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< 22 この世界に就任した神 十五柱目っす >


「おいらみたいな落ちこぼれでも、”神”になれるもんなんですねぇ。」


ギジドウからの帰り道。おいらはそんなことをつぶやくっす。

これもすべて、アニキがスイセンしてくれたオカゲっす。

アニキのお役に立てる様に、おいらはアニキに任されたこの仕事をやり遂げるっす。(フンスっす)


”神”になって与えられた天界の個室で、おいらはアニキから渡されたサギョウヒョウを読むっす。

『三回は読む様に。』って、アニキから言われてるっすから。

なになに?っす。

『何もしなくても神力しんりょくが増え、神レベルが上がるので、最初のうちは何もするな。』って書いてあるっす。

さすがアニキっす。

こんなラクな仕事をおいらに与えてくれるなんてっ。

アニキのやさしさに、おいら感激っす。

アニキに言われた通り三回読んだっす。

よしっす。

いよいよ、おいらはその世界に行くことにしたっす。


その世界の、人間たちの住む星にやって来たっす。

荒野こうやの多い、未開みかいの星って感じっすね。

アニキから渡されたサギョウヒョウの通りに、おいらに与えられた仕事をするっす。

アニキのお役に立てる様に、おいら、がんばるっす。(フンスっす)


ず、ドロシスという名の商人の男を探すことからっす。

神力しんりょくを使わずに自分の足で探すこと。』と、書かれているっす。

『眺めるだけで世界を知ったつもりになりがちだから、自分で見て回ることが重要だ。』って、ことらしいっす。

さすが、おいらのアニキっす。

アニキのアドバイス通りに、自分の足で探すっす。

大きくない大陸とは言え、それなりの日数が掛かったっす。

でも、探し出したっす。

やりましたっす、アニキ。


ドロシスという名の商人を探し出したので、サギョウヒョウを取り出して、次にやることを読むっす。

ふむふむ。ふむふむっす。

早速さっそく、今夜、実行するっす。(フンスっす)


夜。

ドロシスの夢の中で、彼に言うっす。

「ダンジョンをタンサクするのだ。それで得られるソザイはそなたにトミを与えるだろう。人を大勢おおぜいあつめ、サイコーの武器を与え、魔物を倒し、より深く、その先を目指すのだ。っす。」

それだけ言って、おいらのやることは終わりっす。

本当にラクな仕事っす。

おいらの仕事は、ここで一区切ひとくぎりっす。

おいらは一度、天界に帰ることにしたっす。


天界の自分の部屋で、サギョウヒョウを読むっす。

このあとやることの確認っす。

また『しばらくは何もするな。』って書かれているっす。

本当にラクな仕事っす。

アニキに感謝しつつ、部屋でゴロゴロすることにしたっす。


ずいぶんと長い間、部屋でゴロゴロしていたっす。

久しぶりにあの星に行って、様子を見てみるっす。


ドロシスのところに行ってみたっす。

でっぷりと太っていたっす。

ずいぶんと羽振はぶりが良くなったようっすね。

『大陸一の大商人』とか言ってるっす。

羽振りの良さも納得っすね。


ダンジョンにも行ってみるっす。

もちろん歩いて行くっす。

アニキに『自分で見て回る事が重要だ。』って、言われているっすから。

途中で沢山たくさんの馬車とすれ違ったっす。

ダンジョンで採れたソザイを運んでいるんっすかね?

街道の脇に村が見えて来たっす。

大きな村っすね。

近付くと、くらがいくつも在るのが見えたっす。

ソザイをあつかっているんすかね?

特に用事は無いっすから、ここは素通りして、ダンジョンを目指すっす。

街道を歩いていると、あちらこちらに井戸を掘っているっぽい人間が居たっす。

もっと村を作るんっすかね?

ダンジョンに近付いたら、ダンジョンをかこように、まわりに村がいくつも出来ているのに気が付いたっす。

ダンジョンの近くだと井戸から水が出ないのかもしれないっすね。


ダンジョンの入り口の前まで来たっす。

人間がちらほらと出入りしているっすね。

あたりには露店が沢山たくさん在るっすね。

にぎやかな様子を確認できたので、まわりの村にも行ってみるっす。


ダンジョンを取り囲む村の一つに行ってみるっす。

大きな商会が在ったっす。

”ドロシス商会”と書いてあるっす。

あの商人の商会っすね。

人間が盛んに出入りしているっす。

お店の裏には蔵が並んでいるっす。

さすがっすね。

『大陸一』と言う訳っすね。

村の酒場も繁盛はんじょうしているみたいっす。

にぎやかな声が聞こえるっす。

まだ昼間なんですがねぇ。

革鎧を着て剣を腰に下げた男たちが、盛り上がっているっす。

「8階層は、もう俺たちの庭だー。」

「今年中には10階層まで行ってやるぜー。がははは。」

「さすがアニキっすー。」

そんな声が聞こえて来たっす。

自分に似た人間が居た様な気がしたっすけど、気の所為せいっすね。


さて、次は何をするんっすかね?

『サギョウヒョウを見るっす。』と思ったんっすが、部屋に置き忘れて来たっす。

ダンジョンの様子も見たっすから、部屋に帰るっす。


天界の自分の部屋に帰って来たっす。

「うーーん。ウチは落ち着くっすーー。」

定位置でゴロゴロしながら、サギョウヒョウを読むっす。

『ダンジョンの周りに”街”を作らせる。』と書いてあるっす。

”村”では不十分なんすかね?

サギョウヒョウを読むっす。

ふむふむ。ふむふむっす。

なるほどっす。十分な水がないと”街”と呼べるほどの規模にはならないんっすね。

『地下水脈を調べて、その場所をドロシスに教えろ。』と書かれているっす。

調べる範囲も書かれているっす。

ダンジョンを囲む様なドーナッツ状の範囲っす。

ダンジョンの近くは地下水脈が無いんっすね。

早速さっそく調べて、ドロシスに教えるっす。


ドロシスに、夢の中で地下水脈の場所教えて、天界の自分の部屋に帰って来たっす。

「うーーん。ウチは落ち着くっすーー。」

定位置でゴロゴロしながら、サギョウヒョウを読むっす。

『ダンジョンを半分まで攻略したら。』と書いてあるところを読むっす。

でも、ダンジョンの半分って、どのくらいっすかね?

ダンジョンの事が書かれていたっす。

ダンジョンは20階層とのことっす。

そんな事まで知っているなんて、さすがアニキっすー。

半分と言う事は10階層っすね。

『今年中には10階層まで行ってやるぜー。』とか言っていた人間が居たっすね。

となると、もうしばらくはヒマってことっすね。

おいらは部屋でゴロゴロすることに決めたっす。

ラクな仕事を与えてくれたアニキに感謝っすーー。(ゴロゴロ)


しばらく部屋でゴロゴロしてたっす。

そろそろ10階層までダンジョンのコウリャクは進んだっすかね?

様子を見に行くっす。


以前来た、酒場に来たっす。

革鎧を着て剣を腰に下げた男たちが、以前よりも大勢おおぜい居るっす。

皆、景気よく酒をあおってるっす。

ダンジョンの話に耳を傾けるっす。

どうやら11階層まで進んでいる様っすね。

次の段階へ進んでいいみたいっす。

サギョウヒョウを読む為に、部屋に帰るっす。


天界の自分の部屋に帰って来たっす。

「うーーん。ウチは落ち着くっすーー。」

定位置でゴロゴロしながら、サギョウヒョウを読むっす。

『ダンジョンを半分まで攻略したら。』と書いてあるところを読むっす。

ふむふむ。ふむふむっす。

『人間が大勢おおぜい集まって、街が出来て、畑も作られているだろう。』

『ダンジョン攻略で実力を上げている者たちを使って、ダンジョンを占拠させろ。』

『ダンジョンから得られる素材を独占し、商人の仲間も集めて、国を作らせろ。』

そう書いてあったっす。

「へー、国を作らせるんっすかー。」

「さすがアニキっす。スゴイ事を考えるっす。」

詳しい手順をしっかりと読んで、早速さっそく、実行するっす。


ドロシスに、夢の中で色々と指示をして、天界の自分の部屋に帰って来たっすー。

疲れたっすー。

定位置でゴロゴロしながら、サギョウヒョウを読むっす。

また『しばらくは何もするな。』って書かれているっす。

本当にラクな仕事っす。

ラクな仕事を与えてくれたアニキに感謝っす。

今日はもう疲れたので、このまま…寝るっす……。


ずいぶんと長い間、部屋でゴロゴロしていたっす。

久しぶりにサギョウヒョウを読むっす。

ドロシスに国を作らせるところまで、やったんだったっすね。

その次に『しばらくは何もするな。』って書かれていたんで、ゴロゴロしていたんだったっす。

『しばらくは何もするな。』の後は、何をするんっすかね?

次が、このサギョウヒョウの最後のページみたいっす。

『遊んで楽しめ。ただし、神力しんりょくは使うな。』と書かれているっす。

うーーん。っす。

『遊んで楽しめ。』って、何の事っすかね?

よく分からないっす。

うーーん。っす。

やっぱり分からないっす。

一度、ドロシスに作らせた国の様子を見に行ってみるっす。


ドロシスのところに来てみたっす。

ダンジョンの近くの街の、一番大きな豪邸っす。

ドロシスは、何だか殺気立さっきだっているっすね。

部下っぽい男たちに怒鳴り散らしてるっす。

何かを指示して下がらせた後、別の部屋に移動したっす。

何かの像の前でひざまずいてお祈りを始めたっす。

『助けて下さいっ。』とか言っているっす。

何があったんすかね?

酒場に行って情報を集めるっす。


酒場に来たっす。

やつれた男たちが呆然と椅子に座っているっす。

以前のにぎやかさが、まったく無くなっているっすね。

本当に何があったんすかね?

「もう駄目だろ…。」

まわりの()は敵ばかりじゃねーか…。」

「もう逃げようぜ…。」

そんな声が聞こえるっす。

まわりの国』って言ってたっすね。

この国が出来た後に、他にも国が出来たんっすね。

そして、その国々が”敵”だと言う事っすか…。

いつの間にか大変な事になっていたっす。

おいらはどうすればいいんっすかね?

サギョウヒョウには『遊んで楽しめ。』と書かれていたっすけど、それどころじゃないっす。

何とかしないと、この国が無くなってしまうっす。

アニキのお役に立とうと、アニキから渡されたサギョウヒョウの指示通りにこの国を作らせたっす。

この国を無くしてしまう訳にはいかないっす。

この国を救う方法を考えるっす!(フンスっす)

この国に攻め込んで来る兵隊たちのリーダーに、引き返す様に指示すればいいだけっすね。

神力しんりょくを使えば簡単っす。

「あっ。」

『遊んで楽しめ。ただし、神力しんりょくは使うな。』って書かれていたっす。

………………。

どうすればいいんっすか? アニキィ…。


おいらには、この国を救う方法が何も浮かばなかったっす。

ドロシスに作らせた国は、周囲の三か国に攻められて負けてしまったっす。

一方的だったっす。惨敗だったっす。

ドロシスはらえられ、仲間の商人たちと一緒に処刑されてしまったっす。

神をのろいながら処刑されるさまは、涙無しには見ていられなかったっす。

アニキィ…。

すいません。おいら失敗しちまいましたっす…。


ダンジョンが開放され、兵隊たちの多くが引き上げていったっす。

後には、閑散かんさんとしたダンジョンと、荒廃した街だけが残ったっす。

ガックリしたおいらは、自分の部屋にもったっす。

アニキに会わせる顔がねぇっす。

すいませんっす。アニキィ…。


おいらの仕事は突然終わったっす。

カイニンらしいっす。

おいらは、”神”ではなくなったっす。

当然っすよね。

アニキに与えてもらった仕事に失敗しちまったんすから。


でも、そんなおいらに、アニキが仕事をくれたっす。

おいらの次の仕事は、アニキのお手伝いっす。

こんなおいらにも仕事をくれるアニキは、本当に素晴らしいっす。

おいら、アニキに一生ついて行くっす。(フンスっす)


アニキとアニキのご友神ゆうじんと一緒に、アニキが”神”をしている世界の、人間たちが居る星に来たっす。

ここでおいらは、アニキのお手伝いをするっす。

おいら、がんばるっす。(フンスっす)


目の前の光景を見るっす。

戦争をしているっす。

引っ切り無しにスゴイ音がしているっす。

何かが空をスゴイ速さでっているっす。

………………。

あの星の戦争とは、様子がまったく違うっす。

これは何なんっすかね?

言葉を失うっす。

呆然としていたら、目がおかしくなったっす。

振り回された様な、目の回る景色を見た後、地面が近くに見えたっす。

目の前に自分の足っぽいのが見えるっす。

唐突に、首をねられたドロシスの姿を思い出したっす。

そして…、自分が消える様な嫌な感覚がしたっす……。



「ちっ、1しか神レベルが上がらなかった。」

「ゴミのような世界の、ゴミのような神では、そんなもんでしょー。」

「これでは、大台おおだいまで、まだまだかかるな。」

「ゴミをもう少し育ててから殺した方が良かったんじゃないのー。」

「いや、めんどくさいからな。作業表を書くのも大変だったし。」

「『ご苦労様。』くらいは、言ってあげても良かったんじゃないかなー。」

「コイツは俺が渡した作業表に書かれていた事をしただけだ。それしかしていない。」

「俺が作業表を作ったんだから、こいつの経験値は俺の物だ。」

「どうしようもない落ちこぼれを”神”にもしてやったし、遊ばせてもやったのだから、まだまだ俺の方が損しているくらいだ。そうだろう?」

「そーかもねー。あははー。」


「あの世界さー、他の派閥はばつにあげちゃって良かったのー?」

「保護されているあの星では、そうそう戦争を起こせないからな。次の機会は止められる恐れがある。だからもういい。神レベルを上げるのには、戦争が一番だからな。」

「そーだねー。あと、”神殺かみごろし”もねー。」


そんな話をしながら、二人の神は、目の前で繰り広げられる光景を眺めて楽しむのだった。

自分たちが人間たちにさせている戦争を。


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