↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/50

< 27 この世界に就任した神 十七柱目 04 冒険者ギルド誕生までのお話 03 >


俺とクレイトンは、人を大勢おおぜい引き連れて、隣街となりまちカムデンにやって来た。

門は閉まっている。

門を開けるように言うが、拒否された。

どうやら、門を押さえているのは、ガザルド(がわ)の奴らの様だ。

いや、前のクソ領主(がわ)ということも有り得るか。

前のクソ領主も、新しい領主に兵士を連れて来られたら困るだろうからな。

やれやれ、どうしたものかな?

クレイトンと相談する。

「ブチ壊してしまいましょう。ふさぎたい時の資材は、中で調達できるでしょうし。」

「それもそうだな。」

俺は冒険者たちに指示を出す。

「俺たちにやらせてくれ。」

一緒に付いて来てくれていた漁師たちにそう言われて、さえぎられた。

さらに言う。

「『川に関所を作る。』なんて言われて、俺たちが黙っている訳が無いと知らしめないといけないからな!」

その言葉に、まわりの冒険者たちはうなずいている。

「そうだな。よろしく頼む。」

「ありがとうよ。」

付いて来た漁師たちのうちの数人が、門に向けて一斉に魔法を放った。

「「「「ファイヤージャベリン!」」」」

「「ファイヤーボール!」」

ドガァーーン!

爆音を立てて、門がブッ壊れた。

…やりすぎだろう。(半笑い)

ブチ壊した門をくぐって、俺たちは街の中に入った。


これから俺たちは、この門を守りながら、暴れている”ならず者”たちを鎮圧していく。

クレイトンが言うには、『抵抗する者は殺しても良い。』とまで、国から言われているらしい。

捕らえる必要が無いのはがたいな。

その分、怪我をする危険が減るからな。

漁師たちの魔法の援護も有るし、大丈夫だろう。

門とクレイトンの連れてきた商人たちを守る為の人員を残し、俺は冒険者たちと漁師たちを連れて、街の中に入って行った。


一日で街の半分ほどを、こちらの支配下に置いた。

領主の館を避けて、支配地を広げていく。

わざわざ領主の館を避けていたのだが、『領主様の使い』と名乗る者が俺のところに来た。

ちっ。

こいつの言う”領主様”って、どちらの領主だろうな?

もっている”前のクソ領主”のほうだろうな。

門を押さえているクレイトンが、新しい領主を街に入れるとは思えないからな。

『領主様の使い』とやらに、ひとしきり感謝された後、「これからの連携について話し合いたいと、領主様がお呼びです。」なんて言いやがる。

余計な面倒は御免だ。

「こちらは王様の依頼で動いている。”領主様”とやらが無能な所為せいでな。」

「邪魔だから余計な事をするな。情報だけ持って来い。」

そう言って追い返した。

王様の依頼で動いている者が、どちらかの領主と一緒に行動するのはマズイからな。

正当性やらの問題に巻き込まれかねないし、手柄を主張されるのも厄介だ。

クビになった”前のクソ領主”ならば、尚更なおさら一緒に行動など出来ない。

それに領兵についても、能力が無いからこんな状況になっているのだろうし。

そんな奴ら、ぜんぶ邪魔なだけだ。


さらに二日掛けて、街のすべて(領主の館は除く)を支配下に置いた。

一息ひといきいて、報告を受ける。

領主の館が、いつの間にか燃え落ちていたそうだ。

しまったな。

余計な面倒がイヤだったから避けていたんだが、それが裏目に出てしまったかな?

マズイかな?

うーーん。

俺が考えても仕方が無いな。

クレイトンに丸投げしてしまおう。

俺よりも上手じょうずに処理してくれるだろう。

門まで戻り、クレイトンに報告した。

あとの事は、クレイトンに任せる。

俺は、冒険者たちと漁師たちをねぎらってから、休ませてもらった。


翌日、クレイトンと話し合った。

焼け落ちた領主の館からは、前のクソ領主らしき死体があったそうだ。

『どうせ死刑だったでしょうし、王都へ護送する手間がはぶけてよかったです。』なんて、気楽に言っている。

クレイトンがそう言うのなら、それでいいんだろう。

ちょっとだけ不安に思っていたのが、馬鹿らしく思えた。

クレイトンの商会が街の復興の仕事をったんだそうだ。新しい領主から。

よく働く奴だ。

俺には真似まねできそうにないな。


街の治安維持の為の人員を残して、俺は王都に帰ることになった。

支店を新しく開き直すとのことなので、その準備の為だ。

奪われた以前の支店は使わないそうだ。

この街を混乱におとしいれたガザルドたちの使っていた店は、俺たちが使うのに相応ふさわしくないんだそうだ。

この街から逃げ出した人たちから土地や建物を買いまくったそうで、そのうち何処どこかに支店を作るんだそうだ。

クレイトンが商人たちを連れて来ていたのは、その為だったのか…。

あと、クレイトンが門から動かなかった理由も。

”仕事熱心”という言葉だけでは済ませられない、”商人のたくましさ”みたいなものを感じた。

俺は、冒険者たち、漁師たち、王宮へ途中経過の報告へ行くクレイトンの部下たちと共に、王都に帰った。

王都に帰った俺は、数日間、支店を作る準備と溜まった仕事の処理に追われた。

やれやれだぜ。


王都にクレイトンが帰って来た。

資料を見せながら、俺はクレイトンと話をする。

この資料は、『ガザルド斡旋所』の支店から押収した冒険者の情報と、俺たちの持っている冒険者の情報、そしてあの街中での戦闘で死んだ冒険者の情報を統合したものだ。

『ガザルド斡旋所』で仕事を請け負っていても、我々の『クレイトン斡旋所』で評価の高い者は、これまで同様に仕事を斡旋する。

これは、まぁ当然だろう。

クレイトンと話し合うのは、『ガザルド斡旋所』がわの者への対応だ。

『ガザルド斡旋所』で仕事を請け負っていて、『クレイトン斡旋所』での評価が悪い、俺たちにとってどうでもいい者は、ガザルドの共犯者として指名手配するとのことだ。

クレイトンが言うには、ガザルドが行方不明なので、俺たちが王様から受けた依頼は、まだ終わっていないんだそうだ。

だから、ガザルドと繋がっている冒険者たちを共犯者として指名手配したり、討伐したりしても問題無いんだそうだ。

「”ならず者”たちを一掃いっそうする良い機会です。殲滅してしまいましょう。」

そこまで言うクレイトンを、俺はちょっと怖いと思った。

話を変えよう。

俺はクレイトンに訊く。

「『ガザルド斡旋所』は、どうするんだ?」

「どうもしませんよ。」

クレイトンの返事は、とてもアッサリとしたものだった。

てっきり、吸収して、我々の『クレイトン斡旋所』を大きくするのかと思っていたので、俺は意外に思った。

「街を一つ混乱におとしいれた組織です。吸収しては我々の印象が悪くなります。」

「それに、『ガザルド斡旋所』を吸収して組織を大きくしてしまったら、我々をねたむ者に、『影で糸を引いていた。』とか言われてしまいます。だから放置です。」

そんな事まで考えないといけないのか…。

商人ってのは、大変なんだな。

「放置しておけば、勝手に無くなります。その後、領主なり商人なりが支店の開設をお願いしてきたら、それから交渉します。高く売りつけますよ。」

商人ってすげぇな。

いや、クレイトンがすごいのかな?

どちらにしても、俺には商人なんて無理だなと思った。


あれから、しばらくった。

ガザルドは、いまだに行方不明のままだ。

だから、ガザルドの関係者は未だに指名手配され、討伐され続けている。

一体いったい、この状況は、いつまで続くのか…。

討伐の報告がポツリポツリと入り続ける日々に、俺はうんざりしてきた。

店にクレイトンが来て、「ガザルドの追跡を終わらせます。」と告げられた。

王様から打ち切りが通告されたそうだ。

『やっと終わる。』

そう思って、俺はホッとした。

だが、クレイトンの考えは違う様だった。

「連絡が遠くの街まで行き渡るまでには、まだ日数が掛かります。最後の追い込みです。」

「残り時間は少ないですよ。頑張ってくださいね。」

クレイトンは、”ならず者”の殲滅に、まだまだ乗り気な様だ。

商人にとっては、害虫みたいなモノなのかもしれないな…。

俺は、「ああ…。」とだけ言って、心の中で溜息ためいきいた。


『ガザルド斡旋所』は消滅した。

王都の店を含めて、すべて。

いつの間にか。

俺はクレイトンにかれて忙しかったから、気付かなかった様だ。(遠い目)

まぁ、今でも忙しいがな。(白目)


俺たちが隣街となりまちカムデンの治安を回復させてから、ずっと忙しい日々が続いている。

ガザルドの追跡が打ち切られてもだ。

我々の『クレイトン斡旋所』が支店を増やし続けているからだ。

以前の停滞が信じられない様な勢いだ。

カムデンの事件を解決した事が、とても大きかった様だ。

以前は、資金が無くて支店が作れなかった。

だが、今は資金を必要としていない。

領主が用意してくれるから。

店もお金も。

領主たちに『街を守る存在』と、我々の『クレイトン斡旋所』とその冒険者たちは思われている様だ。

冒険者なんて、かつては”ならず者”と言われていたのにな。

こうまで評価が変わった事を嬉しく思う反面、なんとなく怖いモノも感じる。

クレイトンにかされておこなった、”ならず者”の殲滅がこうそうしたのだろうか?

いや、クレイトンが色々と宣伝していたのかもしれないな。

抜け目のない奴だからな、クレイトンは。恐ろしいほどに。

間も無く、国中くにじゅうのすべての街と主要な村に、『クレイトン斡旋所』の支店が出来る。

とんでもない事だ。

ここまでなるとは、想像していなかった。

本当に、本当に、とんでもない事だ。

我々の『クレイトン斡旋所』は、この国に無くてはならない存在になった。

俺は、自分たちの成し遂げた事を誇らしく思った。


ある日、付き合いの長い冒険者に会った。

彼の名はクレイブ。

俺がこの国に来る前から付き合いのあった、ベテラン冒険者だ。

『クレイトン斡旋所』でも、早い時期から協力してくれていた者の一人だ。

クレイブと呑んでいて、あの隣街となりまちカムデンの事件の話になった。

カムデンの支店が奪われた事から始まった、あの一連の騒動だ。

カムデンのかつてのクソ領主に嫌がらせをされて、荷物を川で運ばなければならなくなった。

その後、クソ領主が川に関所を作ろうとして、王様を激怒させてクビになり、そいつとガザルドたちが揉めて、街がとんでもない状態になったんだったな。

とんでもない状態になった街を、王様の依頼で俺たちが鎮圧して、名を上げて、すべての街に我々の『クレイトン斡旋所』の支店が作られるまでになった。

支店が奪われた時は、『大変な事になった!』と、かなり慌てたな。

今、思い出すと、あの時の慌て様には笑えてくる。

振り返れば、あの時に諦めずに頑張ったから、今のこの状況を作り上げたと言える。

そんな事を誇らしく思い出しながら、俺は上機嫌でクレイブの話に耳を傾けた。


浮かれていた俺は、クレイブに聞かされた次の一言ひとことで、鳥肌を立てることになった。


「川に関所せきしょを作る計画なんて存在していなかったらしいな。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。