火打石探してたら、娘が指から火を出したんだが!?
———すると、謎の匂いに反応したのか、ルナが泣き声をあげる。
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ソルが慌てて言う。
「パパ、ルナちゃんミルクだよ!!」
「ミルク……! そうだ、ミルク作らないと……!」
オレは粉ミルクの袋を探し、水を入れようとして──気付いた。
「……これ、水じゃダメだよな……
人肌のお湯じゃないと……」
ソルが元気よく頷く。
「うん!パパ、いつも“あったかくしなきゃ〜”って言ってたよ!」
(前の父親……ちゃんとしてたんだな……
オレもちゃんとしないと……)
問題は──
火がない。さっき料理出来たのは既に竃に火が入っていたからだ。
どうやら、オレが入れ替わる前に(本当の)父親が火を入れたのだろう。
その火も、料理が終わった後に火事が心配で種火を落としていた。
オレはキッチンを見渡す。
薪は大量にある。
乾燥していて、火がつきやすそうだ。
だが──
「……火打石がない……
マッチもない……
ライターもない……
火をつける道具が何もない……!」
「いつもは、どうやって!?
どうやって火つけてたの!?
オレ、火つける道具見当たらないんだが!?」
オレは家中を探し回る。
棚の中。
引き出し。
床下収納。
鍋の裏。
謎の壺の中。
布の下。
ソルの秘密のおもちゃ箱。
どこにも火をつける道具がない。
「なんでだよ……!
どうやって火つけてたんだよ……!
オレ、火の扱いどうしてたんだよ……!」
その時──
ソルがぽつりと言った。
「パパ〜、火ついたよ〜!」
「えっ!?
どこで!?
どうやって!?!?」
慌てて振り返ると──
かまどに、
ぽっ……
と小さな火が灯っていた。
「えっ……?
なんで……?
どうやって……?」
ソルはにこにこしながら言う。
「こうやってつけたよ〜!」
そう言って──
指先から、小さな火の玉を出した。
「は?」
火の玉は、
ぽよん、と跳ねるようにかまどへ飛び、
薪に火をつけた。
「はい??
え??
ちょっと待って???」
ソルは嬉しそうに胸を張る。
「パパ、いつもソルが火つけてたよ!」
「ソルが!?
ソルが火つけてたの!?
どうやって!?
いや、どうやってって今見たけど!!
指から火出てたよね!?
火の玉出てたよね!?
それって……まさか……」
ソルは無邪気に言う。
「パパ、ソルね、これできるよ〜!」
オレは震える声で言った。
「……魔法……?」
ソルは満面の笑みで答える。
「うん!パパ、いつも“ソル、すご〜い!”って言ってたよ!」
「なんでオレに説明してないんだよババァ神!!重要なこと全部言い忘れてたな!!」
(……ソル……魔法使えるのか……
……それに、あの肉をひき肉にした力……
世界を救うって言われてたけど……
想像以上に規格外なんじゃ……?)
こうして──
オレは、ソルが規格外の戦闘力を持った“魔法使い”であることを知った。




