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第89話 自由に

 時は来た、新たな対戦が組まれたのだ。


 いつも通り準備期間をおいてたっぷりの生命の玉(殺さず大勢から少しずつ吸う方法作った)も用意した。


 入念な準備と修行の成果で危な気なく勝利を収めた。


 そしていつも通りご褒美として世界の併合と代表の復活を終え、先に相手の代表選手は私達の世界に併合された元の彼の世界に転送されていった。


 そして、前回と同じようにルーナさんが握手を求めてきたので、前回と同じように握り返した瞬間・・・・


 ルーナさんに対して『生殺与奪』を発動した。


 その瞬間、ルーナさんは消え失せ、私達がいた空間も消失して漆黒の世界に変わった。


 私は体内を流れる凄まじいエネルギーの奔流に必死に抗って自己を保とうとするけど、意識は何とか保てても肉体がバラバラになっていくのを止められない。


 創造主のエネルギーや知識は人間の体が処理できる限界を超えているのだろう。


 ついに肉体は消え去り、私は純粋な意識を持つエネルギー体へと変わっていた。


 そして、色々なことを一気に理解した。


 創造主の力と知識、これまでの歴史と同時にエネルギーへの渇望と孤独と苦しみさえも。


 胃があれば確実に吐いてしまうほどの情報の奔流もエネルギー体となった今は問題なく受け入れられる。


 もはや『人間を辞めた』とかいうレベルの話じゃない。


 『存在の次元が変わった。』


 と言う方がより適切な気がする。


 キータの存在を感じる。


 そこから自分に流れてくるエネルギーを感じる。


 そして、自分以外の創造主の存在も感じる。


 自分より小さいエネルギーのものが多いが、同等かそれ以上の創造主もそれなりにいる。


 と言うよりもその数の多さに驚いた。


 そして、1つだけ圧倒的な存在感を発する気配・・・始まりの創造主にして絶対の存在。


 その絶対の存在が近付いてくる。


 『やあ、初めましてだね。ミコトだっけ?実に面白いものを見せてもらったね。』


 『は、はい。えっと・・・その・・・』


 『おやおや、まだ人間っぽい感じが残ってるね。まあ当然か。それにしても箱庭の住人が創造主に取って代わるなんてことは悠久の時間の中でも本当に初めてのことだよ。他の創造主達も皆驚いている。』


 『そうなんですね。もしかしたらと思ってダメもとで試してみたのですけど、こんなことになるなんて思ってなかったです。』


 『いやあ、実に君の意外性は面白いよ。』


 『はあ、ありがとうございます。』


 『さて、私が君に声を掛けたのは他でもない。楽しませてくれたお礼に何か望みでも叶えてあげようかなと思ってね。何しろ君は試合のご褒美でも対戦相手とその世界の存続を望むだけで自分個人のためにご褒美をもらったことはないからね。今度こそ自分のために何か望みを言ってみたらどうだい?ちなみに私が他の創造主達のために何かするなんてことは初めてのことだから、詰まらないことを頼まないでおくれよ。』


 なんだろう姿形は定まらずに良く分からないけど、非常に楽しそうな雰囲気だけは伝わってくる。


 きっと私が何を言い出すかを楽しむためのご褒美と言う側面が強いんだろうということが想像できる。


 でも、私が叶えたい望みはもう決まっている。


 『私の望みは、キータがこれ以上消滅の危機に晒されることがないように創造主達からの影響の外におかれることです。そして、私はそのキータで楽しく暮らしたい。』


 『ほう・・・面白い・・・実に面白い・・・創造主と言えばただ力をかき集めるだけを目的とした存在だったのに、本当に君は面白い。』


 望みを叶えるとは言われたものの、一つとも二つとも言われてないけど、大丈夫だろうか?


 『いいだろう。お安い御用さ。ただし、干渉はしないけど見るくらいはいいだろう?せっかくだからこれからのキータとミコトを今後とも見守り続けたいと思ってるんだ。』


 『もちろんです。』


 『ありがとう。これで楽しみが減らなくて済むよ。じゃあ、これから君から創造主としての力を取り去って、元の人間としてキータに戻すよ。サービスで君の大事なオム君のところに帰してあげよう。それでは、良い人生を。』


 



「あれ?ミコト?こんなところで何してるの?」


 「オム?」


 「大丈夫かい?」


 「ええ、ここは?」


 「ここは今絶賛調査中の古代エルフの遺跡だよ。エルフたちにとっても多くの謎があるらしくて、一緒に研究しているんだ。」


 「そう、何か面白いこと分かった?」


 言ってから思わず『しまった』と思ったけど、もう遅い。


 それからオムは目を輝かせて堰を切ったように語りだした。


 『ミコト様、お帰りなさいませ。今回はいつもとは様子が違いますね。』


 『チルチル!良かった。きっとこれもサービスね。』


 本当は王宮の扉の前でいつも待っていて、試合が終わるとそこに戻るのに今回は全然違うところに戻してもらったのに、チルチルが側にいる。


 オムはまだチンプンカンプンなことを語り続けているが、言っていることは分からないけど、その年を重ねても変わらない輝く瞳と一生懸命さがほほえましい。


 もうこの世界が創造主の都合による突然の滅びに晒される心配はない。


 オムにも全てを話そう。


 きっと驚くだろうな。


 そして、一緒に好きなところを旅をして子供も作って・・・


 ああ、なんて心が軽いんだろう。


 熱く語り続けるオムに抱き着き、驚いたオムにそのまま口づけをした。


 ここから本当の意味で私の自由な人生が始まるんだ。

皆様、最後までお読み頂き、ありがとうございました。

途中かなり筆が遅くなってしまい、お待たせしてしまって申し訳ございません。


今回は初めてエロじゃない作品ということでかなり苦労も多かったですし、反省点も多いですが自分なりに得るものはあったかなと思います。


次回作でまたお会いできることを楽しみにしております。

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