第18話 玄関先の美少女
俺は焼き鳥と炭酸ドリンクを買って虹んちに戻った。
いい気分だ。
飯食っても死なないのって素晴らしいなあ。
昼飯をバクバク、ソファでねっ転がりながら食っていると。
インターホンが鳴る。
宅急便か?と思って見に行くと、さっき帰ったはずの副委員長が上目遣いをしながらコールを押している。
ハンカチでも取りに来たんかな。
「田中君、いらっしゃいますか?
私ハンカチ落としちゃって。もしかして預かってくれたりしますか?」
虹に電話したかったけど、まだスマホ持たせて貰ってねえんだよな。まあ友達なら直接渡してもいいっか。
俺は直接副委員長に渡すことにした。
エントランスの扉を開錠し、散らかっていた俺の食いかけの飯をテーブルの端っこに片し、適当に地面に転がっていたカセットの袋を書斎に置いてきた。
ピンポーン!
玄関のベルが鳴る。
もう着いたのかよ。
俺は慌ててドアを大きく開けて副委員長を迎えた。
玄関に入ってきた副委員長の花柄のワンピースがとても良く黒光する高級そうな石の床に映えている。
新品みたいに綺麗な白のスニーカーに、肩にかける系のシンプルなデザインのバッグ。
さらさら透き通るような水色の髪。
彼女は一見地味に思えるが、着こなしがうまく清楚で男心をくすぐるような可愛さがある。
虹の威圧的、主張強めのファッションとは違ってこれもこれで良いな。
特にどこが、とは言わないが。
うん、評価、満点美少女!
俺が目を奪われていると、
「やっぱり田中君、虹ちゃんと暮らしてるんですね。」
彼女は虹んちに詳しいらしい。玄関の謎のぶさ可愛い猫の置物も優しそうに撫でていた。
当時彼女たちはお揃いのを買って帰ったらしい。
この子、何回も虹の家に来たことがあるのかもしれない。
でも虹はなんで副委員長の話をしなかったんだろう。
まあいいや。夜に虹に聞いてみればいっか。
もっと中を見てみたいとのことで彼女を家に入れた。
玄関から上がる前に彼女からお土産のクッキーを貰った。
俺はクッキーを冷蔵庫にぶち込む。
今まで女の子から貰った食べ物は碌なのなかったからな。俺はもう自分で買ったやつをしか食わない。
副委員長が帰ったらクッキーはゴミ箱行きにしよう。
副委員長にスリッパを用意して上がって貰った。
最近のこの家については俺の方が詳しい。
俺は虹の家を案内して回った。風呂場、書斎、キッチン、虹の寝室は……ロックが掛かってたから入れなかった。
彼女は懐かしそうな顔をして、たまに縁のある物を見つけると嬉しそうに微笑んで喜んでいた。
書斎に立ち寄った時、机の額縁に飾ってある写真を俺は発見した。
俺がさっきゲーム屋で、副委員長に見せて貰ったのと同じ写真だ。
さっきの写真と一つだけ違うのは
3人の少女が写ってる。地味な副委員長、虹、そして誰だ?
副委員長のすぐ隣におさげのメガネっ子が一人混じっていた。
その子は恥ずかしそうにピースをしてる。
「仲良しグループだったんすね。」
俺は副委員長の方を向く。さっきまで楽しそうに話してくれていた副委員長は口を注ぐんで、俯いた。
あれ、俺なんかまずいこと言った?
「虹ちゃん、まだ飾ってるんですね。あの頃…….私たちは一番の仲良しでした。」
あの頃は?てどう言う意味???
なんか地雷でも踏んだんかな。
もしかしておさげの子と仲悪くなったから?
まあ中学からの友達で仲悪くなることよくあるもんな。俺はフォローを入れようとした。
「いや〜、中学の頃の友達はよく疎遠になったりするっすよ〜。たまにまた会って会いに行けばいいじゃないすか。虹も会いたがってると思いますよ?」
副委員長は悲しく遠い目をした。
「みんな遠い所に行ってしまいました。虹ちゃんも私なんかに会いたくないと思います。」
何があったのかよくわからないが、まあ引っ越しでもして疎遠になったのかな?虹は悪いやつじゃないし、俺がいいことを言ってやろう。
「虹は絶対会いたがってるすよ。今日帰ってきたらあいつにも会いに行くように言っときますから」
副委員長はぺこり俺に頭を下げた。
「お気遣いありがとうございます。」
副委員長は突然切り替えて好奇心満載になって俺に尋ねる。
「所で、虹ちゃんとはいつ頃から同棲してらっしゃるんですか?お二人の関係について知りたいです!」
すごい勢いで聞かれたから。俺は言葉に困った。
関係か、うーん、友達でもないし、恋人でもないな、うーん。
期待に満ちてる副委員長に気圧されて。俺は答えた。
「なんか俺の相棒てか、まあ色々良くしてくれるからここ何日か居候してるんすよ」
何日かは嘘だ、チュートリアル終了までの1ヶ月間、俺は居候する気満々だぜ。
一一一一一一一一一一一一一一一一一一
忘れないうちに副委員長にハンカチを返した。
副委員長がお礼に虹と俺のために飯を作ってくれると言って聞かなかったので。
夜飯を作ってもらうことになった。
俺は九里ちゃんの件もあったし、女の子の作った飯にはちょっとトラウマを植え付けられていた。
またやばそうな『香辛料』を勝手に入れられないように一緒に飯を作ることした。
副委員長は副委員長で、お淑やかな包み込んでくれるような感じがする。
エプロンを着た副委員長は、あまりのボリュームに、エプロンが一部分だけキツキツに張り上げられる。
虹のとは違う迫力がある。
因みに俺はどっちもとても好きです。
俺はウッキウキで冷蔵庫から食材を出した。
結構肉や野菜も揃ってるから。カレーぐらいなら作れそうだな。
俺はジャガイモを数個取り出して準備をし始めた。




