第二章 5話 屋敷を守る騎士団
蒸気機関が発達した都市グラン・ロア
そこで暮らす政府高官の一人娘、アリシア・フォン・ベルクは、大企業の御曹司に失恋してしまいました。
失恋の傷も癒えないまま、アリシアの周りには様々な事件が巻き起こります。
そんな彼女の前に現れたのは、御曹司と顔がそっくりな従兄弟のレオン・アシュフォード。
顔は瓜二つなのに、性格は正反対。自由奔放なレオンに振り回されながらも、アリシアは少しずつ世の中を知り、成長してゆきます。
そしていつしか彼のことを……。
蒸気都市グラン・ロアを舞台に、謎と事件を解き明かすスチームパンク物語、開幕です!
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※本作は小説家になろう、カクヨムで同時掲載しています。
朝食の席で父が放った一言に、アリシアは思わず手にしていたフォークを止めた。
「昼食後、我が館に大事な客人をお招きする。アリシア、お前も正装して待ちなさい」
「客人……ですか?」
胸の奥で、不吉な警鐘が鳴り響く。またいきなり婚約者ではないだろうが、急に知らない方と会うのも、心の準備ができない。父に問いただすと、紅茶のカップをソーサーに置き、眉間にしわを寄せた。
「一昨日の惨状を見ただろう。いざというときのために、かねてより交流のあったガルア騎士団の『従銃士隊』に、当面のあいだ館の護衛を要請したのだよ。本日挨拶に見えるから、アリシアも同席しなさい」
「従銃士隊……!?」
私は耳を疑った。
従銃士隊。それは名門貴族の次男や三男といった、若き子弟たちで構成された、王国の精鋭部隊だ。だが、実情は血気盛んで、プライドばかりが高い若者の集まりという噂も絶えない。
「お父様、正気ですの!? 私は今年で十八になります。そのような年頃の男性たちを、何人も屋敷の中に留め置くなんて……っ!」
「静かにしなさい、アリシア」
激昂する私に対し、父の声は冷ややかだった。
「彼らが寝起きするのは離れた別館だ。それに相手は誇り高きガルア騎士団の若者たちだ。無道な真似などするはずもない。……これはお前とこの家を守るための最善策なのだ」
父の言いたいことはわかる。一昨日のような恐怖を二度と味わわせたくないという配慮なのだろう。だが、この胸を取り巻くざわつきと嫌悪感は消えてくれなかった。
知らない同年代の男性がそばにいることが……と、反論しようとしたが、父もいろいろ尽力を尽くしてくれたのだろうから、ここはいったん引いておくことにする。
蒸気都市グラン・ロアの物語、第二幕。アリシア・フォン・ベルクの新たな物語が始まりました!
第二章から、更新ペースを変更します。
各章は二十話前後、一話あたり千〜二千文字弱を予定しています。前作を読んでいなくても楽しめる内容になっておりますので、初めての方もお気軽にお読みください。
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