表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サディリアル・ドローアウト  作者: ジョーカーX号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/28

第16話 ベランダに佇むサムライ。


あったけえええ。


熱いシャワーで身体の汚れを落としていく。


浴室の小さな椅子に腰掛けながら、俺は湯を浴びる。


洗い場には生活感のある色んなアイテムが置いてある。


ふと、もう2年間ぐらい一人暮らしの家で洗っていたことを思い出す。


誰かと暮らすのって、案外心地いいんだな。


まだ湯気に混ざってる虹の匂いが残ってる。


ラベンダーの香りのシャンプーで髪をゴシゴシしながら俺は感慨深くなるのだった。


一一一一一一一一一一一一一一一


風呂から上がると


虹は猫のぬいぐるみを抱っこしながらソファーに横たわってスマホで映画を見ていた。


俺を待ってくれているらしい。


ダイニングテーブルには


マルゲリータ、オレンジジュース2人分、山盛りポテト。そして、冷蔵庫から出したのかフルーツを切ったデザートが置いてあった。


虹は風呂から上がった俺に気がつくと映画を中断し、


ソファから身を起こしテーブルの方に向かってきた。


あの、虹さん、なんだろう。控えめに言って結婚したいです。


虹は俺に席に座るように言うと。おむすびのクッションが置いてる椅子に腰掛けた。


彼女の定位置なのかもしれない。


俺らは2人でピザを分けて食べる。虹がモグモグし終わってから、俺に話しかけてきた。


「今日が1日目でしょ。あんた」


俺は一切れ飲み込みながらうなづく。


冷めてるけどうめぇええ!マルゲリータの脂とチーズが口の中で蕩ける。


「たまにいるんだよね。クラスメイトの性格がある日突然変わるの。だから最初に転生してきたんだってわかる。」


ポテトを口に運びながら虹は俺に有益な情報を伝える。


「でも現地の子たちからしたら怖いよね。うちらみたいな転生者がいるから、知り合いがいきなり乗っ取られちゃうのは。」


確かに考えてみれば、俺がこの体に転生してきたってことは元の身体の主人はどうなったんだろう。


背筋が少し凍るような不気味な感じがした。


てかただのチュートリアルて言ったじゃん。あのクソ神、リアルすぎんだろこのゲーム。


虹は続ける。


「でもあたしはね。どうしてもやらないといけないことがあるんだ。だから、この世界で誰かが犠牲になったとしてもあたしは諦めない。」


虹の瞳からは強い意志の光が見えた気がした。この目を知っている、深い執着がある目だ。


俺はこの世界に来て特に何も感じなかったし、いきなりシリアスな話をされたから。なんて返せばいいかわからず。それっぽく相槌を打つ。


「ごめんね。君にいきなりこんな重い話をして。」


虹の目は寂しそうだ。


なぜか、こいつを励ましたくなった。ぷりけつのせいなのかもしれない。俺はピザを一切れ掴むと彼女の口に近づけた。


「なんかわかんないけど、まあ食えよ。」


目を逸らして俺はピザを差し出す。


下手に直視すると、俺の心臓が持たないからな。


パクッ。


指に伝ってきた。湿った柔らかいヌメヌメした感触に俺の指先が震える。


「えっ、ちょっ、虹さん。」


彼女は髪を掻き上げて、俺の差し出したビザを丸ごと一口で食べたみたいだ。


念の為ために鼻を押さえて、噴火しようとする血の流れを止める。


全身の血管が沸騰するように熱くなる。


鎮まれ、俺のエスクカリバー。


今はその時じゃない。


虹は真っ赤になった俺を心配そうに見つめる。


「あんた、のぼせてんの?氷いる?」


俺は自分の頬をビンタして、強制的に落ち着かせる。


この子、悔しいけど本当はいい子なのかもしれない。


食べ終わってから俺は虹の片付けを手伝っていた。どうやらすぐに片す派らしい。


忙しなく虹はテキパキ俺に指示を出す。


一通り終わらせると虹は俺をニヤニヤしながら呼び止めた。


「そういえば、チュチュの悪魔さんなんか忘れてない?」


一一一一一一1分後一一一一一一


やっぱあいつは性格が終わってやがる。俺を虐めることを絶対楽しんでいやがる。


夜になってかなり寒くなったベランダに俺はゴツゴツしたコンクリートの上で正座させられていた。


虹に貸してもらったジャージのズボンがスースーする。冷たい風がズボンを貫通して俺のエスクカリバーにダイレクトにダメージを与える。


なんてやつなんだ。


虹はストップウォッチで20分しっかり測っている。丁寧に入ってこれないようにベランダ窓まで内側からしっかり閉めている。


俺は暇なのでポッケの中のネジをこねりましていると、遠くで銃声がする。


この世界治安悪いのな。


ベランダから覗きたいけど、バレたら正座の刑もっと伸びるんかな。


虹が居なくなった隙をついて、ちょっとベランダから外をのぞいてみる。日本の現代の街並みとなんら変わらない平凡な住宅地だ。


さっーと、目線を映してると、遠くの電柱の裏に一瞬何かの影が見えた気がした。


目を擦ってもっかい見ると、影はなくなっていた。見間違いなのかもれない。


俺は再び正座に戻った。


赤い月も、蒼い月も見慣れれば案外悪くない。


20分経ち虹が中で布団の支度を終わらせたみたいで、ベランダの窓を開けて中に入るように言われる。


うっそん。同じお布団?!


まじすか。虹様。


ついに♂♀ピールートへの期待を高めていると、虹の書斎へ案内される。


地面に敷かれた仕立てのいい布団。ここで俺と寝るのか。虹!


俺は期待の目をして振り返る。虹は、意地悪そうな顔をしてドアを閉める。


「じゃそこで寝て。おやすみ」


ガチャン。


ドアが閉まる。


俺は寝っ転がって。今日一日を振り返る。


もう何日もそれこそ1週間ぐらいこの世界で過ごしたような気がする。


これでまだ1日目か。


あと、1ヶ月もあるんかよ。


俺はちょっと凹んだ。


難しいことを考えてもよくわからないので今はとりあえず寝ることにした。


やっぱりいい匂い。虹のやつ、めっちゃいい奴だな。


俺は満足して暖かい布団に包まれて眠りつくのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ