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じっとしてて
「じっとしてて」
クラスメイトの舞香が僕の口元についた米粒を指でひょいとつまんで自分の口に入れた。
「もういいよ」
くしゃくしゃに崩れた笑顔と、夏服の襟から覗く小麦色に焼けた鎖骨がやけに眩しく光っていた。
休み時間、彼女は僕のそばに来ていきなりそう言って去って行った。
二重線の入った袖口からすらりと伸びた細い腕が「く」の字に曲がって、つくしのように細い指の握るシャープペンシルがノートの上を軽やかに走っている。僕は黒板には目を遣らず、ずっと舞香の指先を見ていた。二つ斜め前の彼女の指は彼女の脇の隙間から少しだけ見える程度だった。それでも僕は全神経を集中させて目を凝らして見ていた。
ボールは弾んで隣の女子の体育のコートに飛んで行った。(了)




