第13話 無料顔面整形外科医
小メットから順調に隠れて俺らは這っていく。前回と同じように作物の実った支柱に隠れて小メットを盗み見る。
虹が俺の後を素直に着いて来ている。
たまに振り返る小メットたちがこちらをジィーと見つめるけど、平気だ。
今回は事前に知っているからな。
俺らは時々止まりながら慎重に進んだ。
でもなんか重要なことを忘れてる気がする。
順調にマンホールまで俺は辿り着き、
俺はマンホールの蓋をこじ開けていると
虹が最後の列を渡る直前、
あとマンホールまで10メートルところでナス落下イベントが発生する。
固まる虹、はっとなる俺、俺らに気がついて駆け出す小メットたち。
「おい!虹!早く来い!」
マンホールの穴から身を乗り出して俺は叫ぶ。
虹が慌てて支柱と支柱の間を駆け抜ける。
前回見捨てられたのはムカつくし、こいつはうぜーし、俺も見捨てたいけど、咄嗟に叫んだ。ほんのちょっとだけ前回ちょっと見えたスカートのために一肌脱ぐことにした。
虹が後ろの小メットたちに背中を切り付けられる数秒前、俺は虹の手を掴んで引き込み2人でマンホールの奥に落ちていった。
一一一一一一一一一一一一
「ッタタ、イテーてまじで」
全身を強打した俺は全身のあらゆる関節が、まるでハンマーで叩かれた後のようにガタガタになっていた。
背中には柔らかい感触がする。
ん?!
このの布感覚は!お尻?!
虹が虹が俺の背中に尻をついたまま仰向けに重なって倒れていた。
どうやらさっきの衝撃で意識が飛んだらしい。
ザコはどっちだよ。
そう思いながら追手が来ると怖いのもあり、俺は下敷きの状態から身体を抜け出して立ち上がり、彼女をおんぶした。
おんぶしたまま俺は歩き出す。
思ったより軽いな。
髪の毛からいい匂いがする。まるでみかんのような柑橘類の匂いだ。密着してる虹が比較的に細身なのがよくわかる。
おっ? でもお肉変な所に偏ってないか?
俺は虹を許すことに決めた。
男たるもの、素晴らしいものを受け取ったら過去の過ちは水に流そうではないか。
ぷりけつご褒美あざーす。
心の中でガッツポーズをしていると、後ろから厄介な足音が聞こえてくる。
小メット、こっちとら今いい所なんだよ。邪魔すんなよ。
俺は虹を壁際にそっと下ろして
ポケットから伝家の定規をシャキンと抜くと、戦闘準備の構えを取った。
おら、こっちとらここ数回のデスイベントで戦闘センス上がってんだよ。
この野郎、かかってこいよ。
暗闇から姿を現した小メットたち。
ナイフの先っぽが鋭く光を反射して、奴らは一歩一歩俺の方へ詰め寄る。
一一一一一一3分後一一一一一一
ドスドス!ドスーン!
下水道の壁に響く肉を叩く打撃音。
脇に転がる粉砕された定規。
ボロボロに切り裂かれた俺の制服。
機能的なヘルメットを被った小柄な影は、倒れた男に血のついた拳を何度も振り下している。
俺は片方の小メットに馬乗りにされてタコ殴りにされていた。
小柄な体からは想像できないような重い一撃一撃に俺の顔の骨が悲鳴をあげる。
俺は殴られて腫れとあざで顔の輪郭が変わりそうだ。これが無料整形ってやつか。
シューー!ドス!
最後の鋭い一撃を俺の鼻にクリティカルヒットし仕上げの整形を完了すると
小メットは満足したのか、持っていたナイフを両手で振り上げる。
シュー!グサッ。
喉が焼けるように痛い。血が急に抜けていくのがわかる。
まじで俺の顔への恨みありすぎるだろこいつ。
DEAD END : 8
喉を抑えて目が覚める。今だに喉が熱い。
てか身が重い。
くっさいドブの匂いが俺の鼻腔に入ってくる。
また変わったのか。セーブ地点。
俺の背中の柔らかい人肌の感触を噛み締めて、俺は虹を退けて立ち上がった。
俺1人じゃ勝てねー。虹の目を覚まさないと、小メットから逃げるために。
息を規則正しく吐く虹を見て、俺は閃く。
「おい!虹、起きろ!今やべえんだよ!起きないとキスするぞ!!」
虹の高い鼻を俺は指で摘んで耳元で叫ぶ。
虹は目を瞑ったままむず痒いのか、顔をしかめる。
他にも脇をこちょこちょしたり、頬を引っ張ったりしても虹は起きない。
仕方がないので少し休む俺、ふと虹の寝顔が目に入る。
俺が引っ張ったせいで赤くなった頬。
紅色の少しぷくっと膨れた小さな肉感がある唇。
ゴクリッ
目を覚まさないなら、キスしていいよな。
よーし、人生初チュチュ頂きまーす!
唇を突き出してチュチュの悪魔になった俺は、虹の唇に近づく。
絶対柔らかいっ!女の子のくちびー///。
パチーーンッッ!!!
俺の頬が勢いよく叩けれて、俺は姿勢を崩して下水の流れに落ちそうになる。
「虹、いきなり何すんだよ!」
目を見開いた虹が生ゴミを見るような冷たい目で俺を見る。
「きっも。近寄らないで。普通に無理。◯だら?」
容赦のない罵倒に心に傷を負った俺は小メットの打撃より遥かにダメージを喰らって再起不能になりかける。
精神ダメージのせいで陰で体育座りしていると。
虹から戦闘後に正座することを命令され、一時的に許しをもらった。
虹を再びおんぶして俺は進む。
あれ、俺が助けたのに感謝とかないの?なぜこれから正座確定?なんか酷くね?この女。
ぶつぶつ心の中で文句を言っていると
「立ち止まってないで、さっさと動く。追いつかれたいの?」
頭の上から轟いた絶対零度の声に俺は震える。女の子、怖えええ。
「うっす。今、進むっす!」
俺は虹の太ももを担ぎ直して、足取りを早めるのだった。




