第82話 遭遇
いよいよコロナの世界の人との遭遇だ。
コロナの感じだと見た目は同じような感じだったからいきなり怪しまれることはないかな。
後は言葉とか心配っちゃ心配だけど、そもそも今回言いだしっぺはオムなので創造主のことがバレないように諸々はオムに任せていいよね。
町とは言ったけど、特に壁で囲われるでもない普通の農村のようだ。
畑が広がり、その中に家が点在している感じだ。
奥の方に大きな家があるのは村長の家だろうか。
私も一旦上空からざっと地理を頭に入れてオムにどうするのか聞いてみた。
「もちろん話しに行くさ。こちらの文化、言葉、食事、経済含めて知りたいことばっかりだからね。」
「分かったわ。私は取り敢えずオムの警護ってことでいい?あんまり話すの得意じゃないから。」
「ああ、それでいい。さあ、早く行こう。未知が私を待ってるんだ!」
見た目はどう見てもオムが父親で私は娘って感じだけど、何となく実際は逆というか何というか。
でも、意外と頼りになるところもあるからね。
急ぎ足で歩くオムを追いつつ、久しぶりに生命の玉の杖をを手に持ち、オムに続いて歩く。
丁度近くの畑で農作業をしている人がいたので、早速オムが声を掛けている。
どうやら言葉は通じているみたいだ。
そう言えば試合場でのアナウンスも理解できたし、そんなものなのかな?
オムは満面の笑顔で話を聞きたいと頼んでいるけど、相手は明らかに戸惑っている。
普通に考えて大陸の端っこの方にある農村で近くに大きな町も見当たらなかったところに服装も雰囲気も違う男が突然話しかけてきたら誰だって戸惑うわよね。
それでも、村長さんの家に案内してくれるというので、ありがたくついて行く。
農作業の手を止めたことを謝罪しながらもオムは好奇心を抑えきれず案内をしてくれている男性に矢継ぎ早に質問を投げかけている。
農道を進み、村でも一際大きな家の前に辿り着いた。
とは言ってもかつての奴隷集落で言えば子供部屋くらいだろうか。
一間ならば20人程度は楽に寝られるくらいかな。
庭には鶏が放されていて、何とものどかな雰囲気だ。
トントントン。
「ごめんくだせぇ。ホレニフです。村長にお会いしてぇって人を連れて来ました。他所もんです。」
どうやらこの男性、ホレニフというらしい。
戸が開いて中からは年老いて痩せた禿頭で白く長い髭のお爺さんが出てきた。
「なんじゃ、余所者じゃと?こんな辺鄙な村に珍しいな。」
「初めまして、私は海を挟んだ大陸からやってきましたオムと言います。こちらは護衛役のミコトです。」
「儂は一応この村の村長をしているノレリじゃ。こんなところに旅人とは珍しい。しかも海の向こうとな。見ての通りの田舎ゆえ特に持て成しもできんが、立ち話もなんじゃから入っとくれ。」
中は広い土間に獣の毛皮を敷き詰めた空間で、靴を脱いで毛皮に上がり、そこに腰かけて背の低い小さな机に乗せてお水を出してくれた。
「さてさて、何から話すとするかのう。」
こうして穏やかにオムの臨んだ異文化交流が始まった。




