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サディリアル・ドローアウト  作者: ジョーカーX号


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3/25

第3話 て、そうじゃねーよ!

気づいたらもう一度、教室の机に戻っていた。

唯一違うのはあまりに頭からの痛みが鋭すぎて俺が地面に転がって痛がり回っていたことだ。


「ひぃー!やめて、痛い痛い痛いいいぃ。俺が何をしたって。いうだよ。」

ちびりながら椅子から転げ落ち、地面で俺は泣き崩れた。


オッサン先生は、今度は慌てて駆けつけてくれた。


「おい!ミスター田中?大丈夫ですか?どうしたんですか?!?誰か保健室へ!早く!今すぐに!」


流石にこれには慌てるらしい。教員資格が掛かっているのかもしれない。

俺は悲鳴を上げ続けた。頭への鋭い引き裂かれるような痛み、全身を貫かれるような痛みが続いたからだ。


そのまま床で気を失った。


一一一一保健室一一一一


薄らと目を開けた。


黒いシミが無数についた、小綺麗な白乳色の天井。


知らない天井だ。そう思った。

我ながらテンプレなセリフではないか。ゲーム攻略のプロでも身に応えたらしい。さきほどの鋭い痛みは不思議と感じなくなっていた。


「あひゃっ、あふっ。」

変な声が出た。俺は、自分の頭の無事を確かめるためにペタペタさわり始めた。

よかった。無事付いてる。俺、生きてる。


安堵したのも束の間。個室の仕切りが勢いよく開かれる。

そこには慌てたりんりん…….ではなく九里ちゃんが泣きそうな顔で立ちすくんでいた。

よかった、どうやらあの赤髪のやばいやつはここにはいないようだ。


「あの、田中君、大丈夫?!!目覚めたの?!今何か音がしたから!」


そう言って俺の方へ詰め寄った。仕立てのいいベリーのシャンプーの匂いがした。彼女はそう言うと、俺の隣まで駆けつけて柔らかいほっぺで俺の手へ頬ずりしていた。


「本当によかった…..、大丈夫そうで。本当に」

桜色の頬はぷにぷにしていて柔らかく、長らく誰にも優しくされたことなかった俺も泣きそうになっていた。下心を出す余裕はもうない。今はひたすら死ぬが怖い。嫌だ。また、あの体験をしたくない。


九里ちゃんが天使に見えた。俺に優しくしてくれる。ちょこんとしたアホ毛もお愛嬌だ。


泣きながら俺は九里ちゃんに抱きついた。


「九里さん、あの、俺、まじで死ぬの、怖かったよ!すっげー痛いし。」


止めどなく涙が出た。

胸が締め付けられ、自分が不遇に思えた。思えば全ての元凶はあのクソ神。まじでふざけやがって。


九里ちゃんはそんな俺を神妙な趣で一瞬見つつも、すぐに小さい子をあやすように、胸に抱え、優しく撫で撫でしてくれた。

むっつりパイも悪くないと思った。あざーす。


「まじで、全部はあの赤髪の子が……なんでだよ。俺が何したって言うだよ。意味分かんねーよ!」


その時の不穏を俺は見逃した。

赤髪と呟いた時に九里ちゃんの目は♡から消え、殺意に満ちか溢れた般若になっていたことを。


彼女は妙に優しい声でこう言った。


「よくわからないよ。田中君。でも大変な目にあったんだってわかる。もう大丈夫だよ。わたしがずっーと、そばにいるからね。」


目に♡浮かばせながら、彼女はお弁当箱を出しきてきた。


「田中君、あのね!もしよかったら、お料理用意したんだけど。何が好きわからなくて、とりあえずサンドイッチ用意したから、よかったら食べてほしいです!」


そう言いながら、両手でサンドイッチを献上してきた。これがモテ期なのかと思った。前回は食べれなかった。初めての女の子の手料理。

いただきまーす。


アムアム


頬張ったサンドイッチから、ハムとチーズの濃厚な旨みが口中に染み渡った。あとは、変な香辛料の味がする。これはカラシ?なぜ、サンドイッチに?


お腹が空いてたし、ループについても頭を整理したかった。さっさと食べて九里ちゃんを追い払ってから、不貞寝しながら安全地帯に籠るつもりだった。ここなら赤髪もこないだろう。


食べ切ると彼女は感想を求めた。


「いやぁー。初めて女の子の手料理食べたすけど。まじでうまいす。特にチーズとハムが。後香辛料の味付けも独特だけどよかったよ!久里さん、まじでありがとう!また、作ってくれるとありがたいかも。」


「そんな、それほどでも、うふ、ふふふふ。」


このアホの子照れてるのか、分かりやすいな。可愛い奴め。


「えへへ、田中君、実はね香辛料じゃないよ。隠し味にわたしの『愛』を入れたの」

ロマンチストなのか、彼女は嬉しそうだし、俺も楽しかった。だが、出会って間もないのに『愛』はちょっと重くないか。ゆっくり俺と大人の段階を上がろうぜ。九里ちゃん?


「田中君が他の誰かに取られるなんて嫌なの。だから、わたしだけのモノにするんだ」


え、今こいつなんつった?

急に眩暈がし出した、嫌な予感がした。激しい吐き気をもようした。その場で手で口を塞さぐも吐き出した。

「ぶっふ、おぇ、がぁ」

手を拭おうとしたが、ベトベトして気持ち悪い。赤い液体がねっちょりついていた。

これ、俺の血?なんで?どうして?

今吐いた?俺が?九里ちゃん?

サンドイッチ?

疑問が浮かんでは、頭が回らないまま処理できない。九里ちゃんの笑みと♡のお目目は俺を見ていないことに気がついた。まるで俺を通して遥か向こうを見ているようだ。


この女、いや、この世界、狂ってやがる。


「あぁ、これで田中君をわたしのモノにできるね。ずっと一緒に居ようね。毎日サンドイッチ食べさせてあげるね。♡」


転落する視界の中で俺は再び死亡した。


DEAD END : 2

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