第二章 13話 母の死の真相
蒸気機関が発達した都市グラン・ロア
そこで暮らす政府高官の一人娘、アリシア・フォン・ベルクは、大企業の御曹司に失恋してしまいました。
失恋の傷も癒えないまま、アリシアの周りには様々な事件が巻き起こります。
そんな彼女の前に現れたのは、御曹司と顔がそっくりな従兄弟のレオン・アシュフォード。
顔は瓜二つなのに、性格は正反対。自由奔放なレオンに振り回されながらも、アリシアは少しずつ世の中を知り、成長してゆきます。
そしていつしか彼のことを……。
蒸気都市グラン・ロアを舞台に、謎と事件を解き明かすスチームパンク物語、開幕です!
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※本作は小説家になろう、カクヨムで同時掲載しています。
帰りの車中、レオンは終始静かだった。車窓を流れる夕暮れの街並みが、橙色から群青色へと染まっていく。アリシアは胸の奥で渦巻く感情を必死に抑え込んでいた。
屋敷へ戻ったアリシアは、正面玄関からそのまま真っ直ぐに執務室へと向かった。
「アリシア様、旦那様は――」
ギルバートが制止しようとするのを手で制し、私は重厚なオーク材の扉を強くノックした。室内から「入れ」と重い声が聞こえる。
執務室の窓枠はすでに大工の手で補修され、壊された硝子も片付けられていた。だが、室内に満ちる重苦しい沈黙だけは、一昨日の惨状のまま残されている。
父は机に向かい、書類に目を通していた。アリシアが部屋に入っても、視線を上げようとはしない。
「お父様。……お話しがあります」
「……何だ。私は忙しい。今日の件なら、マテオ君から報告は受けている。下層区の不穏分子の捕縛に協力したそうだな」
「不穏分子ではありませんわ! ……クリスタ・ボールド・アーキンについてです」
アリシアの叫びに、父の手がぴたりと止まった。
「お父様、隠すのはもうおやめください。クリスタ氏は私に『お母様を救えなかった』と言いました。一体、過去に何があったのですか!?」
「……知る必要のないことだ」
父は冷たく言い放ち、書類に目を戻そうとした。その頑なな態度に、アリシアの胸の中で何かが弾けた。
蒸気都市グラン・ロアの物語、第二幕。アリシア・フォン・ベルクの新たな物語が始まりました!
第二章から、更新ペースを変更します。
各章は二十話前後、一話あたり千〜二千文字弱を予定しています。前作を読んでいなくても楽しめる内容になっておりますので、初めての方もお気軽にお読みください。
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