なんで爆発するんだよ!!
美味しいのに爆発するってどういうことだよ!!」
ソルは満面の笑みで言う。
「パパ、これね、ソルだいすき!!」
そう言いながら、ソルもパクパクと料理を食べる。
「いや、ソル……
これ食べて育ってきたのか……?
胃どうなってんだ……?
強靭すぎないか……?」
オレはさらに一口食べる。
「……うまっ……
なんか……クセになる……
やばい……
これ……中毒性ある……」
ソルが嬉しそうに言う。
「パパ、もっとたべて〜!」
「いや、食べるけど!!
食べるけど!!
これ絶対体に悪いだろ!!
でも美味しいから食べちゃうだろ!!
どういう料理なんだよこれ!!」
ルナはミルクを飲みながら、
光る野菜炒めを見てニコニコしている。
(……いや、ルナ……
それ笑ってるけど……
これ絶対普通じゃないからな……)
こうして──
光る原色野菜炒めは、
見た目のヤバさを完全に裏切り、
“絶品に近いほど美味しい”という謎の結果を生み出した。
そしてオレは、
人生初の料理で“美味しいけど爆発する料理”という新ジャンルを開拓してしまったのであった。




