第85話 ふと気づくと
ある時は耳長族と共に薬学や魔術を学び。
ある時は地中に住む地中族と共に鉱物や鍛冶を学び。
ある時は獣族と共に狩猟やスキルを学び。
充実した日々を送っていた。
そんな充実した日常も突然中断させられる。
これも最早日常と言ってしまえばそれまでだが。
「ヤッホー、ミコトちゃん。今回もよろしく頼むわね。」
「また次の試合ですか?最近ペースが上がっていませんか?」
「アハッ、連戦連勝の私を引き摺り下ろしたいと思うみたいでね。挑戦がどんどん来るのよ。でも、これでも空けられるだけ時間を空けてるのよ。」
「そうですか、そうして頂けるとありがたいですね。私もその間力を付けられるし、休めるし。」
「もちろんよ。ミコトちゃんは私の大切な代表選手だものね。大事にしてるのよ。それで、今回も勝ったらいつも通りで良いのかしら?」
「はい。いつも通りでお願いします。」
「ミコトちゃんももの好きよねぇ。もっと他にも色々してあげられると思うんだけどなぁ。」
「う~ん、正直今の世界で私ってこれ以上ないくらい良い立ち位置なので希望はないですね。むしろ、これ以上この代表戦をしないで欲しい位なんですけど・・・」
「そっかぁ。気持ちは分かるけどね。挑戦がある以上はそう言う訳にもいかないのよねぇ。」
「そうですよね。分かっていたことなので、気にしないで下さい。それで、次の試合はいつになりますか?」
「今から一カ月後よ。今回もしっかり準備して一緒に私達の世界を広げましょうね。」
そう言われたと思った次の瞬間には相変わらずの王宮の隠し扉の前に飛ばされていた。
この生活を続けて一体何年になるだろうか。
いつしかオムも大分白髪が目立つようになってきたし、国交を結んだ大陸は既に4つ。
交流が盛んになったことで継続的に好景気が続き、非常に安定した状態になっている。
実際にはまだオム達が発見すらしていない大陸がいくつもあるのだから、この状態は当分続くだろう。
とはいえ、私みたいに高速で空を飛んだり、瞬間移動したりできる人がいる訳じゃないのでこの辺が限界なのかも知れないけど。
まあ、これから先どんな移動手段ができるかとか分からないけどね。
既にある科学技術が進んでいる大陸では大陸間移動用の大型船のみならず空を行く乗り物も開発が進んでいたりするので、そう遠くない未来に広げたこの世界すらも、住む人間にとっては狭くなるのかも知れない。
私が私とこの世界のために出来ることは勝ち続けることだけかなと思っていたけど、そろそろ本当に必要なことに向けて考えよう。
すっかり年老いたオムを見て、一方で全くオムと出会った当時と変わらない少女の姿のままの自分に物凄い考えさせられた。
私って完全に人間やめちゃってるよねぇ・・・
同じく鳥の寿命を考えたら明らかにおかしいチルチルと思わず見つめ合ってしまった。




