第15話 ドS美少女と、借りてきた猫。
一通り日用品や俺用のタオルとかを買うと俺らはスーパーの出口に向かう。
てか、虹、足速えぇえ。
虹は恥ずかしいのか、ものすごいスピードで前を突き進む。
俺は置いていかれないようにレジ袋を引っ提げて、小走りで着いていく。
虹はスーパーの自動ドアを出てから落ち着いたみたいだ。
「なあ、これからどこ行くんだ?俺、自分んちがどこだかわかんないんだけど。」
虹が横断歩道の信号前で立ち止まって、荷物持ちの俺を待ってくれている。
「はぁー。家に泊めるに決まってるでしょ。」
虹は呆れた様子だ。
おっと、待てよ。虹の家に泊まれる?!
虹の家に泊まれる。=虹と夜を個室で過ごす。=♂♀ピー(18歳以上推奨)イベントの確率大。
俺の脳内の量子コンピュータ顔負けの演算機構が最速で素晴らしい予測を弾き出す。
おぉおおおおおお!ついに!西宮錦、童貞20年、やっと春が来ました。
長かったです。ありがとう、お父さんお母さん。
あなたたちの息子は今日、大人になります。
心の中で涙を流して喜んでいると、虹が俺の表情を見て毒を吐いてくる。
「ねぇ、まじで気持ちが悪いんだけど。何でにやにやしてんの。普通にそう言う所、本当に治した方がいいよ」
グサッ。
再び心に許容量を超えたダメージを喰らって俺は、地面に倒れ掛かる。
くっ、今のセリフ、サイドテールちゃんに心臓撃たれた時より心にダメージを喰らったぜ。
「馬鹿なこと考えてないで、大人しく着いてきて。」
「うっす。」
俺は、とぼとぼと続くのだった。
一一一一一一一一一一一一一一一
スーパーから商店街を通って、公園を横切って俺らは住宅街に入った。虹の家はその中の新めの高級そうなマンションの一室みたいだ。
エントランスが星5ホテルみたい感じで、洋式の意識高そうな装飾がしてある。
虹、お前、金持ちだったんだな。
虹は顔認証をパスして開き、エントランスの俺を急かす。
「遊んでないで。もう行くよ。」
一一一一一一一一一一一一一一一
虹の家は意外にも可愛い小物がいっぱいだ。玄関は熊さんのふかふかのスリッパだし、
靴置きの上にはなんかちょっとマヌケなデザインの猫ちゃんの置物が置いてある。
てかこれ何に使うんだ?
玄関から見えるリビングにはピンク色のソファーと、猫のマスコットの巨大なぬいぐるみが置いてある。
壁には意識高そうな絵が飾ってあって、
室内からは嗅いだ覚えのある匂いがする。
みかんの匂い。ハーブでも炊いてるのか?
てか人生で初めて女の子の部屋来たわ。
まじでドキドキする。
俺の心臓は心なしか小メット戦より高鳴っている。
落ち着け、余裕の構えで行こう。虹のやつを調子に乗らせてはダメだ。
俺は切り出す。
「虹、俺はこう見えて経験豊富なんだ。今まで少しダサい所を見せたが、舐めてもらっちゃ困るね。」
さて虹は何をしてるんだ。俺は猫の置物を観察するのをやめて振り返って虹を探す。
ちょっ、虹さん?!?
突然目に飛び込んでくる縞模様でフリルのついた可愛いブラジャー。
下を見るとスカートを片足からすっぽり出して今ちょうど脱いでる所のようだ。
下水道で染みがついたストッキングが虹のすらりと伸びた色白の太ももの肉感を強調していた。
俺はあまりの刺激に鼻血を吹き出しそうになる。
「ちょっ、に、虹さん、??!な、何でここで脱いでるんすか?!?!」
俺の声が裏返った。
目線を下に移した彼女はまつ毛がすごく長くて、彼女の赤い瞳と、足を持ち上げてストッキングを脱ぐ仕草に俺の心臓が爆発しそうになる。
脱いだ太ももはまるで白磁のようでありながら、ぷにぷにしていて、ものすごくえっちな感じがする。
虹は俺に一眼もくれずに淡々と言う。
「早く脱いで。」
えー。脱ぐのここで??!
虹さんここでいきなり18禁ルートはちょっと展開が早いというか何と言うか。
俺はもじもじ恥ずかしそうにしてると、虹がちょっと考えてこんでから、意地悪な顔をする。
「パンツまで脱いでね♡。変態君」
グハッ。
俺は鼻血を勢いよく吹き出して、玄関の高そうな石の地面にぶっ倒れた。
西宮錦、素晴らしい人生でした。
悔いはございません。
「はいはい、起きて。服汚いから脱いでもらうの。勘違いしないで。ゴミ袋レジ袋に入ってるでしょ。それ使って。」
「あたし先にお風呂入るから。」
虹は玄関先にジャージ一式を用意してポンとおくと、倒れた俺を置いてお風呂場に行ったみたいだ。
これが放置プレイてやつか。
俺もいそいそと服を脱ぎ出した。土と泥、謎液体の染み付いた制服と、ドブネズミと同じ臭いがする靴下をゴミ袋に突っ込んでいく。
てかパンツまで泥染みてるじゃん。
俺替えのパンツないんだよな。
どうしよう。
置かれた虹の綺麗に畳まれた赤いジャージに視線を移す。
中学の頃のジャージかな。直履きしていいかな。
渡されたし、後で履いちゃお。
俺は念の為にパンツを残してほぼ全裸になった。
さっきは分からなかったが、脱いでからゴミ袋を嗅ぐと、まるで1ヶ月放置した生ゴミを発酵されたような匂いがする。
おえっ。
バスルーム。から水音が聞こえる。
虹のるんるんの歌声が聴こえる。
虹、可愛い趣味あるんだな。
くっ、いかんいかん。やつは性格最悪の毒舌女だ。惚れてはいけない。
俺は自分の頬をつねって強制的に目を覚ます。
暫くして虹が風呂から上がって、ラフなパジャマ姿で現れる。
風呂上がりのちょっと濡れた髪と、シャンプーいい匂い、熱った肌にはかすかに湯気が出ている。
か、可愛い。こいつめ。お、俺を誘惑しても無駄だぞ。
俺は虹の目をまともに見れない。
「もう上がったから入っていいよ。上がったらすぐそこのジャージ着て。」
「わかった」
俺は借りてきた猫みたいになる。
虹、俺にメロメロになる能力掛けてるだろ。顔が熱い気がする。
虹はリビングに行って俺らの買い物を置きに行ったようだ。
俺はまだ彼女の残りがする風呂場に生まれたままの状態で入っていくのだった。




