異世界パパ、排水問題に直面する
風呂を作る前に、
オレは重大なことに気付いた。
(……排水……
排水どうするんだ……?
床に流すのは論外だし……
文明は自動化だ……
まずは……穴だ……
穴を掘らなきゃ……)
「よし、ソル。家の裏に穴を掘るぞ。」
「はーい!」
オレはスコップを片手に、
家の裏の地面に向かった。
「ここに穴を掘って……
簡易浸透槽を作って……
そこに砂利と石を入れて……
排水を流す……
これで文明が……発展する……!」
ガッ……
ガッ……
ガッ……
(……固い……
固すぎる……
この地面、岩盤か……?
スコップが刺さらないんだが……)
汗だくになりながら掘り続けるオレを見て、
ソルが首をかしげた。
「パパ、あなほるの〜?」
「そうだ……
排水のために……
文明のために……
穴を掘らないと……」
ソルはニコニコしながら言う。
「パパ、ソルもお手伝いする〜!
パパ、あなから出て〜!」
「えっ……?
出るの……?」
「うん!」
言われるまま穴から出ると──
ソルは穴の前に立ち、
小さな拳をぎゅっと握った。
「えいっ!」
その瞬間──
ドゴォォォォォォォォォォン!!!!
地面が爆発した。
いや、爆発したというより──
地面が“消えた”。
さっきまでオレが掘っていた場所に、
巨大な穴が出現していた。
「えっ……
えっ……
えっ……!?!?!?!?」
ソルは胸を張る。
「パパのおてつだい〜!」
「お手伝いのレベルじゃない!!
穴じゃない!!
これもう“地形変動”だよ!!
地面が陥没してるんだよ!!
村の地図が書き換わるレベルだよ!!」
ソルはケラケラ笑う。
「パパ、あなできたよ〜!」
(はははは……
この子……救世主だわ……
文明の救世主だわ……
でも規模がデカすぎるわ……)
オレは巨大な穴を見下ろしながら言った。
「よし……
ここに……簡易ろ過装置を作る……
石と砂利を入れて……
水を浸透させて……
文明を……完成させる……!」
そう言って、
家の裏を探し始めた。
しかし──
「……石が圧倒的に少ない……
砂利も少ない……
この穴の規模にまったく見合わない……」
ソルがぽつりと言った。
「パパ、石わるの〜?
ソルもやる〜!」
「えっ……?
石を……割る……?」
ソルは家の裏の山を指さした。
「ここにあるよ〜!」
そこには──
巨大な岩盤があった。
「いやいやいやいや!!
これ割るの!?
これ、山の一部だよ!?
村の景観変わるよ!?
本当にやるの!?!?」
ソルはニコニコしながら言う。
「えいっ!」
その瞬間──
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
岩盤が震え始めた。
「えっ……
マジ……??
えっ……!?!?!?!?」
岩盤が削られ、
巨大な石の塊がフヨフヨと浮き上がり、
オレの目の前にやってきた。
「浮いた!?
岩が浮いた!?
なんで!?
どういう魔法!?
オレになる前の親父、絶対ソルに頼りすぎてたな!!」
ソルは嬉しそうに言う。
「パパ、これちいさくするの〜?」
「いや、ちいさくするって……
どうやって……?」
ソルは拳を握りしめた。
「えいっ!」
かる~く拳を岩に当てるソル。
ドゴォォォォォォォォォン!!!!
巨大な石は一瞬で粉々になり、
砂利と石片になって穴の中へ落ちていった。
「えっ……
噓でしょ??
えっ……!?!?!?!?」
ソルは胸を張る。
「パパのおてつだい〜!」
「お手伝いのレベルじゃない!!
これもう“採石場”だよ!!
ソル一人で採石場できるよ!!
文明どころか産業革命起こせるよ!!」
ルナはぱたぱた手を振る。
にこぉぉぉぉぉ……
(……はははは……
この子に遊びでハタかれたら、命無いな……)
こうして──
アウリス(オレ)は、ソルの規格外魔法によって、異世界に“巨大浸透槽”を作ることに成功した。




