第34話 おもてなし
私が考える最高のご馳走と言えば何と言ってもお肉。
飼育しているお肉はとても高いのでサラヘでも貴族大商人御用達だ。
私も食べたことがない。
しかし、私には守護の役目での狩りの経験がたっぷりある。
しかも今はスキルも増えて魔獣だって問題なく狩れる自信がある。
もちろん、肉だけじゃなくてロッソ先生にも喜んでもらったソースも作りたいので必要な果物とかも採取していくつもりだ。
これと昨日もらったワインの樽を1つ解放すれば喜んでもらえるだろう。
他にも必要な薪も確保しないといけないから、倒木や枝を纏めて袋に入れていく。
もちろん、これらは全部お店で買うこともできるのだけど、せっかくお近付きの挨拶ということなら私を良く知ってもらうためにも自分で準備した方がいいかなと思ったんだ。
単純にお金の使い方に慣れてないというのもあるにはあるけど。
既に日は傾きつつあるけど、夜目のスキルのある我々には全く問題にならない。
腹ごしらえは串焼きの肉を取り出して食べた。
時間停止効果もあるので焼きたて熱々なのが嬉しい。
せっかくなので新しいスキルの練習も兼ねて狩りをしてみようと思う。
チルチルにはホワイトクローを使って薪割をお願いした。
私は迷彩スキルで姿を見えなくして見たが、気配に敏感な動物たちにはあまり意味がないようで、むしろ瞬間移動を使って獲物を引き寄せてナイフで首を切ったり、逆に死角に飛んで同じようにしたりするのが最も効率的だった。
狩った獲物はジャンジャン血抜きしてしまっておく。
猪3頭、鹿2頭、熊1頭を仕留めたところで夜が明けて来たので終わりにする。
チルチルも大量の薪を作っておいてくれたので全部回収して自宅に帰ったときにはもうお昼を過ぎていた。
寝る間も惜しいので庭で獲物の皮を丁寧に剥いで解体して口からお尻まで太い枝を貫通させて焚火の上に置けるように枝を引っ掛ける台を作る。
ブルブルも固定するのに手伝ってくれたので助かった。
皮は時間順行で良く乾燥させてそのまま庭に敷物として敷いた。
テーブルと椅子が一般的みたいだけど、山の中ではこうして地べたに座って食べるのも珍しくない。
そもそも、そんなにテーブルとか椅子もないしね。
他にもソース作りやら何やらしていたらあっという間に当日になった。
食器もないので持参するように改めてお願いして、夕方になるちょっと前に猪の丸焼きを庭で作り出す。
焦げないように遠火でじっくり焼くので時間が必要なのだ。
うん、これは見た目のインパクトが凄い。
無事に焼けたら次は鹿を焼くつもりだ。
匂いに惹かれて徐々にご近所さんが集まってくる。
正直まだ名前と顔が一致しないけど、奥様方が1人で準備している私を見かねて手伝いを申し出てくれた。
おかげでキッチンの竈も使って熊鍋作りも進み、丁度猪に火が通ったところで宴のスタートだ。
ワインの樽を開けて大人はワインを持ってきたコップによそってもらい、蛇の牙亭に頼んで買った大量のジュースの樽は子供達に解放。
「えっと、今日はありがとうございます。町での暮らしも初めてなので分からないことばかりです。私は狩りが得意なので、今日は私が狩ってきた獲物を皆さんに召し上がって頂いてお近付きになれたらと思います。では、乾杯!」
「「お~!」」
お酒とジュースとお肉というシンプルだけど、短期間で初めてのおもてなしとしては大盛況のような気がする。
お肉とお鍋はセルフサービスで提供したものの、元々ご近所さん同士なので興奮しながらも仲良く食べてくれている。
皆巨大な猪の丸焼きには感動していたし、領主からもらったワインにも舌鼓を打っていた。
すっかり料理も飲み物も綺麗に胃袋に収まると、パラパラと解散していった。
残念ながら向こうはインパクトあったと思うけど私の方は一度に沢山の人の顔と名前を覚えることはできなかったので暫くは苦労しそうだ。
でも、口々にお礼を言われたり、狩りを褒めてもらったりするのは嬉しかった。
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