3,「殺さないと約束しましたけど、あれは嘘でした」。
僕が玄関に行こうとすると、美弥が止める。
「まって、兄貴──おしっこしてくる」
「分かった」
美弥がトイレを済ましたところで、玄関ドアを開けた。
はい、スタンガンを一発くらう。
僕は全身が痺れ、その場に倒れた。後ろ手で手錠をされ、頭巾も被せられる。そして引きずられていった。ワゴン車(?)に放り込まれる。物音からして、美弥も隣に放られたようだ。
やることもないので寝るか。
到着したらしく、ワゴン車の後部ドアが開く。
僕の意識も覚醒。また引きずられていき──なぜ自分で歩かせてくれないのか──どうやらボートに乗せられたらしい。とすると東京湾かな、ここは。
両足にロープを巻かれたと思ったら、海に放り捨てられた。
ざぶんと海中。一気に海底へと引っ張られていく。重りを付けられているのかぁ。
ロープを外したいけど、後ろ手で手錠されているからなぁ。
この前、橋場重樹を殺したときゲットした新スキルを使うか。
《自爆》。
全身が粉みじんになる。そのおかげでロープも外れた。その上で、海面で完全復活。
頭をかすめるようにして、僕を捨てたボートが行こうとする。頑張ってしがみ付いて、這い上がった。
ボート上には3人。美弥の姿はない。美弥が海に捨てられていないのは確かなので──あれ、美弥だけ連れていかれた?
僕はボート後部にいて、まだ3人ともこちらに気づいていない。
さくさくといこう。
《地獄神》を召喚。まず近くにいた男に飛び掛かり、頸にドリルビットを叩き込む。
素早く抜くと、頸動脈からドバーと血が噴き出す。この血を2人目の顔面にかけた。すると、その人はパニックになって転び、後頭部をボート縁にぶつけて勝手に死んだ。
そこで僕は、ゆっくりと3人目に近づく。残念ながら冒険者ではなく、ただの一般庶民さんだ。とはいえ、Sランクに使われているのならば同罪。
「く、くるんじゃねぇ!」
3人目がハンドガンで発砲してきた。拳銃弾が、僕の頭部に被弾。同時に完全再生。弾丸が足元に転がる。
「ば、化け物!」
「違うモンスターです」
3人目の右ひざにドリルビット。続いて左肩と、右わき腹に連続ドリルビット。
「ぎゃぁあ!」
「さてと──自己紹介から始めます? 僕は南波知樹。まぁご存じかもですけど。あなたは?」
「びょ、病院に連れてい、いってくれ。こ、こんなに血が出て……血が、血」
2人目が死んだと思ったのは勘違いだった。呻き声を上げている。まだ息があったので、頭頂部にドリルビット。
それを見て3人目が悲鳴を上げた。
「こ、この鬼畜があぁぁ!」
「だからモンスターですって。で、お名前は?」
「お、教えるもんか」
最近、ただドリルビットを押し込むだけでは芸がないと気づいた。技的なものが欲しいよねと。たとえば、これ。
《爪破壊》。
ドリルビットで指先を破壊するだけだけど。技名があるとカッコいい。
3人目の右手を抑えて、ドリルビットでまず親指を破壊した。
「や、やべろぉぉお!」
暴れるので押さえ込むのが大変だが、向こうは負傷している。そのアドバンテージがある。
続いて人差し指を破壊。
「ま、まっでぇぇ。俺は安藤。安藤でぇぇぇぇす!」
「では安藤さん。誰の指示で動いているんですか?」
「も、守谷さまのご子息に」
「守谷って、守谷卓? Sランクの中でもトップクラスじゃないですか。だけど飯山家の事件を起こしたのは、守谷卓の息子さんか。名前は、えーと」
「勝好さま」
「そうそう守谷勝好。もちろんSランクの息子は、Sランクだ。なら今回殺すのは、守谷勝好さんかぁ。まてよ。美弥は複数の魔法臭を嗅いでいたけど。飯山家惨殺の犯人は、守谷勝好だけではないですね?」
「さ、さぁ。俺は守谷家の、指示で動いているだけで……」
「まあ守谷勝好から聞くとしますか。ところで安藤さんって、ご職業は?」
「け、警官です」
「ははぁ。警官がこんなことしちゃダメでしょう」
せっかくなので残りの指先も壊しておいた。
「ぎゃぁああ! や、やめて、やめでぇぇぇ!」
「ところで、僕の妹はどこに連れていかれたんですか?」
「守谷勝好さまが、その、ご友人に贈られるとのことで──」
「贈る? 美弥はまだ14歳なのに?」
「はい」
「へぇ」
これは一族郎党皆殺しコースだね。
「で、どこへ運ばれていったんですか?」
安藤は泣きじゃくった。
「お、お願いします。命だけは、た、助けてください。お、俺には家族がいるんです」
「僕はモンスターですからね。狙いは冒険者だけですよ。安藤さんを殺したりはしません。ただ知っていることを教えて欲しいだけです。あと岸までボートを操縦してくださいね」
美弥が連れて行かれた場所の住所を聞き出す。
その後、安藤の操縦で陸まで戻った。
「あ、あの、俺はこれで──」
「了解です。あ、安藤さん。足元にフナムシが」
「え?」
安藤が下を向いた瞬間、〈地獄神〉で額を打った。
「殺さないと約束しましたけど、あれは嘘でした」
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