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第11話:破れぬ衣と、忘られた純白

街の外れにひっそりと佇む、古代の地下遺跡。

ここは、シンが求めている『禁断の魔道書』の手がかりが眠るとされる、危険な魔獣の巣窟だ。

「いいか、ここはこれまでの荒野とはわけが違う。足手まといになるなら、置いていく」

「大丈夫です! 新しいお洋服と、この十字架の剣がありますから!」

真紅の戦闘衣ドレスを翻し、白銀の剣を構えるミキの姿は、どこからどう見ても超一流の美少女剣士そのものだった。彼女の豊満なボディラインにぴったりと沿ったミスリルの胸当てが、暗い遺跡の中で妖しく光る。

シンは仮面の中で(形だけは様になっているな……)と小さく毒吐き、奥へと進んだ。

だが、地獄の番犬ヘルハウンドの群れが突如として襲いかかってきた時、やはりミキの『仕様』が発動した。

「ふえぇっ!? 早いですっ!」

ミキは十字架の剣を振るおうとしたが、焦るあまり自分の足をもつれさせ、スライディングするような形で盛大に前方へズッコケた。

滑り込んだ先は、鋭い爪を持つヘルハウンドの真ん前。魔獣の鋭利な爪が、ミキの真紅のスカートを容赦なく引き裂こうと振り下ろされた――!

「ミキ……っ!」

シンが青ざめ、黒魔術を放とうとした、その瞬間。

キィィィンッ!!!!

金属がぶつかり合うような高い音が響き、魔獣の爪が弾け飛んだ。

ミキの真紅の衣は、傷一つついていない。

「え……?」

「……フン、当然だ。その衣装のベースは俺の特製マント。どんな衝撃や刃を通さず、絶対に破損しない防御魔法プロテクションがあらかじめ付与されている」

シンはホッと胸を撫で下ろし、冷徹に魔獣たちを影の槍で突き刺して全滅させた。

「破れぬ衣」。それはシンの、美紀を守りたいという執念が形になった究極の防具だった。

「わあ……! さすがシンのマント! どんなに激しく動いても、絶対に破れないんですね!」

ミキは感激し、嬉しそうに自分のスカートをパタパタと はためかせた。

――そう、勢いよく、パタパタと。

その瞬間、シンの動きがピタリと止まった。

通路の壁に設置された松明の炎が、ミキの翻ったスカートの『内側』を、これ以上ないほど鮮明に照らし出したのだ。

絶対に破れない、最高の防御力を誇る真紅のスカート。

それが、ミキの激しい動きに合わせて、ひらりと大きく捲れ上がる。

そこにあるべきはずの、純白の、あるいは可愛らしい刺繍のついた『布地』が――影も形もなかった。

露わになったのは、ただただ眩い、遮るもののない、ミキの滑らかな極上のヒップラインと、その秘められた絶対領域。

「…………え?」

シンの仮面の奥の瞳が、点になった。

一方のミキは、涼しい川床にいるかのようなお尻の通気性の良さに、今さらながら気がついた。

(あれ……? そういえば私、新しいお洋服のナイスバディっぷりに感動しすぎて、下着を……穿き替えるのを忘れたまま、防具を着けちゃった……!?)

「ひゃ、ひゃあぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!!!!」

ようやく事態を把握したミキが、真っ赤になって自分のスカートの裾を必死に手で押さえる。

だが、時すでに遅し。シンは、そのあまりにも網膜に焼き付いて離れない「完全無防備な光景」を、ばっちりと目撃してしまっていた。

「お前……貴様、正気か……!? なぜ、それを、穿いていない……ッ!!」

いつもなら冷静沈着、冷酷無比な仮面の復讐鬼が、見たこともないほど狼狽え、声を裏返らせている。

さらに、ドタバタした拍子にミキがまたバランスを崩し、あろうことかシンに向かって倒れ込んできた。

「シン、見ないでぇぇぇっ!」

「来るな! こっちに倒れるな! 刺激が強すぎるッ!!」

どんっ! とシンを押し倒す形になるミキ。

破れないはずの頑丈なマントの生地が、下着を着け忘れたミキの生肌の柔らかさを、ダイレクトにシンの漆黒の鎧へと伝えていく。

「あ、う……っ」

シンは、鼻から血を吹き出すのではないかというほどの絶頂の羞恥と混乱の中、仮面を押さえて絶句した。

復讐の炎で満たされていたはずのシンの脳内は、今や「忘られた純白(未着用)」の衝撃によって、完全に真っ白に消し飛ばされてしまうのだった。

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