第12話:ノーパンの決戦と、お尻の奇跡
「来るなと言ったはずだ……! なぜ歩くたびにそんなソワソワと内股になるッ!」
「だってシン、風通しが良すぎて……動くとお尻のあたりがスースーするんですぅ!」
遺跡の最深部へと続く大空洞。
ミキ(美紀)はシンのマントからリメイクした真紅のスカートの裾を、涙目で必死に手で押さえながら歩いていた。シンのマントは絶対に破れないが、めくれるのを防ぐ機能まではない。一歩進むたびに極上の太ももと、その『奥』がチラチラと見え隠れする。
シンは仮面を両手で押さえ、天を仰いでいた。目のやり場がなさすぎる。
(落ち着け、俺は復讐の鬼。神の理を壊す男だ。あんな小娘のノーパンごときに、我が暗黒の魔力が乱されてたまるか……!)
だが、そんな二人の不調和をあざ笑うように、地響きと共に空洞の奥から『巨大な守護石像』が姿を現した。
『侵入者……排除……』
「ちっ、ボスのお出ましだ。ミキ、お前は下がって――」
「私も戦います! シンの、その背中の箱(棺桶)を傷つけさせません!」
ミキは健気にも十字架の剣を構え、果敢にゴーレムへと突撃した。
見た目は最高にかっこいい真紅の女戦士。しかし、如何せん下半身が無防備なのだ。
「そこっ! ……って、ひゃあんっ!?」
大きく踏み込んで剣を振るった瞬間、ミキのスカートがフワリと大きく翻った。
松明の光に照らされる、遮るもののない純白の果実(未着用)。
「ぶふぉっ……!?」
援護射術を放とうとしていたシンは、そのダイレクトな光景に視界をジャックされ、放つはずだった漆黒の魔弾を、あらぬ天井の方向へと誤射した。ズガァン! と虚しく響く爆音。
「おい! どこを見ている、戦闘に集中しろ!」
「無理を言うな! お前が動くたびに、俺の精神が削られるんだよッ!!」
いつもは冷静沈着なシンの叫び。
その隙を突き、ゴーレムの巨大な岩の拳がミキに向かって振り下ろされた。
「危ない!」
「ひゃぅっ!?」
シンが影の触手を伸ばしてミキの身体を引っ張る。
しかし、引っ張られたミキは勢い余って思い切り後ろ向きに吹っ飛び、ゴーレムの部屋の最奥にある、不自然に盛り上がった壁の台座へと激突した。
ドッゴォォォンッ!!!!!
「いたたたた……お尻が割れちゃう……あ、もう割れてるけどぉ!」
ミキのボリューム満点なお尻が、大音響と共に壁の台座を文字通り**『ヒップドロップ』**の形で押し込んだ。
直後、遺跡全体にゴゴゴゴ……と地鳴りが響き渡る。
『守護対象……消滅……機能、停止……』
なんと、ミキのお尻が激突した場所は、ゴーレムの緊急停止スイッチであり、同時に『隠し部屋』の扉を開く隠しギミックだったのだ。ゴーレムは光を失い、ただの岩の塊となって崩れ落ちていく。
「え……? 倒しちゃいました……?」
お尻を押さえて座り込むミキ。そのポーズのせいで、再びシンの網膜に強烈なヴィジョンが叩き込まれる。
シンはハラハラと鼻血が出そうなのを必死に堪えながら、開かれた隠し部屋の中へと目を向けた。
そこにあった石碑の台座に、一冊の古びた、しかし悍ましい魔力を放つ**『古文書』**が鎮座していた。
「これは……」
シンが歩み寄り、その古文書を開く。
そこには、シンが探し求めている禁断の魔道書『アカシック・レクイエム』の現物が、この大陸の遙か北にある『聖王国の地下秘庫』に封印されているという、明確な手がかりが記されていた。
「ついに……見つけたぞ……。美紀、待っていてくれ……」
目的の手がかりを得て、仮面の奥の瞳に再び復讐の炎を宿すシン。
しかし、ふと振り返ると、そこには床に座り込んだまま、シンの真紅のマント(リメイク版)をぎゅっと縮めてモジモジしているミキの姿があった。
「あの……シン。魔道書の手がかりが見つかったのは嬉しいんですけど……とりあえず、お洋服屋さんに寄って、その……**『布』**を買わせてください……」
顔を真っ赤にして涙目で訴えるミキ。
シンは深い、深いため息をつきながら、再び仮面をがっしりと押さえた。
「……即刻、街に戻るぞ。これ以上は、俺の理性が持たん」
こうして、絶体絶命のボス戦は、ミキの天然お尻アタックという奇跡のハプニングによって幕を閉じ、二人の旅は『聖王国』という次なる目的地へと向かうのだった。(もちろん、まずは下着の購入からである)




