第28話 愛され方
「大人しくゴミ箱から出てくるか、入ったままぺちゃんこに潰されるか選んで?おじさん。」
ミルフィは俺をゴミ箱ごと持ち上げる。
力持ち過ぎん?俺成人男性だぞ?
この筋肉メスゴリラめ。
俺は腹を括って大人しくゴミ箱から出てこようとする。
「わかったから。わかったから。今出るて。乱暴してないで。ちびっ子ちゃんいや、ミルフィちゃん。お兄ちゃん謝まるので許してください。」
ゴミ箱から放り出されて俺は地べたで命乞いする。
時間を稼げ。ここは大通りだ。人の目も多い。小メットと言えども下手に動けないはず。それに…..
そう思って俺は洋風のショッピングお店のガラス張りの壁まで貼っていく。
中の親切な店員のおじさんが俺らに気がついて、小走りで表に出てくる。
まじか!ナイスタイミング!このメスガキを惹きつけてくれ!その間に逃げるから。
俺はおっさんに期待の目線を向ける。
「すみません、当店ではぼ、暴力は許されませんよ。あの、お、お引き取りください。」
おっさんは俺の隣でミルフィに震えながらそう言う。
ミルフィはまるで全身から禍々しいオーラが見えそうなほど殺気を放っていた。
うわ。これに立ち向かうとか。おっさん、職業勇者だろ。俺は『ラビットの俊足』を発動させるべく隙を窺う。
おっさん!お前に賭けた!俺は信じてるぞ!俺は尊厳の眼差しを向ける。
おっさんはミルフィから睨まれて一歩も動じない。
あちゃー。
このモードのメスガキに挑むの俺でも中々出来ないぞ?もしかして強いのかおっさん!
ミルフィが俺が寄りかかってるガラス張りのショーケースに力一杯右ストレートをぶち込む。
ガラス全体が凄まじい音を立てて砕ける。
ミルフィは青筋を浮かべたままオッサンに笑顔で聞く。
「何かいった?」
オッサンは厳しい表情のまま固まっていた。
無意識のうちに格闘の構えをとっていたらしい。
まるでカンフーでも放ってきそうだ。
強者の余裕か?
おっさんはポーズを取ったまま全く動かない。
そう思っていると。固まったまま目の前で倒れた。
て、おい!
気絶してたんかい。おっさん!
俺はミルフィの目を見て真剣な表情を作る。
「なあ。俺ら話せばわかると思うんだけど。通じ合えないかな?」
俺は手で精一杯片方のハートを作ってミルフィに送信する。
通じれ!メロメロの魔眼がある俺はまじでイケメンに見えてるはず。
ミルフィちゃんは笑みを浮かべたまま。拳を固めて俺との愛の距離を詰める。
「ミルフィちゃん!わかってくれたか!」
俺はハグできるように腕を広げる。ミルフィはステップしながら駆け寄って。
俺に精一杯のアッパーを食らわせる。
俺は割れたショーケースの中のマネキンを吹き飛んで薙ぎ倒す。
このメスゴリラ全然聞かねええ。
俺はメスゴリラに詰められて絶望に暮れるのだった。
どうやらいつの間にかミルフィ1号も合流したらしい。
視界が威勢のいいパンチで揺らぐ。
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
前回は片方だけ殴ってきたが。今回は万全を図るためか1号が俺に馬乗りになり顔面を整形し、2号が俺の下半身を足で踏んつげている。
待って。そこ踏んじゃだめえええ。女の子になっちゃうから。いやあああああ。
俺の悲鳴に合わせてミルフィは愉悦の表情を浮かべる。
俺がイケメンお兄さんからイケメンお姉さんになったらお前のせいだぞ。
ニヤニヤしてんじゃねぇえ。
俺が終わらない蹂躙に身を晒されていると。
ミルフィの後ろに見覚えのある人影が見えてきた。
おおおお!やっと来てくれた。
俺は不敵の顔になる。
「ちびっ子よ。慕われているお兄ちゃんをいじめると痛い目を見ると言うことを教えてやろう。」
偉そうに宣う俺にミルフィは小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「おじさんすぐ調子乗るよね。雑魚のくせに。このままじゃ女の子になっちゃうよ?ww本当。ざ〜こ⭐︎ざ〜こ。」
ミルフィは俺の敏感な部位を靴を履いたまま踏んづける。
痛い。まじでそれは辛すぎるて。ママァ。
俺は助けを求めて後ろの影に視線をやる。
我慢ができなくなったのか。後ろの人物は強烈な匂いを放ってきた。
ミルフィに負けず劣らず余りにも濃い殺意。
ミルフィが室内の匂いが変わったことに違和感を覚える。
「ん?変な匂い。おじさん香水してんの。」
後ろの鬼にまだ気がついてないらしい。
そのまま俺を虐めていると鬼は2丁のナイフを装備し俺を踏んでいたミルフィ2号の背中を躊躇なく真っ二つに切り裂く。
一閃。
2号はいきなり胴体が分裂したことに疑問を抱いたらしい。間抜けな声を上げる。
「へ?」
2号は霧になって消えていく。
異変に気づいた1号が慌てて副委員長の存在に気がついて大振りの拳をふるう。
副委員長はひらりとミルフィの攻撃を交わし。そのままナイフを落として彼女の拳を掴んで背負い投げをする。
バコーン!
「グヘッ!」
無様に投げられたミルフィは背中を強打して深呼吸し、
レモンガスを大量に吸い昏倒する。
俺は感動してパチパチ拍手した。
流石俺の嫁!最高にかっこいい!助けてくれるて信じてたよ!副委員長ちゃん!
俺は駆け寄って副委員長に抱きつく。
「心配しました。いきなり家出したものですから。ずっとずっと待ってたんです。
西宮君ご飯の時間になっても帰ってこなくて……だから迎えにきました。」
副委員長は涙を流しながら俺の腫れた頬を撫でる。
「痛かったですよね。西宮君。もう大丈夫です。私が来ました。もう誰にも西宮君には触れさせませんから」
副委員長俺の顔をデカいパイの中に包み込む。
ちょっとタンマ。窒息する!副委員長!息がっ…..。
俺の脱獄を彼女は責めなかった。
俺は真っ直ぐな彼女の体温で愛とは何かを知った気がした。




