クゥの好物
今回は魔王城の道をしっかり覚えるのも兼ねて歩いていくことにした。
といっても実は魔王城の構造はでかいだけで簡単だ。大きな建物で言えば、城本体、1階の裏庭側からいける修練場と宝物庫の三つしかない。
城自体も大まかに分けると四つに分類できたりする。しかしそれはまた別の話なので置いておく。
とりあえず別館にある修練場は結構と距離があるのだった。
出発してからクゥは最初右肩でとまっていたのに、気づいたら左肩に乗ってたりする、最終的にはやっぱり右肩に落ち着いたらしいが途中には頭の上でとまっていることもあった。
「そういえばクゥの不死性はどうなってるんだ」
「トム、使い魔を創るときの核は使い魔が誕生したときに魔力を注いだ者と同化します。恐らくですがクゥの核もトムの再生能力の範疇に入ってると思います」
「じゃあ俺と一緒に無茶苦茶やっても大丈夫なんだな」
「何処までも着いて行きます主殿」
「トム、クゥはトムほどの完全な不死性を直接持っているというわけではないので気をつけて下さい。さっきは魂が戻ってこうなったと言いましたが、もしかしたらデスフェニックスとしてのクゥを完全に倒してなかったのかもしれません。核の持ち主と同じになるのも、アンデット種なのも初めてみました」
「ノア殿それは違います。私はデスフェニックスの能力を持っていますが不死鳥に分類されます。亜種扱いだと思いますが。それと私は不死種ですがアンデットよりでは無く不死鳥よりですし、第一魔法生物である使い魔にアンデット種はいないと思いますよ。あるとすれば死霊術でしょう」
「そういえばそうでしたね、ゴットバードアタックは使えますか」
「はい。しかもノーリスクで」
「ゴットバードアタックってなんだ」
「不死鳥の最終必殺技です主殿。通常焔をまとうだけの不死鳥が全身を焔に変換して突撃。大爆発を起こして敵を殲滅する方法です。ただ不死鳥は全身を炎に変換するのが通常では無理なのでよくて一年療養普通は死にます」
「つまり負荷が掛かるのが全身を焔に変えるときだからクゥは大丈夫なんだな。それに核が本体に無いから核が壊れて死ぬ可能性もないしな」
「ただ体は完全に四散するので再構成に時間が掛かりますが」
「クゥの好きな食べ物ってなんだ」
「魚です主殿」
「そおかじゃあコックさんに美味しい魚料理を頼もうな」
「それは楽しみです主殿。食事をするのは3ヵ月ぶりな上まともな料理を食べるのは初めてですから」
「それは良かった。コックさんの料理は世界一だからな。でも近くの海とか川あるのか」
「ちょっと遠いけどありますよ。でも彼らにとってはその程度を数分で行くのは造作も無いと思いますよ」
「良かった。なかったらクゥに乗っけてもらって空の上から探さないといけないところだった」
「それはそれで楽しかったかもしれませんよ主殿」
「そうだな」
「トム魔王城の正面の門の方向へは真っ直ぐ進んで行ってはダメですよ」
「どうしてだ」
「人間の町があるので魔王軍が攻めてきたと思われます」
「そりゃダメだ。そういえば使い魔を創るのって魔力はどれ位いるの」
「核によりますがかなりいりますね」
「じゃあ何処からクゥを使い魔にした魔力が出てきたんだろ。あの時は眼を魔眼にしてたから存在強度は百切ってたはずなんだけど」
「魔眼の魔力が流れ出たんだと思いますよ。特殊物質を操れるトムなら不可能ではないと思いますけど。ここではいいですが外部のものには秘密にしたほうがいいと思いますよ」
「どうしてだ」
「特殊物質は低純度でもありえないほどの魔力を蓄えることができるといいます。それに今のトムの眼は高純度といっていいでしょう。一応覚えていてください」
「そういえばさ、さっきから凄いからだが軽いんだけど」
「ああ気づいてなかったんですか。たぶんですがデスフェニックスの核を使い魔にしたときまだ死んでなかったデスフェニックスを殺したという裁定になったのでしょう。トムの存在強度は1000弱ほどまで上がっていますよ。まさかここまで速く上がるとは思いませんでした。魔眼化と解除の能力は恐ろしいほどの存在強度の上昇をもたらしますね。トムが持ってる武器の影響もありますけど」
「この剣、魔王も一撃のキャッチフレーズだったんだけどな」
「大丈夫ですよ魔王様は不死不死鳥ほど再生能力は高くないですし、城塞亀よりも小さいですし。ただ胸部の核晶を壊さないと腕とかはしばらくすると生えてきますからね」
「魔王ってすごいんだな」
「それを主殿が言うんですか」
「魔王様が持っているのはスキル《再生(強)》ですからね」
「スキルなんだ」
「ええ、魔王様はこれを使わないといけない怪我を1、2回しかしてませんし」
「そういうことか。魔王ってやっぱり強いんだな」
「トムは昼食は何を食べますか」
「クゥと同じで魚料理かな」
階段をのぼっているといい匂いがしてきた。
「あ、もう直ぐ着くぞクゥ」
「はい、いいにおいですね」
階段を登りきると二人と一匹は真っ直ぐ食堂を目指した。




