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第84話 新たなる生活

 次の日にはオムを王都に送り届けた。


 このまま単独で動くのではなく、正式に国交を開いて通商を行ったり、交流を行ったりしたいと考える上で密入国のままではまずいとオムが言ったからだ。


 オムは帰国して急いで使節団なんかを組織して準備を進める一方で私はこっそりと舞い戻って上空から大まかな地図を作成、と言っても新大陸の形と港の位置を大まかに描いただけだけど。


 それをオムに渡して、私はまた世界を周る旅に出た。


 何だかんだでトラブルばっかりだったから生まれ育った大陸だって満足に見て回れていない。


 新たな大陸はオム達が正式に国交を開いた後でゆっくりと見て回ろうと思う。


 まずは自国をじっくりということで、チルチルと2人で連れ立ってあっちこっちの町を周った。


 新しい味覚や面白い人達と出会いながら旅を満喫していると、時たま創造主ルーナさんに呼ばれてまた次の試合に挑む。


 幸い生殺与奪を筆頭に覚えた沢山のスキルと戦闘経験のお陰で負けることはなく、次々と新たな大陸や島々がこの世界に出現した。

 (もちろん、今度はかなりの距離を取って置くようにお願いしたので、この事実を知っているのは私だけだけど)


 更に、裏技として倒した相手の代表選手の亡骸も追加で頂いたので、生命の玉を始め、知識の玉など奪った全てを急いで戻すことで、代表選手をも元の世界に返すことにも成功した。


 コロナだけは亡骸を貰い忘れたので、器となる肉体をサービスでルーナさんに創ってもらい、何とか復活を果たした。


 ルーナさんは連勝に次ぐ連勝でかなり気を良くして、私の願いなら大抵のことは聞いてくれる。


 ルーナさん自身の力も相当このルーティーンのお陰で増しているらしく、かなり創造主の間でも注目されているらしい。


 コロナの世界は住んでいる人も私達人間と大して変わらなかったけど、いくつかの国は見た目から全然違って獣のような人だったり、美しい長く尖った耳が特徴的な人の国だったりと、かなりバラエティーに富んでいるから、この先付き合いが広がっていったらそれはそれで大変そうだなと思うけど、なくなっちゃうよりは絶対いいよね。


 こんな色々な世界を創り出す創造主達の力に驚く、あっさりと潰してしまうことに畏れもする。


 どんなに私が価値を感じても、代表戦がある限り私が負けて全ての世界が滅びる可能性はなくならないし、創造主達からすれば「負けちゃったか~使えないなぁ、またやり直すか」で済む話だ。


 この理不尽だけは今のところどうにもならない。


 でも、その中でも最善の道を歩けているはずだと信じて、新たな大陸を少しずつ旅しながら力をため、同時に楽しみも覚える充実した日々を過ごしていた。


 各世界の代表とは命を賭けて戦った中とはいえ、結果として私が全て守ったという形になるので大変に感謝されて仲良くもなり、それぞれの国を案内してもらえるようになったのはとても大きかった。


 お陰でスムーズに新たなスキルを得たり、観光を楽しんだりできるようになった。


 何よりも「殺してしまって遺産として守った土地を見て回る」のではなく、「試合を通じて仲良くなった好敵手の故郷を一緒に見て回る」のでは全然私の心の浮き立ち方が違う。


 唯一私が恐れる世界の終わりを賭けた戦いが次に開かれる時まで、私はこの世界では自由に好き放題楽しむのだった。

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