活動
夜が明けて、朝の外の空気が澄んでいるうちに散歩に行こうかなと、ティアを誘ってみると、まだ眠いとのこと……。
あれだけ寝てたのに?
ドラゴンは基本的に寝ているものなんだと言い張るので、置いていくことにした。
ドアを出て、物陰に入ったところでワンコ形態に戻り、街中を駆け回る。
一応、感知で人が少ない道を選んで走り回っている。
まぁ、視認できる人は少ないと思うんだけどね……。
ギルドは24時間営業なんだ!
まだ日が昇るか昇らないかの時間なのに……。
エルザさんが、なにやら指揮を執りながら、皆でバタバタしているのが見える。
なので、目の前を素通りする。
そのままトテトテ歩いていたら、市場に出た。
市場では朝市の準備をしていて、まだ何も買えそうにはないね……。
なので、市場の真ん中をトテトテ歩いていたら、串焼きの準備をしていたおじさんが、自分の朝食なのか、串焼きの肉を焼いていた。
思わず匂いに足が止まる。
強面のおじさんなんだけど、皿に焼けた串焼き肉を串から外して、目の前に出してくれた。
ワンコとして、キチンといただく。
お、美味しい♪
「どうだ! 俺の串焼きはうめぇだろ? ガハハ……」
笑いながら、こっちを見るので、
「ワフン!」
返事をしておく。
頭を下げて、前足でお皿を返しておく。
「お、なかなかイイコじゃないか」
頭をグリグリ撫でられた。
力強い……。
さらに市場の中を歩いていると、今度は飲み物を皿に入れて出してくれる褐色肌のお姉さんがいた。
露出高めの服だけど、南国系の人なのかな?
ジュースはパインジュースだった。
少し酸味はあるけど、子供の頃に飲んだパインジュースを思い出す味だった。
「ワフン♪」
と、お礼をして、その場を後にする。
そろそろ戻ろうかな……と思って、木陰でヒト形態に戻る。
パインジュースを4人分買って、さっきの串焼きのお店で串焼きを10本買う。
パインジュースが銅貨2枚なので、串焼きのおじさんと、黄昏の剣の4人分で銅貨8枚。
さっきのお礼もかねて、銀貨1枚を渡す。
串焼きは1本銅貨3枚なので、銀貨3枚を払って、おじさんにパインジュースを1つ渡す。
ビックリしていたけど、喜んでくれたから良しとする。
串焼きの匂いをプンプンさせながら家に入ると、ランスロットさんが朝食の準備をしていた。
あのゴツい身体にエプロンが可愛い……。
「おはよう。
散歩か? というか、何をそんなに買ってきたんだ?」
串焼きとパインジュースを渡すと、パインジュースを1つだけ返してくる。
「1つは自分で飲めよ?
買ったなら、ちゃんと味わわないと相手に失礼になるからな……。
残りの1個は俺が飲む。ありがとう。
で、もう1つは肉を漬ける。柔らかくなるんだよ」
ニコッと笑いながらキッチンに向かったのだが……。
「串焼きは、朝はたぶんアーサーは無理だな。
アイツ、朝はスープしか飲まん。
マーリンは起きてくるかな?
俺の分があるなら、テーブルに出しといてくれ。
もうすぐアーサーが降りてくるだろうから、朝食にしよう」
食卓のテーブルに串焼きを置くと……パタパタとティアが飛んできて、目を輝かせている。
その後をアーサーさんが降りてきて、テーブルに座る。
私の前とランスロットさんの前には、目玉焼き、ベーコンとパン、スープが並んでいる。
けど、アーサーさんの前にはスープだけ……。
マーリンさんのところには何もない……。
「おはよ~」
めっちゃ眠そうなアーサーさん。
「おはようございます」
だるそうに椅子に座ると、軽く手を上げる。
ランスロットさんがエプロンを外した格好で、席に着く。
「ランスロット~ォ、肉の匂いが……」
「あぁ、ライザが朝買ってきてくれたんだよ。食うか?」
「無理だ……スマン、ライザ」
「いえ、朝からはキツいですよね」
「ワレの分が増えるか?」
「そうだね、何本食べる?」
「ランスロット殿に2本、ライザ様が1本、残りはワレで良いじゃろ?」
「何で、僕は1本なの?」
「ライザ様からは食べた匂いがするからじゃな……」
バレてた……。
そんなこんなで朝食を食べ終えて、パインジュースを飲んでいたら、ギルドの人が訪ねてきた。
「ライザ殿へ。
ギルドマスターから、ギルドに来るようにとの話です」
あ、なんか嫌な予感……。
「断っても?」
「お願いします。私の立場が……」
泣きそうな顔で言われた。
「わかったよ~。すぐに行きます。
ということで、ちょっと行ってきます。
片付け手伝えなくてごめんなさい」
「あぁ、気にしなくて良い。
アーサーの頭がシャキッとしたら、マーリンを起こして、俺達もすぐに行く」
「あぁ、もうすぐだから……たぶん親父絡みだ……。
早めに行くよ」
「わかった。行ってきます」
ギルドの職員と一緒にギルドへ向かう。
ギルドの中は、何かお祭り騒ぎのように慌ただしかった。
新しい依頼が貼り出され、それを冒険者たちが奪い合っているのが、この喧騒の理由だと職員さんが教えてくれた。
受付の横で待つエルザさんに、ギルマスの執務室へ連れていかれる。
そこにはギルマスとエルザさんがいて、2人と向かい合うように座る。
「おはようございます。
で? 何か?」
「おう、おはよう。
昨日は大変な1日だったな!」
「まぁ、そうですね。
でも、黄昏の剣の3人とたくさん話せたので……」
「そうか、良かったな……」
なんか、含みのある顔つき……。
「エルザ、頼む……」
「はい、ライザさんに依頼が入りました」
「依頼?」
「はい、依頼です。
内容は……」




