勇者は…
帰る途中、魔法の練習がてらちょっと空を飛んだり地形を変えたりしていたので、もう魔法の制御の部分は大丈夫であろうところまで上がっていた。
トムが魔法を適当に魔法を使おうとして立ち止まってもアーロンは一切止まらず歩き続けていた。一見、薄情と思えるがトムにいちいち付き合ってると帰る時間が遅くなり過ぎそうだからである。トムが自在に転移をできるのも要因の1つだが。
アーロンに付き合って魔王城まで帰るともう夕方だった。何時もは転移で移動しているので歩くと結構かかったので驚いた。
一応、勇者のことをノアさんに報告しようと思ったがお腹が減っていたので先に夕食を食べることにした。もしかしたらノアさんも食べに来てるかもしれないし。
食堂に着くといつものようにコックさんが迎えてくれた。
「メニーは何にしますか」
何時ものように自分で考えて作ってもらえるのもいいかもしれないがあえて、
「シェフのお任せで」
「じゃあ俺も」
「私もそれでお願いします」
「では、私もシェフのお任せでお願いしますね」
何処からともなくノアさんが現れた。
「それでは席に座って暫くお待ちください」
それぞれがコックさんの言葉にうなずいて近くの4人席に座った。
丁度いいのでノアさんに勇者のことを話しておこう。
「ノアさん、さっき魔法の練習した後、アーロンに魔法を見せてもらおうと思って魔物狩りに行ったんだよ」
「アーロンは魔法制御が得意ですからね、適任です」
「でも、暫くして見つけたのは魔物じゃなくて勇者パーティで」
「そういうことですか。アーロンがぶちのめしたんですね」
「ああ、瞬殺だった。勇者って弱い」
「勇者は弱くないですよ、私たちが強すぎるだけです」
「そもそも勇者ってどういうものなんだ」
「それでは、勇者のできる過程を説明しますね。まず、いろいろな無知だけど正義感の強い人間が勇者学校と呼ばれるところに集まります。次に、集まった人間を改造します。種族人間から、種族改造人間、通称勇者に。改造を施すことで種族の限界存在強度が上昇します。しかし、改造を受けたせいで進化できません」
「じゃあさ普通の種族の進化に任せて方が強くなるんじゃないのか」
「今の人間の特権階級はまず魔人を仲間と考えません」
「つまり、魔人に頼りたくないが、魔人じゃないと俺たちみたいの相手にかすり傷1つ付けれないって訳か」
「ただ年々勇者の存在強度の限界値が上がって来ているようなので油断はできませんが気にするほどではありません」
話が丁度終わった頃、コックさんが料理を持ってきた。
「ラーメンです」
「何だこれ初めて食べるぜ」
「これはなかなか熱そうですね」
「私は火の鳥とも呼ばれる種族の生まれですから熱さなんてへっちゃらです」
「また記憶を読んで作ってくれたのか」
「はい、喜んでいただけましたか」
「でも、この世界の料理も食べてみたいから今度はそういう風に頼むな」
「そうでしたか。確かに知らない料理を食べるのは楽しいですしね」
「俺の料理に関する記憶を全部読んどいたら。食べたことがないのは多いけど名前だけとかイメージだけとかなら結構いろんな国の料理を知ってるからな」
「そうですね、でもできる限り一品ずつにします。知ると作りたくなってしまうので」
「でもさ、別に俺の記憶から読んだ料理でもいいんだよな」
「どうしてですか」
「そんなのもちろん、元の世界で食べたより美味いからに決まってるだろ」
「また、嬉しいことを言ってくれますね。そうですか、それは料理人冥利に尽きますね。では麺が延びないうちに食べてください」
「そうだな、いただきます」
挨拶をすると一気に食べ始めた。やはりいつも通り美味しかった。スープは塩のようだ。もちろんスープは絶妙なバランスで恐ろしいほどの完成度を誇っている。
十分程度たつと全員がスープまで飲み干していた。
食べ終わるとこっくさんにお礼を言ってそれぞれが部屋に帰っていった。




