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拠点ができた

食堂に行くと……。


テーブルには、様々な料理が並んでいた。


アーサーさんが満面の笑顔で言う。


「こうやって、いっぺんに出た方が食事は良いよな!」


そこで、マーリンさんも口を挟む。


「そうね。実家や王宮で食べるときなんて、一口食べると次は……みたいに、めんどくさいしね」


最後のスープを運んできたランスロットさんが、呆れたように言う。


「あれは、あれで作る方は大変なんだぞ?

 食べるだけなら、文句は言っちゃ駄目だ」


正論だ!


やはり、この人は苦労してるみたいだ……。


「でも、今日は俺も手伝ったろ?」


「あぁ、助かったよ。アーサーも腕を上げたな」


「まぁな……。お前が動けないとな、死活問題になるからな……」


チラッとマーリンさんを見る。


マーリンさんは、そんなことより早く食べたそうだ。


「まぁ、座って食べようか」


4人でテーブルを囲み、食事が始まる。


あっ! と思ってティアを見ると、自分の倍はあるんじゃないかと思うような肉の塊にかじりついている。


「お風呂から出てきて、肉の塊を指して、『ワレの食事は、それを焼いて欲しい』と頼まれたからね」


「おぅ! 俺が味付けて焼いたぜ!」


ティアの食べている肉の塊を見て、


「アレも美味しそうね」


と呟くマーリンさん。


少し残念美女だ……。


「ライザから貰ったチュールは、そこのグラタンとスープに使わせて貰ったよ。


 それと、コカトリスのモモ肉に小麦をふって揚げたもの。


 胸肉は表面だけを焼いて、中は生のまま切り身にして、レモンをかけ、お酢と刻みネギをまぶしてある。


 メインはワイバーンのステーキだな。塩と胡椒で味付けてあるから、そのままいける。


 スープには、チュールの肉と野菜を小麦と羊の乳でゆっくり煮込んである。途中でスープからグラタン用に分けて、小麦と乳を足してチーズを掛けたんだ。


 飲み物は、俺達はワインだが……ライザはどうする?

 ワインと、果物を絞ったジュースがあるが?」


「あ、僕はジュースで……」


グラスにオレンジ色の飲み物を注いで渡してきた。


「じゃぁ、再会とライザの冒険の始まりに、カンパーイ♪」


「「「カンパーイ♪」」」


どの料理も美味しい……。


この世界の料理の水準は高いのかも知れない。


「あ~、ライザ……これはランスロットが独自で考えた料理だからな。

 普通の食堂だと、高級なところに行かねぇと、このレベルは出てこねぇ……」


「えっ、そうなの?」


「うん、そうなのよ……。


 旅の醍醐味って、行った先の料理とかあるでしょ?


 それなのに、着いた先で入る食堂とか、美味しいのだけど……ランスロットのに比べたら足りないのよ……」


「だから、その都度そこの特産品で料理してるだろ?

 文句を言うな!」


「「文句じゃないよ。感謝してる」」


ちょっと、ランスロットさんを尊敬する。


「旅で美味しいもの食べられるだけ、幸せですよね♪」


「あぁ、今回は迷宮内でも食べられそうで安心してるんだ」


「あ、そうね……。マジックバッグ手に入れたもんね!」


「マジックバッグ?」


「あぁ、ライザのアイテムボックスと同じだ。

 食材だけなら3年分くらい入る。時間が経過しても中では腐らないしな。何より、こぼれない!」


アイテムボックスの時間経過とか、考えたことなかった……。


「じゃあ、今回はベヒモスの前でお腹が空いて危なくなることも無さそうだね」


「「あ、そうだったな……」」


「今回は、作り置きを作っておくのと、ドロップした食材なんかも使いながら行けるし、前回より余裕がある探索が出来るな」


「そうだな……前回が1ヶ月くらいか?」


「う~ん、30階層までで2週間、31階層以降で2週間だったかなぁ……」


「そうだな……ギルドに死亡届を出される寸前だったな」


「まぁ、今回も同じ期間で大丈夫か?」


「いや、倍の期間を取ろう!

 今回は攻略もそうだが、強くなるのが目標だ!

 試練の部屋をクリアしても戻らず、何度か挑戦してみよう」


「そうね……。あそこにはルルの湖があるし、ウンディーネから貰った魔法も熟練度を高めないとね」


「そうだな……少しでもライザに追い付かないとな……」


「えっ? 僕に?」


「帰ってきたら、模擬戦でもするか」


アーサーが笑いながら言うけど、ごめんねしたい……。


力加減、めんどくさいんだもん。


「帰ってくるまで、ここの拠点はライザが使っててくれると助かるな……」


「そうね。暫くは何回も行ったり来たりするから、長くても1週間くらいね」


「そうだな……食料庫にも食材は残ってるし、ライザもギルドの依頼をこなすのも良いしな……」


「えっ、でも家賃とか僕、出してないよ?」


「お前、俺達はSランク冒険者で、それに一応、3人とも王族や貴族だぞ?

 そんなケチ臭いこと言わないさ」


「まぁ、使ってる間の維持費は出して貰うけどな」


「ホントに良いの?」


「あぁ、その方が帰ってきた時に楽だってのもあるしな」


「そうだな……疲れてるのに、掃除から始めるとか嫌だからな……」


「そうそう。メイドさんとか雇うと、ここを離れるときに可哀想になるしね……」


「わかった。じゃあ、ありがたく使わせて貰うね」


そんなこんなで、居住場所が一応決まった。


その後も雑談していたら、夜は更けていった。

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