↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/89

第45話 レッドドラゴンの力

済みません、お待たせしました。

またコツコツと書き進めていきたいと思います。

引き続きよろしくお願い致します。

 『ふむ、ミコトと言ったか。こちらも自己紹介をしていなかったな。儂がこの集落の長をしているパフである。今日は代表して話をさせてもらおう。』


 『パフ様ですね。ミコトです。よろしくお願いします。』


 『うむ、ではお互いに一つずつ質問をしていくことにしようかの。近々我らを狩りに来ようとしている王子は一体何のために我らを狩ろうとしているのだ?』


 狩りに来る、という言葉が出たことで周囲がざわついたが、パフが人にらみしたら直ぐに収まった。


 『私もよく知っている訳ではないのですが、王子が成人するときに儀式として偉業を成し遂げる必要があるそうです。第一王子はキマイラを集団を率いて狩ったそうですが、今度の第二王子はレッドドラゴンを独力で狩ると言っているそうです。私は護衛兼治療役として同行することになっていますが、今回は事前の視察です。』


 『ふむ、なるほど。一人前になるために何か試練があるのは良くあることだが、我らを狩ろうとはいったいどれほどの実力者なのか、楽しみだのう。』


 『え?怒らないんですか?』


 『強者が強者を求めるのは何も不思議なことではないからな。戦いを挑まれて逃げる者も、負けて恨むものもこの中にはおらんよ。』


 『そういうものなんですか・・・』


 『そういうものじゃ。さて、次はミコトの番じゃ。何なりと聞くが良いぞ。』


 『えっと、皆さん一体何を食べているんですか?どうやったらそんなに大きくなれるのか羨ましくて。』


 『ふぉふぉふぉ、何を聞くかと思えばそんなことか。我らは特に何かを食べる必要はないのじゃよ。この地に漂う精気を全身で吸って力を得て成長しているのだ。』


 『え~そうなんですか?せっかく大きい口があるのに、不思議ですね。』


 『まあ、口から食べないこともない。戦って倒した相手は食べて自らの力にするのが習わしだからな。』


 『全然知らなかったです。今度はパフ様の方で聞きたいことはありますか?』


 『うむ、ではな・・・』


 こうしてお互いいくつかの質疑応答を続けて私は竜の不思議な生態を少しずつだけど理解していった。


 普段は基本的にぼーっとしていること。


 寿命は無いに近いが、まれに多種族のドラゴンとの戦いで死ぬこともあること、そうすると力のある雌雄が発情して補うように子供を作ること等を学んだ。


 基本的に退屈しているので今回のような珍客や挑戦者などは歓迎しているらしい。


 『うん、一杯教えてくれてありがとうございます。パフ様は他に何かありますか?』


 『うむ、最後になるが、ミコトよ、そなたの個人的な本当の目的はなんだ?』


 『え、ですから王子のための事前調査と申し上げたと思いますが?』


 『違う、それはそなたのフリーランスだったか?としての仕事の目的であってそなた個人にも目的があったのではないか?』


 『そういうことですか・・・実は、レッドドラゴンのスキルを何とか自分のものに出来ないかとは考えていました。空を飛べるようになったりとか、ブレスとかできるようになったら良いなって。』


 『ほほう、それは我らに挑戦と受け取ってよいのか?』


 『いえ、はい。確かに来る前はそのように考えておりましたが、こうしてお話をして通じ合うことができる以上、殺し合いをしたいとは思いません。かと言って殺さずにスキルだけを奪うこともできるのですが、奪われた方からすれば殺されたと同じ事でしょうから、やっぱり気が進みません。』


 『ふむ、思慮深く情に厚いか・・・・しかし、まるで当たり前のように我らに勝利することを前提とするとは随分となめられたものじゃ。誰ぞこの小さきものと決闘を行いたいものはあるか!』


 『え、ちょ、私の話聞いてました?』


 これは思わぬ大誤算だ。


 何となく仲良くなった気がしていたから戦って相手を殺したりスキルを奪うのはちょっとやだなと思っていたのに、まさか向こうから仕掛けてくるとは・・・よほど普段の生活に変化がなくて暇しているということか。


 周りを囲んでいたドラゴン達も咆哮を上げて我も我もと叫んでいる。


 このまま一斉に攻撃されたら流石に厳しそうな気がする。


 『よし!お前で決まりだ!我は今度来るという王子とやらの相手をするからの、我の次に強いお前がやるがよい!』


 咆哮と共に1頭のレッドドラゴンが私の正面に移動して来る。


 『我の名はクリムゾン!このような機会はまたとない。せいぜい長く楽しませてくれよ。』


 そういって雄叫びを上げて戦闘態勢に入った。


 周りを見ても完全に観戦モードで止めようとするものはいない。


 こうなったらやるしかない。


 『チルチル、ブルブル、遠くに避難していないさい!』


 私は岩の上に立ち上がり、地面に飛び降りて戦闘態勢をとった。


 相手は私の何十倍もの大きさのレッドドラゴン。


 ドラゴンの戦闘に関する予備知識はゼロだ。


 だが、やるしかない。


 最後は生殺与奪でスキルを吸い取って勝ちたいが、そう簡単ではないだろう。


 間合いが違い過ぎる。


 あいさつ代わりにホワイトクローを連発した。


 白い爪撃の軌跡が連続してクリムゾンに襲い掛かる。


 一瞬驚いたような顔をしたクリムゾンだが、不意を突かれて避けることもできずに全身でホワイトクローを受け止めた。


 ドドドドドドドドド!


 炸裂したホワイトクローが轟音と土煙を立てる。


 効いたか?と一瞬思ったけど、クリムゾンから伝わってくる殺気は弱まるどころか強くなる一方だ。


 視界が悪いのは向こうも同じだが、このプレッシャーはただ事ではないと思ったので結界を張り巡らせる。


 すると、煙の向こうから物凄い光が襲ってきて一気に周りが赤い色に包まれた。


 光が収まると、クリムゾンと私の間、私の後ろにあった草木は完全に燃え尽き、岩山の山肌は溶けて赤くなっている。


 私が結界で覆った範囲だけが僅かに緑を残していた。


 『な、我のブレスを人間ごときが防いだだと?』


 ブレスの威力に驚く私以上に無傷で私が残っていたことにクリムゾンが驚いていた。


 今回は直感で結界を展開するのが間に合ったからどうにか生き残ったけど、防いでばっかりだと何か一つ間違えたら髪の毛一本残らなそうだ。


 目に怒りを宿してクリムゾンが突進してくる。


 今度はブレスではなく肉弾戦で押しつぶそうということか。


 全長は優に10mを超えるであろう対格差は圧倒的で、肉弾戦など私にとってはもってのほかだ。


 真正面から突撃するふりをして私も猛ダッシュしたが、距離が詰まったところで空に瞬間移動した。


 そこで空間を圧縮して球状にして上からクリムゾンに投げつけた。


 私を見失ったクリムゾンが動きを止めた瞬間、圧縮された空間が至近距離で解放されて歪みを生み出し、大爆発を引き起こした。


 「これならどう?」


 空中に留まって視界が晴れるのを待つ。


 クリムゾンは翼をもがれて地面にめり込むように伏していた。


 岸壁の上で観戦しているレッドドラゴン達からどよめきが聞こえる。


 「勝った!」


 私は安心してクリムゾンの側に飛び降り、止めを刺すべく生殺与奪を発動するために左手を突き出して近寄っていく。


 私はこの時完全に油断していた。


 むしろ死んでしまっていてスキルが取れなかったらどうしようかと心配していた。


 ドン!


 衝撃と共に、気付いた時には胸からクリムゾンの尻尾の先端が生えていた。


 油断してた私の死角である背後から長い尾の先端についている鋭い棘を突き刺されたのだ。


 だが、気付いた時にはもう遅い。


 完全な致命傷だ。


 クリムゾンは起き上がると尻尾を振り回し、私は内臓を胸に空いた穴からぶちまけながら飛んで行った。


 失血で意識が朦朧とする中、籠手に仕込んだ生命の玉を発動して再生と治療を行う。


 クリムゾンは勝利を確信して咆哮し、観戦している者たちも呼応して咆哮した。


 私は無事を確認すると、誰にも見えないようにこっそりと腰に下げた巾着袋から予備の生命の玉を取り出して新たに籠手に仕込みなおす。


 生命の玉の力はやっぱり凄まじい。


 完全な致命傷だったのが跡形もなく塞がり、失った内臓や血液も完全に回復している。


 このまま死んだふりを続ければチャンスが訪れるはずだ。


 ひとしきり勝利の雄叫びを上げた後、クリムゾンはズシン、ズシンとお腹に響く足音を立てながら近寄ってきた。


 そう、パフが言っていた勝利した相手を捕食する瞬間には必ず近付く必要がある。


 しかも、さっきとは逆で私が死んだと思って完全に油断しているはずだ。


 クリムゾンは大きな口を開いて私を飲み込もうとかがんで近付いてきた。


 一瞬で瞬間移動を発動して背中の上にとりつく。


 クリムゾンの背中は圧縮爆発の影響で翼はボロボロにもげ、鱗もかなり傷だらけだが、血は出ていない。


 地面にめり込んでいたから派手にダメージを与えたように思ったけど、まだまだ足りなかったようだ。


 見極めもできずに油断した自分に対する反省は後にして、背中に左手を添えて全てを終わらせる一言を呟く。


 「奪う。」


 それで終わりだった。


 クリムゾンは全生命力を私に吸い取られ、私を飲み込むべく前屈みになっていたことも災いして、そのまま倒れこんだ。


 私の右手からは色とりどりの玉が生成されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。