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3.悪役令嬢役(予定)なエステルと攻略対象(予定)なレオン

◆パルセノス邸 リカルドの部屋 リカルド(10歳)視点4


「…お兄様。もうご病気は治りましたか?また一緒に遊べますか?」


 天使がドアの隙間からうるうるした瞳で覗き込んでいる。

 さては病み上がりの俺の心臓にとどめを刺しに来たな。うん!ピンポイント攻撃だ。

 さすが悪役令嬢なだけあるな。フフッ


「エステル!まだ部屋に入っちゃ駄目だぞ!お医者がもううつらないって言ってからだ。そしたら又一緒に遊ぼうな。何して遊ぶかエステルが考えておいてくれるか」


「っはい!いっぱい考えます!早く元気になってくださいましぇ~!」

 天使は最後噛みながら走っていった。…淑女は走らないぞ~あとドアは閉めてって~



 ステファン殿下とレオンの協力で、流行病は抑え込めたし俺も軽症で済んだ。

 痣も無いしエステルにも嫌われなかった。万々歳だ。

 

 あとは…エステルとレオンの関係だな。

 実のところ二人の婚約話はエステルが生まれた時点から決まっていて、今は『いつ会わせるか』という段階だ。


 ゲームではエステルが我儘で苛烈だった為に親たちが尻込みして、結局学園入学まで公表されず。

 二人の交流も無かった。そしてレオンはエステルと違って可憐で優しいヒロインを好きになるのだ。


「殿下とレオンを一度うちに招待して、その時にエステルと会わせるか…」

 名付けて【婚約者は幼馴染♡大作戦】レオンがエステルにメロメロになる姿が目に浮かぶな。クスクス




[おまけ]~アリサの小言ふたたび~


エステル「アリサ!お兄様が喜ぶ遊びを提案してちょうだい!」


アリサ 「その前に…①淑女は病人の部屋に突撃いたしません。②淑女は廊下を走りません。③淑女でなくても扉はきちんと閉めます。…これを3回復唱されましたら、お手伝いいたしましょうか」


      アリサの黒い笑みにガクブルのエステルであった。





◆パルセノス邸 エステル(9歳)視点2


「…お兄様。もうご病気は治りましたか?また一緒に遊べますか?」


 ドアの隙間からのぞき込むと、お兄様はベッドに座っていらした。まだ少しお元気がないみたい…


「エステル!まだ部屋に入っちゃ駄目だぞ!お医者がもううつらないって言ってからだ。そしたらまた一緒に遊ぼうな」

 お兄様は厳しく仰るけれど、わたくしを想っての事だと理解できます。最後には優しく微笑んでくれました。

「何して遊ぶかエステルが考えておいてくれるか」

「っはい!いっぱい考えます!早く元気になってくださいましぇ~!」


 侍女のアリサにアドバイスを貰うべくお兄様のお部屋をあとにしたのに、走った事やら色々ばれて逆に沢山のお小言を貰ってしまったのですわ。



 お兄様が元気になられて暫くしてから


「エステル!今日はステファン殿下とレオンハルト公子に来ていただいたんだ」

 お兄様と同じくらいの男の子がふたり…


「殿下、公子、妹のエステルです。よろしくお願いします」

「ほう、確かにリカルドが天使呼びするだけあって可愛いな」

 金髪で青い目の人が殿下?


「…リカルドと同じ色合いなのに…かわいい」

 銀髪で灰色の目の人が…

「レオン…どういう意味だ?」

 レオンハルト様? 公爵家の方だわ。わたくし達より上位のおふたり…


「パルセノス侯爵家が長女。エステルと申します。兄共々、よろしくお願いいたしましゅ」


 かっ‼噛んでしまったわ!淑女なのにっ!もうお顔が熱くて上げられませんわっ!


「「…… フフッ(かわいい)」」


「エステル。上手にできたよ(ナデナデ)」

 とても恥ずかしかったけれど、お兄様が撫でてくださったので『良し』ですわ!





◆パルセノス邸 レオン(10歳)視点2


 リカルドが病を克服して、やっと落ち着いたと思ったら

「殿下、レオン、ウチにご招待しますので、予定空けといてください」

 何か始まった感があるな。また例のゲーム関連か…


「エステル!今日はステファン殿下とレオンハルト公子に来ていただいたんだ」

 殿下に続いて侯爵邸の応接間に入ると、ふわふわした女の子が佇んでいた。妖精かと思った…


「殿下、公子、妹のエステルです。よろしくお願いします」

「ほう、確かにリカルドが天使呼びするだけあって可愛いな」

 殿下に言われてリカルドは満更でもなさそうだ。ニヤニヤしている…


「…リカルドと同じ色合いなのに…かわいい」

「レオン…どういう意味だ?」

 …リカルドは可愛くないって意味だ。聞くな。


「パルセノス侯爵家が長女。エステルと申します。兄共々、よろしくお願いいたしましゅ」

 噛んだ!惜しい!頑張って淑女していたのに!…顔が真っ赤だ…フフッ(かわいい)


「エステル。上手にできたよ(ナデナデ)」

 リカルドに頭を撫でられてご満悦だな。猫みたいだ…

 ゲームでは悪役令嬢役らしい彼女との婚約を、父上から聞いてかなり警戒して来たけれど…


「エステル嬢。レオンと呼んで下さい。今後ともよろしくお願いします」

 彼女の小さな手をとってくちづけると、そのまんまるな瞳で見返していた。






◆エステル(10歳)視点3


 お兄様が友人おふたりと交流される場に、わたくしも呼ばれるようになり一年が経ちました。


 どうやら、レオン様がわたくしの婚約者になるそうです。とてもおモテになるタイプらしく、周りからは『よかったですね』とか『うらやましい』『幸運ですね』とか言われましたが…。


「レオン様が長男という事は【お兄様】はいらっしゃらないのですよね?」

 そう伺うと、レオン様の雰囲気が少し変わったのですわ。


「…ええ。そうですね。私が嫡男で公爵家を継ぐ予定で、あなたは未来の公爵夫人だ」

 ?何を仰ってるのかしら?兄の有無を聞いただけなのに。


「では『幸運』で羨ましがられるべきはレオン様の方ではないのかしら」


「はい?なんの事ですか?」

 レオン様は心底わからない顔をしています。


「だって、わたくしと結婚すればリカルドお兄様が、レオン様の【お義兄様】になるのですもの!とってもとっても幸運な事でしょう!何の苦労もせずにあのお兄様の弟になれるなんて。わたくしに感謝してしかるべきと思うのですわ!」


 一度も噛まずに言えましたわ。(心の中でガッツポーズのエステル)


 あら、レオン様が呆けていますわ。そんなお顔もされるのですね。

「アハッ!……アハハハハハハハハハハッ!」

 からの爆笑ですの?どこに笑うところがあったのでしょう?でも、いつもの取ってつけたような笑顔よりは好感が持てますわ。


「レオン?どうした?エステル、なんでレオン爆笑してるんだ?」

 お兄様と殿下が不思議そうにやって来ました。


「わたくしにもさっぱりわかりませんの」

 笑いすぎてヒーヒー言っているレオン様の背中を殿下が撫でていましたわ







◆レオン(11歳)視点3


「レオン様が長男という事は【お兄様】はいらっしゃらないのですよね?」


 私が嫡男であるかの確認か?

 父は母を大事にしていて異母兄等は存在しないから、私と結婚すれば公爵夫人は揺るぎ無い。私に近づくご令嬢は、この【公爵夫人の地位】がとても魅力的らしい。


「…ええ。そうですね。私が嫡男で公爵家を継ぐ予定で、あなたは未来の公爵夫人だ(何も問題が無ければ)」

 少し冷たい雰囲気を醸し出して牽制する…


「では『幸運』で羨ましがられるべきはレオン様の方ではないのかしら」

 え?私が?…んん?エステル嬢の瞳がキラキラしている…


「はい?なんの事ですか?」


「だって、わたくしと結婚すればリカルドお兄様が、レオン様の【お義兄様】になるのですもの!とってもとっても幸運な事でしょう!何の苦労もせずにあのお兄様の弟になれるなんて。わたくしに感謝してしかるべきと思うのですわ!」


 小鼻を膨らませて、言い切った!とばかりのドヤ顔だった。


 リカルドが【義兄】になる事が…私の『幸運』?


「アハッ!……アハハハハハハハハハハッ!」

「レオン?どうした?エステル、なんでレオン爆笑してるんだ?」

 笑いすぎて苦しんでいる私の背中を「大丈夫か」と殿下が撫でてくれる。


「わたくしにもさっぱりわかりませんの」


 私の婚約者は可愛い容姿だけでなく、少しポンコツで愉快な一面もあるらしい。これはリカルドに感謝すべきなのだろうか。

 私の身分と容姿に集まって媚びてくる令嬢たちには辟易していた。正直、結婚には夢も希望も持てなかったのだが、彼女は他とは違う何かがある。楽しくなりそうだ。




[おまけ]~義兄弟~


リカルド「レオン、何で笑ってたんだ?」


レオン 「なんでも無いですよ。【お義兄様】」にっこり


リカルド「やだ何ソレ気持ち悪い!見ろ!鳥肌!」




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