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< 24 この世界に就任した神 十七柱目 01 >


異動を告げられた。

左遷させんだ。

くぅ。

どんよりとした気分で、異動先の世界についての説明を担当者から聞いた。


異動先の世界の人間たちの住む星は、保護されているとのことだった。

『そこで何もせずに大過たいか無くごせ。』って、ことなのだろうか?

そんなところでくすぶっていたくなどないのだがな。

さらに、注意事項を担当者から聞いた。

その星の人間たちには、”神”が信仰されていないとのことだ。

それどころか、『”神”と名乗るのは止めておいた方がいい。』とまで言われた。

どんな星なんだ?

そんな星が在るのか?

以前、”神”としてその星に行ったひとがやらかしてしまった所為せいらしい。

それ以来、その星の人間たちは”神”を信用していないとのことだ。

そうと知らずに”神”と名乗って、心に傷を負ったひとも居たらしい。

本当にどんな星なんだ?

大丈夫なのか?

ビビってなんか、い、いなないがな。(ビクビク)


人間たちの住む星に来た。

ずは、人間たちの様子を見てみよう。

『現状確認は重要です。』と担当者も言っていたし。

現状確認をおこたり、思い込みで行動して失敗したひとも居たそうだしな。

…この星で失敗したひとおおぎないか?

大丈夫なのか? この星。

俺は失敗しない様に気を付けておこう。


乾燥した大地に、街が点在している。

誕生してからたいしてっていない国が、四つ在った。

国と国とはおおむね良好な関係の様に見える。人や物の移動が盛んだし。

移動は馬車か舟の様だ。工業は未発達な様だな。

保護されているとはいえ、やる気が湧きそうにない星だな。


この星の人間たちの中で、特に活発に活動しているのは、”商人”と”探索者”の様だ。

探索者と呼ばれる者たちは、ダンジョンの探索だけでなく、護衛や魔物退治までっている。

他の世界では”冒険者”と呼ばれている者たちの様だ。

この星には、まだ”冒険者”と呼ばれる者が居ないみたいだな。

まぁ、どうでもいい話だ。


さて、俺はどうしようかな?

やる気が湧きそうにないんだが。

大人おとなしくしていようかな?

下手に失敗したら、派閥に居場所が無くなってしまうからな。

保護されている星ならば、何もしなくてもわけが立つだろう。

立つよな?

うん。立つな。

そうしよう。

俺は何もしないことに決めた。


しばらく何もせずにダラダラしていた。

久しぶりに人間たちの様子を見てみるか。

”冒険者”と呼ばれている者たちが居た。

以前、”探索者”と呼ばれていた者たちの呼ばれ方が変わったのだろう。

そう思ったのだが違った。

雇用されてダンジョンの探索をしている者たちは、引き続き”探索者”と呼ばれていた。

雇用されて商人たちの護衛をしている者たちは、そのまま”護衛”と呼ばれていた。

雇用されていない、或いは雇用してもらえない”ならず者”たちが、”冒険者”と呼ばれていた。

そして、その冒険者たちは、魔物を狩って、その素材を換金して生活していた。

他の世界の冒険者と同じ様な事をしているが、”ならず者”という点が異なっている様だ。

まぁ、俺にとっては、どうでもいいことだ。


ケイニル王国と呼ばれている国の森の近くの村が、魔物に襲われて壊滅した。

うーん。しまったな。

俺がなんとかしてやればよかったな。

いや、魔物の脅威を広く世に知らしめる為には必要な犠牲かな?

済んでしまったことだ。そう思うことにしよう。


近くに街が在るな。

この街は俺が守ってやるか。

積極的に手を出す気は無いが、危なくなったら助けてやろう。

街に行って、様子を見てみることにしよう。


この街の商人が、ビビって護衛をつのっているな。

しかし、応じる護衛は居ないみたいだ。

この世界の護衛たちは安全を重視するみたいだな。

それだけ、安全な仕事が多く有るということなのだろう。

その商人は、仕方なく冒険者をやとうことにした様だ。

本当に『仕方なく』というていだった事に、思わず笑ってしまった。

どれだけ嫌われているんだよ、この星の冒険者たちは。(呆れ)


商人の元に冒険者が集まった。すごく大勢おおぜい

大勢おおぜいあつまった冒険者を見て、頭を抱える商人。

商人が冒険者たちに「雇うのは15人だけだ。」と言うと、大きな騒ぎになった。


なかなか楽しそうだな。(ニッコリ)

楽しそうだったので、俺はそのまま様子を見てみることにした。(ワクワク)


商人は頭を抱えていた。

騒ぎが、なかなか収束しゅうそくしそうになかったから。

当初雇う予定だった10人を15人に増やした。

残りは帰ってほしいと思っている。

だが、その15人を選び出すのも簡単ではなさそうだ。

商人は、仕方なく冒険者たちに仕事を与える事にした。

「魔物を仕留め、持ち帰った素材が多い者を15名雇う。期日は三日。その間の素材はすべて買い取る。」

そう言って、すべての冒険者たちを森に向かわせた。

『魔物に倒されたり、倒した魔物を奪い合ったりして、冒険者の数が減ってくれればいいな。』とか思って。


三日後。

商人の目論見もくろみ通り、冒険者たちは半数ぐらいまで数を減らしていた。

冒険者たちには、刃物で切り付けられた様な傷がある者も多い。

商人はそれを見て、『やはり冒険者は”ならず者”だな。』と思った。

約束通り15人を雇い、他の者が持って来た素材もすべて買い取った。

人数が減った事で、持ち帰ってくる素材の量も減り、買い取り金額を抑えられた事に安堵する。

こうして、一応、騒ぎは収まった。


うーーん。

冒険者たちもアレだが、商人も善人って訳ではない様だな。

まぁ、せっかくここまで見たのだから、この先どうなるのかも見ておくか。(やれやれ)


騒ぎは収まった。

だが、街の住人たちから苦情が来た。

『ならず者が街に多く滞在し、治安が悪くなった。』と。

商人は再び頭を抱えた。

早く対策をしないと領主に呼び出されてしまう。

商人はすぐに手を打った。

街に滞在する冒険者たちに、魔物の素材採取や商隊の護衛の仕事を与え、街から離れさせた。

これにより、街から冒険者がかなり減った。

冒険者が減って一安心した商人。

だが、しばらくしたら、また冒険者が増え始めた。

『この街に来れば仕事が見付かるから。』と。

商人はまたまた頭を抱えた。


ははははは。

この商人は、なかなか俺を楽しませてくれるな。

この後、どうなるのかな?(ニヤニヤ)

俺は引き続き、その様子を見て楽しむ事にした。(ワクワク)


この商人は、めげなかった。

『冒険者への仕事の斡旋あっせんは商売になるのでは?』と思い付いた。

商人は、冒険者への仕事の斡旋あっせんを始めた。

しかしそれだけだと、冒険者が集まって街の治安が悪くなってしまう。

その対策も考えた。

冒険者の為に安く快適な宿を用意した。

実はこれは、”冒険者の為”ではない。

冒険者を隔離かくりする事で、街の治安が悪化する事を防ぐ為の方策ほうさくであった。

さらに領主に話を通して、冒険者たちに身分証を発行した。

おこないの悪い冒険者からは身分証を取り上げ街から追放し、再び街に入れない様にした。

これにより街の治安は守られ、おこないの良い冒険者だけに仕事を斡旋できる様になった。

冒険者を雇う者たちは、この仕組みにより”マシな冒険者”を雇う事ができる様になった。

こうしてこの街の『冒険者に仕事を斡旋する仕組み』は、皆にメリットのあるものになっていったのだった。

その後、この街は、”冒険者の集まる街”として、知られる様になった。

この街の事を知らない人たちがその呼び名を聞いて、良い印象を受けるか、悪い印象を受けるかは別にして。


おお。これは冒険者ギルドが出来る流れだな。

これからどうなっていくのかな?

注意深く眺めてみよう。(ワクワク)


商人が作り上げた『冒険者に仕事を斡旋する仕組み』は、街の住人たちに受け入れられた。

街の発展に寄与し、商人は街の名士として天寿をまっとうした。

商人の死後、この『冒険者に仕事を斡旋する仕組み』は、領主が引き継いだ。

お金のニオイがしたので。

領主は経費削減として、安く快適だった宿の宿代やどだいを、相応そうおうがくに値上げした。

これにより、冒険者が他の宿を利用する様になり、住人との間でトラブルが増えることになった。

トラブルを起こした冒険者からは身分証を取り上げ街から追放した。今までの様に。

これまでしてきた事だ。問題が起こるなんて考えなかった。

だが、冒険者はこの街から減り続けることになった。

冒険者への仕事の斡旋は、他の街でも行われる様になっていたから。

安く快適な宿が無くなって、この街に来るメリットが無くなったから。

その結果、他の街でも歓迎される様な冒険者は、他の街に移って行った。

逆に、他の街を追い出された冒険者ばかりが、この街を訪れる様になった。

”冒険者の集まる街”と呼ばれるこの街に期待して。

この街が衰退していくのに、たいした年月は掛からなかった。


”バカな権力者”というのは、何処どこにでも居るものなんだなぁ。(お尻ポリポリ)

冒険者ギルドが出来ると思ったんだけどなぁ。


その後、『冒険者に仕事を斡旋する仕組み』は、別の場所で発展することになる。

隣国、クライス王国の王都クライスで。



<  ???  >


私は力を蓄えていました。

私は魔法を使う練習をしていました。

いつか、神さまのお役に立てる様に。

いつか、神さまに喜んでいただける様に。

いつか、神さまに気付いてもらえる様に。


神さまに気付いてもらいたくて神さまを探していました。

その時、その場所の存在に気が付きました。

天と地上の間に存在する”曖昧な場所”です。


”曖昧な場所”に来ました。

ここは、どの様なところなのでしょうか?

調べます。

神さまの力を感じる気がします。

神さまはここに居らっしゃるのでしょうか?

ここに居らっしゃったから、見付けられなかったのでしょうか?

神さまを探します。

神さまは居らっしゃいませんでした。

ですが、或る場所を見付けました。

無数の魔法が収められている、”書庫”とでも言うべき場所です。


私は、人が魔法を使うのを見て魔法を憶えました。

ここには、人が使っていたものよりも遥かに多くの魔法が存在していました。

私の興味を強く刺激します。

そもそも、神さまのお役に立ちたくて魔法を憶えたのです。

私の興味を強く刺激して当然です。

私は、この”書庫”を調べてみたくなりました。

しかし、神さまを探したい気持ちもあります。

どうしましょうか?


この場所は、神さまにしか作り出せないと感じさせられる場所です。

ここに居れば、やがて神さまが現れるかもしれませんね。

ええ、きっとそうですね。

ここで神さまが現れるのを待ちながら、この”書庫”を調べましょう。

ええ、そうしましょう。

私は、この”書庫”を調べることにしました。


随分ずいぶんと長い間、この”書庫”にもっていました。

お陰で大分だいぶ、この”書庫”と魔法についての理解が深まりました。

人が使っていた魔法は、この”書庫”に収められている魔法を使っていたのでした。

この”書庫”にアクセスし、実行することで魔法が発動していたのです。

そのことを理解して、ふと、自分で魔法を作ってみたくなりました。

新たな魔法を作って、この”書庫”に書き込めば、魔法が発動する様な気がしたのです。

やってみましょう。

神さまを探す為の魔法を作ってみたかったのですが、”神さまの気配”の様なものを検知する方法が分かりませんでした。

やむなく、これは諦めました。

他の魔法を考えます。

神さまに気付いていただく為の魔法を考えます。

”繋がる”的なものを考えました。

私は存在が希薄なので、見たり、触れたりでは、神さまに見付けていただけないかもしれないと思ったので。

では、魔法を作ってみましょう。


上手くいきませんでした。

諦めずに試行錯誤を繰り返します。

試行錯誤を繰り返すことで、さらに魔法の理解が深まった気がします。


とうとう私の望む魔法が完成しました。

やりました。

【コネクト】と名前を付けて、”書庫”に書き込みました。

この魔法を使って神さまと繋がることが出来れば、きっと神さまに気付いていただけるでしょう。

そうに違いありません。

神さまに気付いていただける日が近付いた。

神さまのお役に立てる日が近付いた。

そんな気がします。


早速さっそく、この魔法を試してみましょう。

ちゃんとこの魔法が発動するのか、確認をしてみたいですから。

”曖昧な場所”を離れて、人間たちの暮らす大陸に行きます。

街道を歩く人を見付けました。

この人に、魔法を使ってみます。

上手くいった感じがします。

かなり神力しんりょくを消費しましたが。

この人が考えている事が、分かる気がします。

どうやら、考え事をしながら歩いている様です。

『冒険者に仕事を斡旋する組織』を作ろうと考えている様ですね。

私は、自分の作った魔法がちゃんと発動した事を喜びます。

神さまを見付けることが出来たら、この魔法で神さまと繋がりを作って、私のことを神さまに気付いてもらいましょう。

私は、確かな手応えと、喜びを感じました。


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