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サディリアル・ドローアウト  作者: ジョーカーX号


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第1話 死んだからってうるせーんだよ。


シュシュ!シュシュ!

ティッシュの音がする良い朝だ。


俺はいつも通り朝焼けに焼かれながら徹夜を空けた。足元にはティッシュの塊が山になっている。


「ふぅー」


何か途轍もなく大きな一仕事を終わらせたような気がした。


「長かった、この◯ろげ、まじで全ルート攻略するの、くっそなげーじゃん。

誰だよ10時間で終わるっつったやつは。」


ティッシュ箱の最後の数枚を引き出しながらそそくさ、自分の体を拭き拭きした。

思えば大学に入ってから、ずっと家に篭って◯ろげばかりやっていることに気がついた。しかし、我ながら後悔はなかった。それ以外にやることはなかったし、やる気もなかった。

一人でもハッピーな気持ちになれるのはそれしかなかったのだ。

そのまま晴れやかな気持ちのまま、目を閉じた。


ズキン。

急に頭がものすごく痛く感じた。


「あぅ、ちょ」


声にならない声が出る。それが自分の現世での遺言になった。視界は黒く染まり、思考は深い闇に落ちる。


なぜか、少し悔しかった。同時に少しホッとした。


ジャンジャンジャン。


聞き慣れない音がする。まるで騒がしいサーカスのベルの様な音だ。


「うっ、うっせーな!」


我ながら声が出ることに驚いた。

気づいたら寝巻きのまま、5体満足で赤い椅子の上に座っていた。体が自由に動かない。

しかし、うるさいベルは鳴り続ける。


「静かにしろよ!こっちとら死んだんだよ!」


怒りに任せて怒鳴った。なぜか自分が死んだんだと理解できた。どうやらさっきの頭の痛みは本気でトラウマになりそうだ。


俺の声が白い空間の中でこだました。

数秒後ぱかっと、白い空間の扉が開いた。

白い鳥のような翼があって。黒いサングラスを掛けたイケイケの金髪でギリシャ風の着物を着たやつが、俺の前の椅子まで歩いてきた。


黒い鉄のような材質の椅子にふかふかと腰掛けると、椅子は突然ふかふかの最新のゲーミングチェアに早変わりした。


長い金髪を靡かせてそいつは言い放った。


「いやあー、Bro、待たせたね!僕、ちょっとバケーションしてたんだ。でもまさかこんなに早く来るとは思わなかったよ。確かに生死簿では….」 


そう言ってそいつは、無駄に端正な顔でポケットから取り出した少しくたびれた黒いノートをチラチラ見て、俺の顔と見合わせた。


「あれ、ミスったか。僕やっちゃったかも。ahhh」


少し顔を引き攣らせながら、急いで何かを書き込むと、バツが悪そうにこっちを見て来た。そいつにかなり殺意が湧いた。


「おい、お前、誰なんだよ!俺はなんでここに居んだよ!死んだのか!死んだんだな!俺のみうちゃん、レアちゃん、りんりんはどうしてんくれんだよ!」


怒りのまま、そいつの顔面を殴りたかったが、体が一ミリも動かなかった。どうやら不思議な力が働いて金縛りに遭っているらしい。


そいつは少し、焦って取り繕った笑顔をしてから言った。


「そうだ!君、細かいことはいいの。君は死んだのさ、業務上次の転生をさせることになるけど、その前になんでも一つ願いを叶えてあげよう。」


ふざけるなと思った。絶対手違いだろと思った。だが今となってはもう手遅れだと直感が告げている。

でもなんでも一つ願いか、なら願いは一つしかない。


「そんだったら、俺のみうちゃん、レアちゃん、りんli….」


「タンマタンマ!bro、うち、そういう二次元から嫁連れ来るサービスやってないんで、実現性高いやつでオネシャス。」


遮られた。

仕方ない。ならあれだ、童貞20年を挽回できる素晴らしい願いは一つだけだ!そう俺は…..!


「なら、ハーレム!俺はハーレム作りたい!女の子なら誰でも、一目で俺にメロメロしてくれよ!」


「ハーレムね…」


少しめんどくさそうな表情をしながらそいつは、サングラスのレンズを手で拭っている。指を弄び遊びながらぱちんと鳴らす。そして何かを閃いたような顔をしてから少し口角を上げてにやりと、ズルがしそうに笑った。


「いいよ、その願い叶えよう。ただし、条件がある。転生させる前にちょっとしたチュートリアル?みたいな所をクリアしてもらう必要があるんだけどね。

期限は1ヶ月さ、無事に過ごしてもらえば転生の手続きに移れるけど。いけるかい?」


また何かあるだろうなとは感じた。しかし、ハーレムの誘惑は強かった。今思い返すとあの時の自分を殴りたい。あの時断っていれば、この地獄にいないのだから。


「おうよ!そうこなくちゃ!1ヶ月?余裕よ!過ごせばいいんだろ?そのチュートリアルとやらで?

あいにく、こっちとらゲームはプロよ。さっさとクリアして俺のハーレムライフをエンジョイするぜ?」


そいつは意地悪な笑顔を隠さなくなった。


「Ahhh,bro、分かってるじゃ無いか!じゃさっさく、飛んでもらうかな。」


ウィーンクしながら、そいつは再び指を鳴らすと、空間は歪んで光を取り組んでいき、俺もその中に吸い込まれた。


「そうそう言い忘れたけど、チュートリアルで死ぬとループするからね、それとbroに女の子がメロメロになる能力も付けといたからさ、あとは頑張ってね⭐︎」


あれ、あいつ、とんでもねー爆弾発言をしていった覚えがしたがもう後の祭りだった。


気がつくと教室で、制服で机の上で突っ伏たまま目が覚めた。大学に行ったはずなのに見たこともない逆三角形のような模様が入った高校生の制服を着ていたのだ。

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