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法学入門

ペラ一純文学です。これも十枚に到達しなかったのでこちらに掲載します。

 清純な風が四月の街を駆け抜ける。僕は躊躇いがちに咳を一つして純喫茶「マロン」のドアを開けた。ドアベルの音がカランコロンと鳴ると、ちょび髭を生やした白髪のマスターがこちらを向いて僕はコクリと頭を下げ軽く会釈をして一番窓際に近い席に座った。

女子大生のアルバイトのウェイトレスが水をテーブルの上に置いた。と同時に僕は「Aセットで」といつものメニューを頼んだ。彼女も儀式的に聞くだけで僕の注文はすでにマスターに通っている。珍しく誰もいない店内には有線の懐メロが流れていた。ついノスタルジックな気分に浸って口ずさんでしまう。そうして僕は大学の講義に使う教科書(といっても教授の書いた本だが)に目を落とした。「法学入門」と書かれた本はまさに法律の入門となる一回生にはちょうどいい向きの本であった。(了)

最後までお読みいただきありがとうございました。

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