第80話 異変
世界を賭けた試合が終わって暫くは何もする気が起きず、チルチルと戯れながら誰とも会わずに休んだ。
私は別に新しい国の統治に興味はないし、次の試合も直ぐにはないだろうから。
唯一コロナの世界がどうやってこちらにくっついたのか気になるところだったけど、世界の英雄の仇である私がどんな顔をして新しく組み込まれた人達に会えばいいのか分からない。
オム達は新しい王国を安定させるために日々会議をしたり、色々な規則を定めたりして忙しそうだ。
でも、そんな引きこもりの日々は長くは続かなかった。
ある日、いつも通り王宮に与えてもらった部屋に引きこもってチルチルと他愛のない話をしていると、突然ドアが開いてオムが駆け込んできた。
「ミコト!聞いてくれ!大変なことになった!」
「なあに、オム。レディの部屋に入るのにノックもなしなの?」
「ああ、ごめんごめん。それより聞いてくれ、突然巨大な大陸が現れたんだ。しかも、ほぼ我々の住む大陸とくっつくほどの距離だ。」
オムは興奮を隠せない状態だ。
でも、私もここで驚かないといけない。何しろ創造主に関わる話はタブーなのだから。
「??どういうこと?」
「信じられないのも無理はない。私だって報告を聞いて信じられない思いだ。だけど、確かに僕の『全知』スキルでも今まで捉えていなかった広大な大陸と、しかもそこには沢山の人が住んでいることが確認できたんだ。」
「す、凄いわね・・・・不思議なことってあるのねぇ。」
「そうなんだ!凄いことなんだよ。だから、早速だけどミコトに私をそこへ連れて行って欲しい。」
「え?」
「新しい大陸が確認できたのはここから遥か北の山を越えた先だ。ポートガスとは違う港町の目と鼻の先に突然現れたらしい。漁民が船を出せなくなって港町が港町じゃなくなっているんだってさ。だからここまで報告が来るまで凄い時間がかかってるんだ。でも、ミコトならパパっと飛んでいけるだろう?頼むよ。こんなに心躍るフィールドワークは久しぶりなんだ。」
「う~ん、まあそれは問題ないけど、王宮での仕事はいいの?」
「そんなものはもうゴンゾ達に任せてしまえばいいさ。殆ど下地は一緒に作ったからもう大丈夫。これまでらしくないことばっかりやっていたからね。私の本分は未知の探求と解明だよ。それに、新王国だって国防上重要な問題だからね。警戒のために軍勢も別途現地に向かわせている。」
「そんなに危ないならスキルで済ませちゃえばいいんじゃないの?」
「分かってないなぁ。スキルは確かに役に立つけど、実際に生で見聞きした情報は重要だし、その体験があるからこそ全知スキルも使いこなせるってもんだよ。それに、ミコトがいれば危険なんてないし、国防上も助かるだろう?」
流石はオム。抜けているようで反論の余地がない。
「分かったわ。私も興味がないと言えば嘘になるし、行きましょう。」
「流石はミコトだ。さあ、直ぐ行こう。」
「え、でも支度が。」
「ミコトなら物資は全部その巾着袋に入っているだろう?」
「はあ、手の内を知られ過ぎるのも問題よね。分かったわ、直ぐに行きましょう。」
こうして、私はオムを背負いながら一路コロナの世界を見に行くことになった。




