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14/18

異世界パパ、風呂制作に着手する

巨大な浸透槽が完成し、

ソルの規格外魔法で岩盤が粉砕され、

砂利が穴に敷き詰められた。


(……よし……

排水問題は解決した……

文明の基礎はできた……

次はシャワー……

シャワーを作る……

いや……

待てよ……)


オレは竹の筒を見つめながら考えた。


(……シャワーって……

水を上に持ち上げて……

細かい穴から落とす……

構造が複雑すぎる……

この世界の材料じゃ難しい……

ソルの魔法でどうにかなるけど……

文明としては不安定だ……)


そして、ふと思った。


(……五右衛門風呂の方が早いんじゃね……?)


「ソル……

シャワーじゃなくて……

五右衛門風呂作るか。」


ソルが首をかしげる。


「ごえもんふろ〜?」


「そうだ。

大きな釜に水を入れて、

下から火で温める風呂だ。

構造がシンプルで、

文明の安定性が高い。」


ソルは目を輝かせる。


「パパ、すごーい!!

ごえもんふろつくるの!?

パパ、なんでもできるもんね!!」


「いや、できるかどうかは知らん!!

でもやる!!

やらなきゃ文明が死ぬ!!」


ルナはぱたぱた手を振る。


にこぉぉぉぉぉ……


(‥‥笑顔に癒される‥‥)


(まずは、……竈だ……

五右衛門風呂の心臓部……

ここを作らないと始まらない……)


オレは家の裏の空き地に立ち、

地面を見下ろした。


「さて……竈を作るか……」


ソルが首をかしげる。


「かまど〜?」


「そうだ。

釜の底を温めるための“火の台”だ。

これがないと風呂はできない。」


ソルは目を輝かせる。


「パパ、すごーい!!

かまどつくるの!?

パパ、なんでもできるもんね!!」


「いや、できるかどうかは知らん!!

でもやる!!

やらなきゃ自分の体臭でオレが死ぬ!!」


オレは地面に棒で線を引きながら説明した。


「竈はね……

こういう感じで……

平べったい台を作って……

横から薪を入れる穴を作って……

その上に釜を置くんだ……」


ソルは真剣な顔で聞いている。


「ふむふむ〜……

パパ、これね……

ごはん食べるところにあるやつとにてる〜!」


「えっ……?

そうだね。あれと基本的には同じだ……?」


ソルはオレが書いた設計図の地面を指さした。


「ここ〜!」


(……いや、ここに土を盛ってだな……?)


ソルは指先をちょんと地面に触れた。


すると──


地面がゴゴゴゴゴゴ……と震え始めた。


「は……!?!?!?!?」


地面が盛り上がり、

平べったい石の台が出現した。


「ソル……

これ……



ソルは胸を張る。


「パパのかまど〜!!

ソル、つくった〜!!」


「作った!?

今作った!?

地面から出した!?

これもう“地形変動”だよ!!

文明どころか地質学の領域だよ!!」


「ソルね、頭の中でかんがえたら、それができるの~!」


ルナはぱたぱた手を振る。


にこぉぉぉぉぉ……


(……はははは……

人はそれを錬金術と呼ぶのでは……??)


「ソル……

竈には横から薪を入れる穴と釜を乗せる穴が必要なんだ……

ここに……

こうやって……」


オレは石の台の側面を指さした。


「ここに穴を開けるんだ……

石を削って……

こうやって……」


オレは石を削ろうとしたが──


カンッ……

カンッ……

カンッ……


(……固い……

固すぎる……

この石、岩盤か……?

削れないんだが……)


ソルがぽつりと言った。


「パパ、あなあけるの〜?

ソルもやる〜!」


「えっ……?」


ソルは石の台の側面に指をちょんと触れた。


すると──


完璧な丸穴が開いた。


どうやら、指先で触れるとその部分だけが削られていくらしい。


———削られた物質はどこに消えてるんだろう・・・


ソルは指先でポコポコ穴を大きくしていき、立派な竈が完成した。


「もう、何が起こっても驚かん。」


ソルは胸を張る。


「パパ、これ“まきいれるあな掘り~”って名前の魔法だよ〜!」


「名前ゆるっ!!

でも助かった!!

文明が守られた!!

ていうか精度高すぎる!!

これもう職人レベルだよ!!」


「よし、ソル。竈は完成だ。」


ソルは嬉しそうに跳ねた。


「やった〜!!つぎは〜?」


オレは竈の上を指さした。


「次は……釜を乗せる。」


ソルは目を輝かせる。


「パパ、あれ〜?」


家の裏に置いてある巨大な鉄の壺を指さす。


「そうだ。

あれをここに乗せるんだ。」


オレは壺を持ち上げようとした。


ビクッ……

ビクッ……

ピクリとも動かない。


「……無理だな。」


ソルがニコニコしながら言う。


「パパ、ソルね、これできるよ〜!」


指先をちょんと壺に触れる。


すると──


壺がふわぁぁぁっと浮いた。


「……はいはい、浮くんだよな……

もう驚かん……

驚かんぞ……」


ソルは壺を持ち上げ、

竈の上にそっと置いた。


ぴったり。


「ぴったりじゃん……

なんでこんな精度高いの……

ソル、絶対職人の血筋だろ……」


ソルは胸を張る。


「パパのおてつだい〜!」


ルナはぱたぱた手を振る。


にこぉぉぉぉぉ……


オレは立ち上がり、

竈の上に置かれた巨大な鉄の壺を見つめた。


(……ん?

これ……

めっちゃ壺じゃん……

デカい壺じゃん……

どうやって入るのよ……?)


釜というより、

完全に“巨大な壺”である。


縁は高いし、

中は深いし、

形状は丸いし、

このままでは入浴どころか、

壺に落ちて救助される未来しか見えない。


「ソル……ちょっと相談がある。」


ソルが首をかしげる。


「なぁに〜?」


「この壺……

もう少し……

平べったくできないか……?」


ソルはきょとんとした。


「え〜?

パパがんばるんだよ〜?」


「いや、違う。

これはな……

将来この世界を救うための……

魔術の練習なのだ。」


ソルはじーっとオレを見る。


「パパ、なにもしてないよ〜?」


「いやいやいやいや!!

してるよ!?

してるよ!?

文明を作ってるよ!?

ほら、竈の設計図とか……

線引いたし……

説明したし……

ほら……

やってるよ……?」


ソルはさらにじーっと見る。


「パパ、ぜんぶソルがやってるよ〜?」


「いや違う!!

これはな!!

ソルが楽しみながら手伝ってくれているのだ!!

決して無理にやらせているわけではない!!

児童虐待じゃない!!

これは共同作業!!

共同作業なんだ!!」


ルナはぱたぱた手を振る。


にこぉぉぉぉぉ……


(……癒し……

この子は癒し……

ソルは文明……

オレは……なんだ……?

便利屋……?

いや、文明監督……?)


ソルはにこっと笑った。


「じゃあ、ソルね〜

これ、ぺたんこにする〜!」


指先をちょんと壺に触れる。


すると──


壺がぐにゃぁぁぁぁぁっと形を変え始めた。


「えっ!?

えっ!?

えっ!?!?!?!?」


まるで粘土のように形が変わり、

壺の縁が低くなり、

底が広がり、

最終的に──


完璧な五右衛門風呂の釜の形状になった。


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