第27話 顔面整形出張診断
「俺はおじさんではない。お兄さんと呼びたまえ、ちびっ子ちゃん」
俺は背丈が160cm行かないぐらいのぱっと見み中学生みたいな身長の子にミスバーガーも追加で買って貰って頬張る。
どうやらお小遣いですら俺より持ってるらしい。
ツインテールのキラキラ光を反射する金髪だ。
何処か懐かしい気がしたのはなんでだろう。
ちびっ子ちゃんが空き地にしゃがんで、目の前に餌(追加のバーガー)をぽいと投げて、俺は拾って貪る。
餌付けか?これは?
俺は気になっていたことを聞いてみる。
「所でちびっ子ちゃん、俺らどっかで会ったことあるかな?」
ちびっ子ちゃんは嬉しそうにニヤニヤして答える。
「ないよ。おじさんの勘違いなんじゃないの?」
俺の腹が膨れてると俺らはお互いのことを話した。
俺は某高校を出てバックパックしている田中と言う設定にした。
この子は、ミルフィちゃんというらしい。こう見えて学業に並行してお仕事もしているらしい。
何のお仕事かは教えてくれなかった。まあ個人情報だから教えたくないかもしれない。
悪い奴では無さそうだ。
俺がバックパッカーとしてまじで棲家に困っていると言うと。
彼女は俺を家に連れて帰ってもいいと言ってくれた。
俺は彼女について行くことした。
年下に養われたっていいさ。生き残れればムーモータイよ。
俺はダンボールハウスに別れを告げて、綺麗に折り畳んでゴミ置き場にぶち込んだ。
裏路地に差し掛かった時彼女は俺の方を振り返る。
どした。なんか忘れ物か?
俺は不思議そうな顔をした。
彼女は周りをチラチラ見回して人がいないのを確認すると、構えて拳を爆速で俺の顔にぶつける。
「えい⭐︎!」
骨が砕ける音が鳴った。
「うぐっ」
俺は頬を押さえて吹っ飛び、地面に寝っ転がる。
おいおい、何すんだよ。クソガキ!
ミルフィは活かした笑顔を俺を向ける。
「どこで会ったか思い出した?おじさん」
殴られた皮膚が疼く。でもわからない。俺みたいな爽やか系イケメンがどこで恨みを買うって言んだ。
俺は適当に言ってみる。
「あっ?俺が取った帽子の持ち主?それとも教室で目が合ったモブ女子か?」
ミルフィはニッコニコで距離を詰める。
全くこいつ全然容赦ねーな。
てかクラスにこんな小さい子居たか?
まさか俺のメロメロの魔眼はどっかでこいつみたいな貧相なガキも巻き込んじまったのか?
俺は哀れな目線を彼女の胸部に向ける。
大丈夫、まだ伸びしろあるからな。
ミルフィはブチギレメーターが限界突破したようだ。
「カスジジイ。その眼やめろ!ブッ殺す!ゼッタイブッ殺すから!」
俺は立ち上がって草原のラビットの如くの俊足でゴミ溜めの隣を横切る。
これぞ路地裏のラビットだ。
ミルフィはよっぽど怒ったのか地団駄を踏む。
ふむふむ。これどこかで見たぞ?確か……
そう思っていると彼女の隣の虚空から二人目のミルフィが現れる。
やっぱりお前!!
小メットじゃねーか。
俺はドブ川の件を思い出して爆笑しながら走る。
「ぶははは。草。お前まじでドブ臭いな。俺が恋しくて追ってくるのもくっそツンデレだぞ?」
小メット改ミルフィは真っ赤になったリスのようだ。ポケットからナイフを取り出して、俺のの隣に投げつける。俺の前髪が切れる。
いや怖っ。まじで殺す気かよ。こいつ。俺は普通に少しビビった。
「クソジジイ!お前だけは許さないから!絶対絶対まじで追いついたら顔面がミンチになるまで殴り潰してやる!!!」
「おい!待てや!クソジジイ!」
ミルフィ1号と2号がどうやらキーキーと騒がしいらしい。さっき殴られた所が麻痺したのか俺は痛みを感じなくなった。耳をほじりながら走る。
「聞こえない。聞こえない。じゃミスバーガーご馳走様!じゃーな。ドブ川のちびっ子!」
俺は別れ道の曲がり角を曲がるふりをして、近くの巨大なゴミ箱を見つけるとその中にさっさとと隠れる。
うげっ、生ゴミの匂いがする。
ミルフィが近くを怒鳴りながら駆けていく声が聞こえた。どうやら別れ道にそれぞれ一体ずつ派遣したらしい。
俺は息を潜める。
こっちとら潜ってる修羅場の数が違うねん。
さあ通りすぎたまえ。ちびっ子よ。俺は隙間から彼女が近くをうろうろしているのを見る。
ミルフィ2号は何もない所で俺の痕跡を一生懸命探そうとしているみたいで、そこら近くの公園の入り口や道の脇をガニ股のまますんごい形相で鼻息を立てながら探し回る。
その様子はまるで狂った猪のようだ。
周囲の人々が怪訝そうな顔で彼女を見て目を逸らす。
俺は笑いを堪えるのに必死だ。
ミルフィ2号はやっと諦めたのか、道の先を架空の俺の跡を追っていこうとする。
あまりにも地面を踏む力が強かったのかミルフィは何もない所でズッコケる。
そして勢いよく地面の砂を顔面につける。
「プププ。ふふふふ。」
俺は制御できずに漏れ出てた声を必死に隠す。
あ、やべ。
バレないよな。
泣きべそを書いてたミルフィとゴミ箱の中の隙間をじぃーと見つめる。
バッチリ目と目が合う俺ら。
「あっ。」
まずいかも。
ミルフィは得意な顔になって指をポキポキ鳴らして俺が入っているゴミ箱に近づく。
あの、今からでも入れる保険はありますか。
俺は凍った笑顔のまま、ゴミ箱をプルプル振動させるのだった。




