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< 23 この世界に就任した神 十六柱目 >


唐突とうとつに議事堂に呼び出され、”神”に就任させられた。

たしかにヒマしていたが、今は異動の時期ではない。

だから、そんな話が来た事に驚いた。

誰かが不祥事でも起こしたのだろうか?


仕事の説明を聞いた。

保護されている星で大きな戦争が起きそうな状況になっていて、その戦争をめてほしいそうだ。

珍しい事だ。

戦争自体は悪い事とはされていない。

『科学技術を発展させる原動力だ。』と主張する神が多く、そちらの方が主流派となっているのが現状だ。

それなのに『戦争をめてほしい。』と言われて不思議に思っていたら、詳しく説明してくれた。

科学技術がまだ未発達で人口も多くない為、大きな戦争が起きてしまうと、長い停滞状態におちいってしまう恐れがあるんだそうだ。

最悪、人間の絶滅の可能性まで有るらしい。

保護されている星でその様な事態が起こるのはマズいので、大きな戦争が起こるのをめたいんだそうだ。

議会から頼まれている以上、断れないんだけどね。

やるしかないよね。

はぁ。

手早く説明されて、かされるように私はその世界に送り出された。


人間たちの住む星に来た。

ずは状況確認だ。

ダンジョンをめぐってあらそっている様だ。

ダンジョンを手に入れたい北の国と、それを認めない南東の国と南西の国との間で緊張状態にある。

それぞれの国がダンジョンの周囲の街に兵を駐留ちゅうりゅうさせて、にらみ合っている。

『戦争になりそうなほどの数の兵を駐留させていない為、戦争には至らずに済んでいる。』と言った状況だ。

でも、このままだとダンジョンを利用することも出来そうにないな。

ダンジョンへ向かう者たちも排除してしまっているからな。


さて、戦争を起こさせない為には、私は何をすればいいのかな?

考える。

北の国の兵が駐留ちゅうりゅうしている街の井戸を埋めてしまえば、撤退するかな?

『他国の卑劣な妨害行為だ!』とか言って、逆に戦争のきっかけになってしまうか。

井戸をらしてしまうか?

ダンジョン付近の地下水脈は、きっと北から南に流れているだろう。北に山脈が在るからな。

地下水脈の流れを変えて、北の国の兵が駐留しているダンジョンの北東側に在る街の井戸をらしてしまおう。

そうすれば、北の国は兵を駐留させていられなくなるだろう。


井戸をらしたが、遠くの井戸から水を運んでいるな。

兵を撤退させる気は無さそうだ。

別の方法を考えよう。


北の国の国王に、夢の中で兵を撤退させるように言うか。

これで解決するだろう。

最初からやっておけばよかったな。

やったけど、無視された。

うーん。おかしいな。

夢の中で神に言われれば、素直にその通りにするものなんだがな。


国王ではなく国の偉い人たちに、夢の中で撤退する様に言うか。

これで効果があれば良いんだがな。

やったけど、効果は無かった。

国王が聞く耳を持っていなくて。

国王に意見いけんした彼らは、辺境へんきょうに飛ばされてしまった。

国王は、要職に自分に従う者ばかりを揃える様になった。

うーん。この方法は大失敗だったな。

また別の方法を考えないといけないな。

意外と上手くいかないものだな。(イライラ)


その後、(イライラしたので)地割じわれを起こして、物資を運ぶ街道を分断したりもしたが、北の国は兵の駐留を諦めてくれやがらない。

ぐぬぬ。(イライラ)


北の国の国王をぶち殺すことに決めて、どうやって不幸な事故に見せかけてぶち殺してやろうかと、じっくり楽しく考えていたら、北の国の国内の状況に変化があった。(チッ)

西の方の地域が、北の国からの独立を宣言し、北西の国が誕生したのだ。

国王が激怒していやがる。

ざまぁ。


このまま内戦に突入してくれれば、”大きな戦争”は回避できそうだな。

北の国はどう動くかな?

北西の国には頑張ってもらいたいね。

南東の国と南西の国は、この状況でどう動くのかな?

北西の国と連携を取ってくれればいいんだがな。

ワクワク…げふんげふん。シンパイニナッテキマシタ。(ワクワク)


北の国が北西の国に色々とちょっかいを出しているようだ。

北西の国は上手いことあしらっている。

事態が膠着こうちゃくした様だ。

北の国の国王は、まだ激怒している。

ざまぁ。


さて。この後、北の国はどう動くのかな?

内戦かな? ダンジョンを獲りにいくのかな?

あるいは、撤退の目が有ったりするのかな?

南東の国と南西の国は、北西の国の支援に乗り出した様だ。

北の国は、内戦になるにしても、ダンジョンを獲りにいくとしても、南東の国と南西の国とも戦うことになりそうな状況になったな。

ざまぁ。

あれ?

そうなると、北の国が戦うことを選択した場合、やっぱり”大きな戦争”になってしまうか。

それでは、私の仕事が失敗したことになってしまうな。

やっぱり、北の国の国王はぶち殺そうかな?

そうだな。そうしよう。


再び、北の国の国王をぶち殺すことに決めて、どうやって不幸な事故に見せかけてぶち殺してやろうかと、じっくり楽しく考えていたら、今度はダンジョンの状況に変化があった。(チッ)

ダンジョンから魔物が溢れ出したのだ。

事態が思う様に動かなくてイラっとするね。

さっさとぶち殺しておけばよかった。

くそう。(イライラ)


ダンジョンから溢れ出した魔物たちが、ダンジョンの周辺に居た兵たちに襲い掛かかった。

兵たちは苦戦している様だ。

人数がそれほど多くなかったのが原因だろう。

いや、魔物と戦う事を想定していなかったからか。

北の国の兵と他国の兵とでにらっていたのだったな。

魔物たちに手こずった兵たちは、近くの街にもった。


四か国は、この事態に対応する為にダンジョンに向けて兵を送り出した。

魔物を倒しながらダンジョンに近付いて行く。

ダンジョンの周囲を、ゆるく四か国の兵が取り囲んだ。

ダンジョンの北側が手薄てうすになっているな。

北西の国と北の国との間で戦闘になりそうな雰囲気があるからな。

ダンジョンから溢れた魔物が、北の森に沢山たくさん行ってしまったが、これは仕方が無いな。


話し合いの場がもうけられた様だ。

ちょっと様子をうかがってみる。

北の国が強く抗議をしている。

北西の国がこの話し合いに参加していることについてだ。

出来たばかりの北西の国としては、国として認めてもらえる好機だ。引く訳が無いだろうに。

話し合いの機会は、荒れただけで終わった。

各国が個別に魔物に対応する状態のまま、無駄に日数が過ぎることになった。北の国の所為せいで。

やっぱり北の国の国王をぶち殺すことにしよう。

そちらのほうを(楽しいから)優先的に考えることにしたいのだが、ダンジョンから溢れ出した魔物の対処のほうもしたいんだよなー。

魔物を放置しておくと、”大きな戦争”が起きたのと同じくらいの被害が出かねない。

緩い包囲を抜けた魔物が、それなりの数、居るからな。

魔力探知で森に逃げた魔物の数を、ざっと調べてみる。

離れた場所に、大きな反応が一つ有った。

コイツは何だろう?

ちょっと調べに行くか。


森の奥にドラゴンが居た。

驚いた。

ドラゴンが居るとは説明されていなかった気がするので。

ひらめいた。

コイツに魔物の対処をさせれば、私は北の国の国王をぶち殺すことに集中できるな。

よし、コイツと交渉してみよう。


ドラゴンに挨拶をした。

ドラゴンは、すごく驚いている。

ん?

そんなに驚く様な事はしていないよな?

目の前の、妙にビビっているドラゴンを見る。

何となく、見覚みおぼえが有る様な気がするな。

ハテ?


以前、議事堂に居たら、どっかの星のダンジョン攻略の手伝いをさせられたな。

100階層のダンジョンの。

最下層に居たドラゴンを説得(?)して、ダンジョンから出てもらった。

あの時のダンジョンと、今、魔物が溢れているダンジョンは別物べつものだ。

この世界には一つしかダンジョンが無いと聞いている。

このドラゴンが、あのドラゴンのはずはないよな。

一応、確認をする為に、神力しんりょくを使って、ドラゴンをひっくり返して確認してみた。

玉が一つしかなかった。

あの時のドラゴンだった。

「ひさしぶりー。(ニッコリ)」

「ハイッ!」

元気に返事をするところは相変わらずだな。

魔物の対処をしてくれる様に、コイツと交渉しよう。

よし、引き受けてくれた。

これで私は、北の国の国王をぶち殺すことに集中できるね。(ニッコリ)

不幸な事故に見せかける良い方法を(楽しく)考えよう。(ニコニコ)


数日後、ドラゴンから呼ばれた。

うながされるまま、ダンジョンのまわりを見た。

ドラゴンがブレスをはなったのだろう。魔物に大きな被害が出ている様だ。

うん。

それは間違いない。

でも、人間たちにも少なくない被害が出ていた。

「………………。」

「………………。(ビクビク)」

「…ちょっと、山脈の裏までツラ貸そうか。(ムカムカ)」

「ハイッ!(ビクビク)」

山脈の裏で、この片玉クソトカゲをぶちのめしました。


今後の方針を考える為に、ダンジョンに様子を見に来た。

ダンジョンの周囲は死屍累々(ししるいるい)と言った状況だ。

僅かな魔物が徘徊し、難を逃れた多少の兵が警戒にあたっている。

新たに兵が派遣されて来るまでには、しばらく日数が掛かるだろう。


そんな中、ダンジョンに向かう一団が居た。

北西の国の兵たちの様だ。

何をするのだろう?

様子をうかがおう。


北西の国の兵たちはダンジョンを攻略する気の様だ。

「北の国の兵たちを出し抜いてダンジョンを攻略すれば、北の国がダンジョンを専有するなんて言えなくなるだろう。」

そう言って、南東の国と南西の国の兵たちに参加を呼び掛けた。

「三か国で攻略して、三か国でダンジョンを開放して、北の国に何も言わせない状況を作る好機だ。」

「参加しないなら、我々だけで攻略する。」

そんな事を言っている。

言う事だけ言って、さっさとダンジョンに向かう北西の国の兵たち。

南東の国と南西の国の兵たちも、慌てて合流して、ダンジョンに入って行った。


うーん。

北の国に『ざまぁ。(超笑顔)』するのには良いアイデアだとは思うんだが、そんなに上手くいくかなぁ?

うーん。

付いて行って、コッソリと支援しますかね?

うーん。

付いて行くか。

『ざまぁ。(超笑顔)』したいし。

そうしよう。

『ざまぁ。(超笑顔)』された北の国の国王の顔を、ぜひ見たいしね。(超イイ笑顔)


兵たちの後に付いて、ダンジョンに入った。

この階層には、あまり魔物が居ない様だ。

この階層に居たヤツは、ダンジョンの外に出たのだろう。

この階層では、私が手伝う必要は無いな。

先回りして、次の階層の様子を見てみよう。


次の階層に来た。

魔物が沢山たくさん居た。

「やべぇ。(真顔)」

さすが魔物が溢れただけの事はある。

「これじゃあ、ダンジョンを攻略するなんて無理だろ…。」

これでは『ざまぁ。(超笑顔)』出来ないな。

「仕方が無い。私が掃除そうじするか。」

手近な魔物をぶちのめして、足を持って振り回す。

そんな事を繰り返して、この階層の魔物を掃除した。

ふう。(スッキリした笑顔)


さらに次の階層に行く。

ここにも魔物が沢山たくさん居た。

魔法で錯乱させて同士討ちをさせた。

こうするのが楽だな。

すべての階層の魔物を錯乱させて、同士討ちをさせて、兵たちのところまで戻った。


兵たちは順調に攻略を進め、ダンジョンを攻略した。

少なくない犠牲者が出たが、見事だと思う。

これで、北の国に『ざまぁ。(超笑顔)』出来るね。(ニッコリ)

『ざまぁ。(超笑顔)』された北の国の国王の顔が早く見たい。(超イイ笑顔)


ダンジョンを攻略した兵たちがダンジョンの外に出た。

南東の国と南西の国の兵たちは、後から派遣されて来た兵たちと合流し、お祭り騒ぎだ。

北西の国の兵たちは静かに引き上げていった。

どうしたのだろうか?

犠牲者が多かった事にショックを受けたのだろうか?

彼らが一番の功労者だと思うのだが。


北の国の国王は、ダンジョンが三か国によって攻略されたと知らされて激怒した。

「ざまぁ。(超笑顔)」

ダンジョンに派遣していた兵たちをらえるように命令し、兵を差し向けた。

が、多くの兵が北西の国に逃げてしまった。差し向けた兵も含めて。

それを知って、さらに激怒する北の国の国王。(ぷぷぷ)

「ざまぁ!!!(神生じんせい最高の笑顔)」


その後、『北西の国』は『グラム王国』と名を変えた。

ダンジョン攻略の際に命を落とした国王の名前なのだそうだ。

彼らが静かに引き上げていった理由は、国王が死んだからだったのだろう。


北の国を除いた三か国でダンジョン周辺の国境線が定められた。

ダンジョンはグラム王国に組み込まれた。

そしてダンジョンは、『何処どこの国の者でも出入り自由』と定められた。

この合意により、ダンジョンは開放された。


三か国は軍事同盟を結び、三か国で定めた国境線を北の国に通告した。

ダンジョンがグラム王国に組み込まれた事を知らされた北の国の国王は、またまた激怒した。

「ざまぁ。(超笑顔)」


三か国は、『グラム王国を北の国から守る為』と称して、北の国との国境を封鎖した。

これにより北の国をダンジョンから締め出し、ダンジョンから素材を回収しまくった。

さらに塩の価格を引き上げるなどして、北の国の国王をさらに激怒させたのだった。

「ざまぁ!(超イイ笑顔)」


激怒し過ぎた北の国の国王。

うっかり憤死してしまったが、私が神力しんりょくを使って生き返らせた。

もっと『ざまぁ。』したかったので。(イイ仕事をした者だけが出来るイイ笑顔)


二回生き返らせた後、北の国でクーデターが起きて、国王は殺されてしまった。

もっと楽しみたかったので残念だ。(本当に残念そうな顔)

新国王ケイニルは、『北の国』の国名を『ケイニル王国』と改めた。


四か国で会合が行われた。

『グラム王国』と『クライス王国(旧南東の国)』と『マロニヨル王国(旧南西の国)』と『ケイニル王国』で。

この会合で、三か国で決めた国境線を、ケイニル王国が受け入れた。

ケイニル王国が三か国の軍事同盟の解散を要求したが、これは拒否された。

ただ、国境の封鎖を即時解除する事が決められ、ケイニル王国もダンジョンを利用できる様になった。


これで事態は収束しそうだな。

これなら、”大きな戦争”が起こる事はないだろう。

ふう。


事態が収束した。

『大きな戦争が起こるのをめてほしい。』と言われてこの世界に来た私の仕事は、これで終わった様なものだ。

あとは、のんびりとさせてもらおう。

しばらくの間、私はのんびりと人間たちの様子をただ眺めて過ごした。

神力しんりょくをいつの間にか使い過ぎていて、ろくに力を使えない状態だったので。

何に力を使ったのか思い出せなかったのだが、北の国の国王を生き返らせるのに使ったのだったな。

すっかり忘れていた。

”逸材(笑)”だったので生き返らせたのだが、クーデターが起きて殺されてしまったのだったな。

惜しくもないけど、惜しい人を亡くしたものです。(うんうん)

まぁ、どうでもいいんだけどね。


もうすぐ、私の任期が終わる。

この世界では沢山たくさん『ざまぁ。』出来て楽しかった。

でも、この先しばらくは、この世界では『ざまぁ。』出来そうには無いな。

別の世界で”神”に就任できれば、また『ざまぁ』出来るかな?

あの国王以上の”逸材”が居たら嬉しいな。(ニッコリ)


頼まれていた『大きな戦争が起こるのをめる。』ことが出来た事を、議会に報告した。

任期の延長を望まない事と異動の希望を、併せて議会に提出した。

楽しめる世界の”神”に就任できればいいな。(笑顔)


異動が決まった。

栄転えいてんみたいだ。

やった。

仕事の完遂かんすいが高く評価された様だ。

自分もかなり楽しめたので、win-winな仕事だったな。

次の世界にも”逸材”が居ればいいなぁ。

楽しみだ。(笑顔)


こうして、私のこの世界での”神”の仕事は終わった。


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