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第78話 世界を賭けた戦い

 オムに地図を描いてもらい、強い魔獣と戦って自分を鍛える旅に出た。


 驚いたことに、中々呼び出しは来なかった。


 お陰でたっぷりと実践経験を積んで自分を少しでも高めることが出来たかなと思う。


 少しでも勝率を高めるために鍛えていないと不安になる。


 せっかく奴隷解放して自由になったのに、いつになったら平穏な生活を取り戻せるんだろうか。


 いつものように川で水浴びをして焚火に当たりながら野宿の準備をしていると、首にかけていた鍵が光った。


 そして、気が付いた時にはもう創造主ルーナの空間に来ていた。


 「おっかえり~。見てたわよ~、すっごい頑張ってるじゃない。心強いわ。何しろミコトちゃんが勝ってくれないと、せっかく育てたキータのリソースを持って行かれちゃうからね。」


 「それより、対戦カードが決まったから試合の説明をするわね。」


 いよいよ来たか・・・覚悟していたとはいえ、いざとなるとやはり緊張する。


 試合の説明何て言っていたけど、ルールは単純そのものだった。


 『どちらかが死ぬまで終わらない。』


 たったそれだけだった。


 分かってはいたけど、あまりの理不尽さに忸怩たる思いを噛み殺して頷くと、次の瞬間にはまた別の空間に立っていた。


 広くて丸い平地に私ともう1人男の人が立っている。


 周りを見れば一面の観客・・・これらが皆創造主として色々な世界を創っているというのだろうか?


 姿かたちも様々で、私と同じような人間の形をしたのもいれば、動物みたいなのもいるし、見たことのない感じなのもいる。


 思わずキョロキョロしていると、相手の男性と目が合った。


 何となく親近感を覚えてしまった。


 だって相手の目には私に対する敵意なんかは感じられず、私と同じように戸惑いの色が見えたから。


 「さ~創造主の皆、久しぶりに世界と世界が激突するよ~!選手の紹介にいくよ~。まずはキータ代表、ミコト選手。見た目は可憐な美少女にして一体どんな力を秘めているのか、楽しみですねぇ。」


 突然の会場中に響き渡る声で私が紹介されると、大歓声に包まれた。


 「そして、対するはブーカン代表のコロナ選手だ。こちらはミコト選手と対照的に苦み走った渋さが魅力的な壮年男性。どっちを応援するかで嗜好が丸分かりな一戦だね。」


 相手の名前はコロナって言うのか・・・正直知りたくなかったな、これから殺したり滅ぼしたりしなきゃいけない相手の名前なんて。


 「おなじみのベットも盛り上がっているみたいだね。集計によると、ミコト選手が勝つと3.4倍の倍率、コロナ選手が勝つと1.6倍の倍率。かなり予想ではコロナ選手有利と言ったところかな?」


 「さあさあ、会場のボルテージも最高潮!ルールは簡単、どちらかが死ぬまでのデスマッチ!2人とも用意はいいかな?久しぶりの試合で皆楽しみにしてるから、がっかりさせないでよ!」


 「さあ、キータかブーカンか、どっちの世界が滅び、どちらの創造主がそのリソースを得られるのか、それでは、始め~!!!」


 合図と共に大歓声がまた沸き起こる。


 お互いに戸惑いを隠せないものの、ルールはたった一つ、取り敢えず私は自分の周りに結界を張り、収納袋からこの日のために用意した装備を取り出して身に着ける。


 動きを邪魔しない程度に全身を覆う鎧に、名剣エグゼイビアだ。


 鎧は防御力はもちろん、内側にはたっぷりと生命の玉を変形させて使っているので、自動回復機能付きだ。


 これでよっぽどのことがなければ即死は避けられるはずだ。


 着装の間に攻められることを警戒して結界を張ったけど、相手も警戒しているのか攻めてはこなかった。


 コロナの得物は長い柄と、先に反った剣の付いたものだ。


 きっとあの武器で戦いに明け暮れたんだろう。


 体の一部かと思うくらい馴染んでいる気がする。


 武器のリーチと恐らく熟練度は完全に負けていると思われるけど、私には多彩なスキルがある。


 通用すれば初見では対応は難しいはずだ。


 私は手始めにホワイトクローを放ち、その後コロナとの間に結界を張った。


 攻防一体のこの初手でコロナの実力や技を少しでも知りたい。


 コロナは私の動きに合わせて突進してきた。


 ホワイトクローの餌食になるかと思った刹那、武器でホワイトクローの斬撃そのものを叩き切った。


 勢いそのままに突進してきて、今度は結界を切り裂き、私に迫る。


 驚いている暇はなく、一気に『神速』と『飛翔』を発動して回避。


 躱し切ったと思って安心したら、右足首に鋭い痛みが走った。


 警戒を怠らずにちらっと確認すると、右足首から下がなくなっていて、生命の玉による回復・再生が行われているところだった。


 何でも切っちゃうだけじゃなくて切られたことに気付けないくらいの鋭い斬撃だ。


 「驚いたな、あれを躱すか。俺の最高の一撃だったんだけどな。小さな女の子を手にかけるのは心が痛む。どうか避けたり抵抗したりしないで次の一撃で終わらせて欲しい。苦しませはしない。」


 「冗談じゃないわ!確かに恐ろしい一撃だったけど、今のが最高なら避けられたってことは私に勝機ありって言っているようなものよ!」


 強がって言ったものの、正直恐ろしくて震えが止まらない。


 相手だって同じだけのものを背負って同じくらいのものを潜り抜けてきてるんだ、簡単に決まるなんてありえない。


 でも、降参することもあり得ない。


 「仕方がない。恨みはないが、私の大事な者たちのために死んでもらう。」


 「こっちだって同じことよ!」


 今度は私は空中からの圧縮爆発の乱れ打ちだ。


 もちろん、的を絞らせないために神速に瞬間移動を混ぜて一か所には留まらない。


 一体何百発爆発させたか分からないが、逃げ場がないようにくまなく爆発させているので、間違いなくダメージは与えたはずだ。


 一旦何重にも結界を張って爆発によって巻き起こった粉塵が収まるのを待つ。


 念のため迷彩スキルで背景に同化しておく。


 徐々に視界が晴れてくると、そこには得物を杖にして血を流しながら立つコロナの姿があった。


 息遣いも荒く、間違いなくダメージは受けているはずだが、油断なく辺りを伺っているあたりは攻撃の機会を狙っているのだろう。


 「く、どこへ消えた?まさか可愛い顔してあんなえげつない攻撃をするとはな。だが、俺はまだ死んじゃいない。死ぬ訳にはいかない。」


コロナの闘志は全く衰えていない。


 普通の人間なら骨も残らないくらいの連続爆発の衝撃を一本の武器で凌ぎ切ったというのか。


 その研ぎ澄まされた技には尊敬しかない。


 弱っている今こそ追撃して止めを刺すべきなのは分かっている。


 殺らなければ殺られるのも重々承知している。


 でも・・・


 「そっちが来ないならこっちからいくぞ。逃げ場のない攻撃はお前の専売特許じゃないからな!」


 コロナの刃が光に包まれていく。


 危ない!っと思った時には体が反射的に動いていた。


 コロナが光る得物を振り回すと、刃から四方八方に斬撃が飛ぶ。


 私の張っていた結界も次々とあっさり破られていく。


 咄嗟に私は自分とコロナを隔てる空間の時間の流れを『時間停止』で止めた。


 コロナの放つ斬撃は全てその空間に届いた瞬間にその場で停止してしまう。


 背後に飛ばした斬撃は試合場の壁を無残に切り裂いていくけど、時間停止している側は斬撃が止まっているので被害がない。


 斬撃を飛ばしながら、コロナの表情が苦悶に歪むのが見える。


 恐らくこれが最後の力を振り絞った彼の最強の攻撃何だろう。

 

 全方位に防御不可能な斬撃が飛ぶのは確かに普通だったら脅威だが、流石に斬撃そのものが停止してしまう時間停止そのものは切れなかったようだ。


 遂にコロナの斬撃が止んだ。


 そして、その瞬間に私はコロナの背後に瞬間移動し、そっと背中に左手を当てて小さな声で呟いた。


 「奪う。」


 コロナはその瞬間に崩れ落ち、勝負は決まった。


 


 

皆様コロナの影響はいかがでしょうか?

私は完全在宅ですが、その分稼働を減らされてかなりの減収に喘いでいます。


ゼロではないのですが、辛いですね。


一刻も早く正常化して欲しいです。

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