初めてのコンサート
原稿用紙2枚です。
『初めてのコンサート』
同じクラスの未来が慌てて興奮気味に私の席にやってきた。
「優香、あんな、落ち着いて聞いてな」
何か息を切らせながら言う。
「いや、落ち着かなあかんのはまず未来の方やで」
私は尤もらしいことを言う。
「あんな、セイショーナゴンのコンサートのチケットが当たってん。ファンクラブ三年入ってて、やっと当たってん。一緒に行けへん?」
「マ、マ、マジで? だって、ネットのリアルタイムは『落ちた』ってみんなが呟いてたあの「セイショーナゴンだよね。すごいよ、すごい。一緒に行ってもいいの?」
「何を言ってるんよ。誰よりもセイショーナゴンのファンの優香だから誘ったんだよ」
「ありがとう、めっちゃ嬉しい。で、いつ?」
「今度の土曜日。長居スタジアム。近所やし、バスでも地下鉄でも行けるから」
「じゃあ、私バスで行くわ」
もう行く気になっている優香。
「当日はスマホで見せる方式やねん。だから逸れんように、待ち合わせ場所はちゃんと決めといた方がいいね」
未来が提案すると、優香が、
「じゃあ、桜珈琲の前は? あそこやったらそんなに人おらんし。でも中はめっちゃいっぱいやけど」と言う。
「優香、桜珈琲行ったことある?」
「あるよ、あるけど、いっつも混んでる。から、待つか隣のカフェに行くけど、待ってる日は待った甲斐があって、めちゃくちゃ美味しいよ、ホットドックがお気に入り。でもすぐ千円超しちゃうんよね」
優香は桜珈琲を想像しながら言う。(了)
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