第42話 赤竜島
予定通り7日間の航海を経て赤竜島に上陸した。
流石元々は漁船なので魚を採りながら進むので食料はバッチリだ。
航海の途中で怪我人とかも少し出たので船医さんと協力しながら治してあげたら、船長さんに大変喜ばれたし、驚かれた。
兵士やフリーランスには船酔いする人も多かったのでそこでも重宝された。
ただ、大したことない怪我でも皆やってくるので、船長さんに船員さんがどやされていたときは苦笑いするしかないけど。
ちなみに、ブルブルは前回の航海での経験と強化が効いたのか船酔いせずに、今回が初めての海の他の馬たちに優越感を覚えていたようだ。
お陰で島に着くころには私は皆といい感じの顔馴染みになっていた。
『船の上では医者とコックにゃ逆らうな』
なんて言葉もあるようで、その医者枠に無事に私も入れたという訳だ。
何しろ船の上での治療なんて本来大したことはできない。
擦り傷切り傷なんかは日常茶飯事でそこから熱を出す人もいたりするけど、せいぜい包帯を巻いて乾燥させた薬草を煎じて飲ませる位しかできない。
勿論、それでも効果はあるのだろうけど私の生命の玉での治療のような即効性がないので有難さは比較にならない。
幸い船医さんと言っても本職は漁師で、ちょこっと薬の心得がある程度の人なので特にやっかみもなかった。
島の沖合に停泊して小舟で島に乗りつけた兵士とフリーランスの総勢はそれぞれ5名と10名で15名。
これから7日間の調査をするに当たってのリーダーは隊長のゴドリエルさん。
ポートガスの町出身の兵士で今回白羽の矢が立ったのだとか。
「よし、全員集まったな。改めて我々の今回の任務を確認する。我々の任務はもう直行われるアラゴルン殿下のドラゴン討伐の下調べだ。ドラゴンの棲み処や道程の確認と頭数の調査が目的となる。ドラゴンを見つけても決して交戦してはならない!また、今回の任務はアラゴルン殿下の耳に入ると不興を買う恐れがあるので、くれぐれも痕跡を残さないよう気を付けるように!質問あるか?」
「はい!なぜ調査が秘密なのでしょうか?」
普通に考えたら事前調査なんてありがたいと思うんだけど。
「うむ、お前はフリーランスで子供だから知らぬのも無理はないが、アラゴルン殿下は他人に助けられるのを嫌う。自分の功績は自分1人の力で上げるべきだというお考えなのだ。」
「え?でもメイドさんとか連れてくるって話じゃなかったですか?」
「身の回りの世話なんかは特に問題ないそうだ。私も詳しいことは分からないが、何かツボがあるらしいので言動には気を付けるように。」
なんとも面倒な人のようだ。
手柄は1人締めしたいけど、面倒くさいことはやりたくないってところなのかな?
王家の人と絡むのは初めてだけど、色々違いがありそうだな。
「この島はそんなに大きくはないが、言い伝えでは向こうに見える山の上に竜が棲んでいるらしい。おおよそ歩いて3日もあれば着くはずだ。野営の跡は残さないように入念に片付けるように。では、出発する!」
そして、兵士達はめいめい馬に乗り、私もブルブルに乗り、残りのフリーランスは徒歩で出発した。
ブルブル以外の馬たちは一様に船旅で弱っているらしくて少し頼りない足取りだ。
『ねえ、ブルブル、あの子たち大丈夫なのかな?』
『う~ん、私と同じで二度と船に乗りたくないって思ってますね。果たして帰るときにどうなることか・・・』
『ブルブルは大丈夫?』
『ええ、私はミコト様に強化して頂いたお陰で全くもって平気です。ただ、薄暗い部屋に閉じ込められるのが辛いですけどね。』
『そうよねぇ、この依頼が終わったら思いっきり一緒に草原を走ろうね。』
『はい!約束ですよ!』
『あら、今度は空の旅じゃないんですか?』
『何よ!あんたなんて何処へでも自由にふらふらできる癖に、また私を苦しめようって言うの?』
『大体あんたは怖がりなのよ!』
あちゃ~チルチルが変なことを言ったもんだから喧嘩が始まっちゃった。
『いい加減にしなさい!お仕事中なのよ!』
『『す、すみません』』
何とか2人を鎮めて最後尾をのんびりと進んでいく。
ブルブルじゃなくたって、揺れない地面を歩けるだけで充分私だって嬉しい。
フリーランス組で唯一の馬を持っているということで皆の荷物を引き受けてあげたことで一層感謝されて、足取りも軽く島の中央の山を目指して進んでいった。
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