名付け
何時もより短いです。
光が収まるとそこには鳥がいた。見た目はデスフェニックスの燃えていない状態を小さく可愛くしたみたいな小鳥だった。
するとノアさんが声をかけてきた。
「成功したようですね」
「これで成功なら」
小鳥はあたりをきょろきょろと見回していた。
「成功したのは嬉しいんだけど、名前考えてないや」
「では名前を付けてあげてください。名前が気に入らなかったらそのまま野生に帰ると言う話を聞いたことがありますけど」
「名前か、使い魔に性別ってあるのか」
「ある種類と無い種類がありますが恐らくその鳥は雄でしょう」
「じゃあ名前は……ブゥにしよう」
小鳥は嫌嫌という感じに首を振っている。
「う~んじゃあこれはどうだ……」
30分後。
小鳥は全ての名前に対して首を振っていた。もうそろそろネタが底を尽きそうだ。
そんなこんなで最終的に、
「クゥでどうだ」
小鳥はよしという風にビシッと右の羽を掲げて見せた。
「クゥでいいんだな」
小鳥もといクゥは肯定を示すように両翼で軽く羽ばたいて見せた。
「どうやら無事名付けれたようですね」
「名前はクゥで決まった。いったい何個名前候補を出したか覚えてないよ」
「お疲れ様でしたトム。クゥが何ができるかを軽く聞いてみてはどうですか」
「分かった」
最初に立っていた場所から殆ど動かずにクゥは待っていた。
「クゥ、何か特技はあるか」
「体を黒い炎に変えるトゥルー《黒焔化》《黒焔操作》と体の大きさを今の大きさから主殿と戦った時ほどの大きさまで変化できるスキル《伸縮自在》その他などもありますがとるに足らないものなのでいつか他の機会にお願いします」
「!?」
「どうしましたか主殿」
「!?」
「ええっと主殿」
「クゥが喋った」
180°ターンしてノアさんのもとにに向かった。
「クゥが喋りましたノアさん」
「もしかしたらもとの魂が中に戻ったのかもしれませんね、できる限りのことは聞いておいたほうがいいと思いますよ」
もう一度180°ターンをしてクゥに向き合った。
「自分に関しての記憶はあるか」
「しっかりあります」
「じゃあどうして今こんな状況なのか憶えているか」
「数ヶ月前空を適当にゆらゆら飛んでいた時よく分からん黒い光に飲み込まれて、そして気が付いたらデスフェニックスなっていて勝手に体が動いていました」
「フムフム、それで」
「その後は主殿が抉り取った核の中で私と私をデスフェニックスに変えた原因である呪いみたいなものがあったんですが、主殿が魔力を核に注ぎ始めた時からのろいのほうは次第に弱くなっていって、呪いが完全に消えたときスキルなどデスフェニックスの特徴だけを残し、呪いは完全に消え去りました。そして残った器に私の魂が残ったのです」
「じゃあさ、俺を乗っけて飛ぶことできるか」
「もちろんです主殿」
「今度機会があったら背中に乗って空中遊泳しようぜ」
「それは楽しみです主殿」
「大体理解しましたトム。いろいろひと段落したことですし昼食を食べに行きましょう」
「クゥも大丈夫か」
「逆に聞きますがコックさん達が使い魔は立ち入り禁止なんて言うと思いますか、むしろ客が増えたと喜びそうですよ」
「それもそうだな。クゥ頭か肩の上に乗ってくれ」
「それでは失礼します主殿」
4・5回羽ばたいてクゥが肩に乗った。
「それじゃ食いに行くか」
そう言ってトムたちは歩き出した。




