第二章 3話 庭園に現れた次男坊
蒸気機関が発達した都市グラン・ロア
そこで暮らす政府高官の一人娘、アリシア・フォン・ベルクは、大企業の御曹司に失恋してしまいました。
失恋の傷も癒えないまま、アリシアの周りには様々な事件が巻き起こります。
そんな彼女の前に現れたのは、御曹司と顔がそっくりな従兄弟のレオン・アシュフォード。
顔は瓜二つなのに、性格は正反対。自由奔放なレオンに振り回されながらも、アリシアは少しずつ世の中を知り、成長してゆきます。
そしていつしか彼のことを……。
蒸気都市グラン・ロアを舞台に、謎と事件を解き明かすスチームパンク物語、開幕です!
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※本作は小説家になろう、カクヨムで同時掲載しています。
翌日。
昨日の出来事が気にかかりながらも、アリシアはいつものように朝の支度を整えていた。
窓の外からは、蒸気機関の駆動音と街の喧騒が聞こえてくる。グラン・ロアの街は、昨日と変わらぬ朝を迎えていた。
けれど、アリシアの胸の内には、まだ昨日の出来事が引っかかっていた。
今日は一日、予定がない。庭には雑草が目立ち、花の剪定も必要みたいなので、作業着に着替えて、メイドから借りた鋏と鎌を手に、荒れた庭へ出向く。
父は来客で忙しそうなので、アリシアは庭の手入れをして、体を動かしたい気分だった。
花壇の足元を埋め尽くす雑草を、根気よく抜き取ってゆく。土の湿った匂いが立ち上がり、手のひらにずっしりとした手応えが伝わる。根の張った草を引き抜く作業は、予想以上に腰に響いた。
「ふう……」
咲き終わった花を切り落としてゆき、剪定をひと通り終える頃には、額や首筋にうっすらと汗が浮いていた。
日差しを受けた肌が熱を帯びている。アリシアは庭のベンチに腰を下ろし、胸元を少し緩めて布地をぱたぱたと仰いで、火照った肌へ風を送り込む。
「ふう、久々に動きましたね……」
「アリシア様、こんにちは。なかなか精が出ますね」
「――ッ!?」
不意に頭上から振ってきた声に、アリシアは跳ね起きるように振り返った。
そこに立っていたのはレオン・アシュフォードだった。
蒸気都市グラン・ロアの物語、第二幕。アリシア・フォン・ベルクの新たな物語が始まりました!
第二章から、更新ペースを変更します。
各章は二十話前後、一話あたり千〜二千文字弱を予定しています。前作を読んでいなくても楽しめる内容になっておりますので、初めての方もお気軽にお読みください。
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