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2.モブな兄と攻略対象(予定)のふたり

◆レオン(16歳&8歳)視点1


 私の名はレオンハルト・アエトース アエトース公爵家の嫡男だ。


 自分で言うのも何だが、文武両道・見た目も悪くない部類だと思っている。

 リカルドに言わせると『攻略対象筆頭なんだからハイスペックは当たり前だろ?それぐらいじゃないとエステルの婚約者になんかなれないんだぞ!』だそうだ。

 何だかちょっと解せない…


 そもそも8歳の時にパルセノス侯爵家のリカルドと知り合って以来、彼には色んな意味で振り回されている。


 王太子になるステファン殿下と交友を持つ為に登城した場に彼は居た。

 小さなガーデンパーティーの会場には10歳~7歳の男子が十数人。一応伯爵家から上の高位貴族の子息達と見て取れた。

 親に殿下の目に留まって来いと言われたのか、必死に媚びを売る者多数。あとは城の雰囲気にのまれガチガチに緊張している者。年相応にはしゃいでいる者…か

 ……来て早々だが帰ってもいいかな? あ、ステファンと目が合った『タスケロ』と訴えている。え~面倒くさい。


「殿下。(面倒くさかったので)遅参いたしました。申し訳ございません」

「遅いぞレオン。(めっ面倒?不敬だぞ!)許すけど。(だからこいつら剝がしてくれ)」

「ぶふっ!」


 着席して優雅に茶を飲んでいた奴が噴き出した。皆一斉にそっちを見る…

「失礼。殿下とレオン公子は目で会話できるほど親密でいらっしゃるんだな~と」

 肩を震わせながら言う少年は、見た目通りの歳には思えなかった。それが、リカルドだった。



 それから殿下の幼馴染として3人で交流する事が増えたある日。


「聞いてくれ。二年後に流行る病で俺はヤバい事になる。何としても阻止したい」

「「はいいいぃ???」」

 と、突拍子もない話をはじめた。

 この世界は【乙女ゲーム?】私や殿下は【攻略対象?】妹は【悪役令嬢?】


「コラコラ熱はないぞ。頭も至って正常だ」

 額に持って行った掌をやんわり降ろされた。殿下は…うん、思考停止してるな。


「まあ簡単には信じて貰えないと思ってるよ。なので信じて貰う為に、とっておきの秘密を公開しようかな~まずは…レオンハルト君から~パフパフ♪」

 んん?秘密って自分じゃなく私の??なぜ???


「レオン君は5歳の時、木に登って落ちて骨折しました。『木から降りられなくなった猫を助けようとして』『猫は落ちた時に逃げて行った』と皆さんに説明して、その優しい心根に公爵夫妻もそこまで厳しく叱れませんでした」


 ??…ハッ!!まさか!!

「けど~レオン君はウソをついていました。本当は~その木のうろに大事な大事な宝物を隠してて~」


「わあぁ~~~~~~!!!! 何で知っているんだぁ~~~!?!?」

 リカルドは焦る私をフフンと見下ろした。

「レオン自身が話したんだよ~。ヒロイン相手に『自分も嘘をついた事があるエピソード』として【ゲーム】の中でさ♪」


 本当に誰にも知られていない筈…だったのに…

「レオンルート選んだユーザーは皆知ってるぞ」

 なんという事だ…乙女ゲーム…おそるべし…


「あ、因みに宝物が何か俺は知らないから。安心して」

「?」

「ヒロインが辿ってきた選択肢で変わるらしい。例えば~孤児院訪問で貰った栞だったり~庭で見つけた蛇の脱皮した皮やセミの抜け殻だったり~何か色々だったから覚えてない」


「さすが5歳児なラインナップだな。レオン」

 いつの間にか殿下が復活していた…


「アッ!風で飛ばされてきたメイドのブラ〇ャーもあったな!」

「「ぶふっっ!?」」《ガササッ‼》

 殿下と飲みかけの茶を噴き出した。植え込み?…何か…いるのか?


「いっとくが、それだけは無いからな!」

「はいは~い。分かってるってば~(ニヤニヤ)」

 可愛く言っても可愛くないからな‼






◆ステファン(8歳~)視点1


 幼馴染のレオンとリカルドとガゼボで茶を飲んでいる時だった。


「聞いてくれ。二年後に流行る病で俺はヤバい事になる。何としても阻止したい」

 またリカルドが意味不明な事を言い出した。

 この世界は【乙女ゲーム?】私やレオンは【攻略対象?】妹は【悪役令嬢?】


「コラコラ熱はないぞ。頭も至って正常だ」

 レオンが額に持って行った掌をやんわり降ろしている。あぁ…正気だったみたいだ。


「まあ簡単には信じて貰えないと思ってるよ。なので信じて貰う為に、とっておきの秘密を公開しようかな~まずは…レオンハルト君から~パフパフ♪」

 んん?秘密って自分じゃなくレオンの??なぜ???



「いっとくが、それだけは無いからな!」


 いわゆる黒歴史というやつなのだろうな。…ん?ちょっとまて…この流れで行くと、

「次は~ステファン殿下の~ヒ・ミ・ツ♡」 


 私に秘密?今もそうだが、いつも【王家の影】に見られている私に…秘密?あるのか?


「これもヒロインだけに教えた『殿下の初恋』相手は屋根裏の【影のおねえさん】殿下2歳の春~♪」

「ぶふっっ!?」《ガササッ‼》


 思わず飲みかけの茶を噴き出した(2回目)。そして後ろの植え込みが……先ほどからやかましいぞ【影】


「…それを知っているという事は、私の属性についても知っていると?」

「公じゃない方ね。これも殿下ルートのユーザーは皆知ってる」


 レオンは話が見えなくて首を傾げている。そう、今のところ知っているのは王と王妃のみ…。

 世間にはステファンは光属性と公表されている。が、実は闇属性も持っているのだ。闇属性=悪では無いのだが、未来の王太子にマイナスのイメージを持たせたくなかった親心で隠蔽されている。

2歳にして隠れている影を把握できたのは闇属性の力だった。


「大丈夫大丈夫!殿下がカミングアウトするまでは絶対言わないから。だってキラキラ王子様が二重人格っぽいなんて、残念な事この上ないもんな。アハハ」

 残ね……おい!不敬だぞリカルド!

 レオンは『殿下2歳で初恋か…早いな…さすが王家はちがう…』とブツブツ言っているが、レオン…着目するトコはそこじゃないからな。



 リカルドの言う事を半ば信じて(乙女ゲームの件は半信半疑ではあるが)流行病対策を始めた。


 薬草の類は比較的集めやすい物で、リカルドの語る症状に合わせ調合し量産を始めた…何だかだんだん面白くなってきて二年の間に一大事業にしてしまったのは自分でもやりすぎたか?と思ったが結果オーライだった。


 私たちが10歳になって確かに流行病は猛威をふるったが、大量生産した薬によって重症化は抑えられたのだ。

 隣国にも適正価格で輸出し、恩も売れたし儲かったと父上達は喜んでいた。

 リカルドも罹患したが重症化せず、私もレオンもホッとした。奴に引きこもりは似合わないからな。


 一大事業化したこの件が私の業績とみなされ立太子が確定となったが、本来ならリカルドの業績だろう。

 しかし情報源が乙女ゲームなだけに、大っぴらにはできない。


 本人からも伏せて欲しいとの要望があり、あいつは

『俺はエステルに嫌われなかったから、それだけで十分なんだ』

 と、幸せそうに笑った。





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