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サディリアル・ドローアウト  作者: ジョーカーX号


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2/24

第2話 えへへ、神様わかってやんすね。


「あの野郎、まじですぐに飛ばしやがって。」

口についたよだれを拭いながら、俺は声をあげて立ち上がった。


周りを見渡すと授業中の様で、中年のオッサン教師が怪訝そうににこちらを見ていた。


「ミスター田中、授業をちゃんと受けるつもりはありますか?寝てばかりでは平常点はかなり低くなりますよ」

髭を撫でながらオッサンはそういうと、


クスクスと笑い声が起きる。

俺はクラス中に笑われている様だ。でもやたらと女子が多いな。途中で赤髪の綺麗なロングで熊ちゃんのヘアピンをしている子と目があった。彼女は頬を染めると、恥ずかしそうに目を逸らしていった。

ぱっと見、男は30人の教室で数人しかいない。どいつもこいつも男は血流が悪いのか少し顔色が悪い。俺と目線が合わないように、避けられてる気がした。ふとある疑問が思い浮かんだが、スルーすることにした。


「俺、西宮なんすけど、田中て誰すか?」


そういうとクラスの笑い声はさらに大きくなった。

はぁー、と長いため息を吐きながらオッサンは振り返る。

「いい加減、寝ぼけてるのも大概ですよ。ミスター田中。田中悟。自分の名前も忘れましたか。とりあえず後で職員室に来なさい。」


オッサンは額の汗を拭いながら懸命に授業を進めた。高校の知識はさっぱり抜けたから数学の公式なんてわかるはずもなく、俺は、教科書でオッサンの視線を遮りながらうとうとと、再び眠りに落ちた。


一一一zzzzZZZZZZ一一一


不思議な夢を見た。夢の中で俺はある綺麗な子に追われながら、逃げ惑っている。すごく慌てていたようで、逃げながらちびっていた。バットで足を抉られるのはすごく痛いし、ひたすら命乞いをしたが、その子は聞き入れてくれなかった。

「□◯%!嵳fg榮△◯□」

何を言ってるのか、聞き取れない。顔もモヤが掛かっていてよく見えない。

彼女は熱った表情のまま、バットを振り上げ、俺の脳天目掛けて振り落とした。俺の頭はミニトマトが潰れるように勢いよく潰れてそこら中に血を撒き散らした。


痛い痛い痛い。苦しい。痛い。痛い。痛い。

ひたすら目が回る。

黒く深い海の底に落ちような気がした。


ゆさゆさ。

ゆさゆさ。

軽く体を揺すられて目を覚ます。

「あの、田中君。あのね、屋上へお昼に行きたいの。そのもしよかったら一緒に行かないですか?」

栗色の女が頬を染めながら俺に話しかける。ふさふさしたアホ毛、むっつりしたパイ。ふむふむこれは中々程よい大きさですなぁー。


ここで乗っからないのは男じゃない。


俺はうなづくと栗色ちゃんについて行った。後ろから殺意の目線が迫るとも知らずに。


一一一一一一屋上一一一一一一


屋上に着くと、少し風が和んでいた。晴れていたし、気分が良かった。


ふと空を見上げて俺は驚愕した。


空は太陽の周りに赤い月と、蒼い月が不気味な黒い光を放っていたのだ。改めて地球ではないことを思い知った。


驚いてる俺の傍で栗色ちゃんはせっせと風呂敷を出して、お弁当箱を並べて行った。


「あのね、田中君、いつもお昼用意していないみたいだから。わたし、何が田中君のお口に合うか、わからなくて。」


「とりあえずサンドイッチ持ってきたの。良かったら食べてください。」

地面に正座して座ると仰々しくサンドイッチを両手で俺に献上してきた。


あれ、もしかして最後にあの金髪グラサンが言ってたメロメロの能力が作用してるじゃないかと思った。俺はまんざらでもなかった。何せ産まれてこの方、可愛い子に好かれたことはなかったのだ。天狗になっていた。


「えへへ、いやーまじすか?俺のために?ええと、なんだっけ名前。君の。えーと。教えて欲しいかも!」


俺を見つめたまま数秒困惑すると、栗毛は納得したような顔をした。


「ええと、田中君、またまた冗談を言ってるんですね!私はいつもたまに、お昼を一緒に食べます九里萌乃です。あの、もしサンドイッチがお口に合わなかったら言ってください!」


九里ちゃんのお目目は完全に♡が浮かんでいるようで少し気味が悪かったが、心地は良かったし当時の俺はそこまで頭が回らなかった。


「いつも田中君に、あーんをさせていただいてました!私またしたいです!」


どうやらメロメロの能力は本当に効果があるらしい。俺は興奮して、口を開けて待った。

九里ちゃんの手料理の味はどんな感じだろうか、にしても俺のための手料理、すごくモテてているようで嬉しかった。

そんなの絶対くそ美味しいのに決まっているじゃんか。


「はーあい。あーん♡」


目を閉じて口を開けたまま待ったが待てど暮らせど、サンドイッチは来なかった。代わりに、背後の屋上の扉が開き、鋭いショットガンの銃声が鼓膜を吹き飛ばし、飛び散った無数の弾丸が俺の頭蓋骨を貫いた。


シュッ!!バァーーーン!!!!!


耳鳴りがする。

痛い痛い痛い痛い。苦しい苦しい苦しい。玉の破片が肉を抉りながら俺は血の海に倒れた。

近くには同じように横たわる九里ちゃんの姿が見えた。

閉じかけた瞼には薄らと、完全に目がキマッてぶつぶつ言っている赤髪ちゃんが見えた気がした。どうやら俺の短い二度目の人生はすぐに幕を終えたらしい。


DEAD END : 1

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